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会社が持続するために必要な売上=資金繰り分岐点売上高、というハナシ【後編】

会社が持続するために必要な売上=資金繰り分岐点売上高、というハナシ【後編】

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会社が持続するために必要な売上、言い換えると「資金繰り分岐点売上高」について。

前編でお話をした「計算式」には、さらなる「派生」がある。ということをお伝えしていきます。

ダメだ、そんなに売り上げられない。

会社が持続するために必要な売上、言い換えると「資金繰り分岐点売上高」について。具体的な金額を求めるための「計算式」は次のとおりです↓

資金繰り分岐点売上高の算式

資金繰り分岐点売上高 =[(固定費+{(借入返済額ー減価償却費)÷(1ー税率) }]÷(1ー変動費率)

一見すると、「なんじゃこりゃあ…!」という計算式ではありますが。こちらの記事で解説をしています↓

会社が持続するために必要な売上=資金繰り分岐点売上高、というハナシ【前編】

会社が持続するために必要な売上=資金繰り分岐点売上高、というハナシ【前編】

今回は、その続きのお話です。上記の計算式で求めた資金繰り分岐点売上高を見たときに、「ダメだ、そんなに売り上げられない!」という場合はどうするか?

売上を増やすようがんばればいい。それも、ひとつの方法です。けれども、そんなカンタンに売上が増えれば苦労はしませんし。なにより、計算式には「派生」があります。派生の計算式をつかうことで、実はそんなに売り上げなくてもだいじょうぶ、ということがあるわけです。

そこで。このあと、「資金繰り分岐点売上高の計算式・派生版」についてお話をしていきます。それでは、さっそくはじめていきましょう。

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派生その1・余裕資金の借入がある場合

はじめにおことわりをしておくと。「派生」には、2つあります。まずは、1つめの「余裕資金の借入がある場合」の派生から見ていきましょう。

余裕資金の借入とは? いますぐに使う予定はないけれど、銀行からおカネを借りる、ということです。不測の事態にそなえて、あらかじめ借りておくケースがあるでしょう。銀行から融資セールスを受けたので、おつきあいもあって借りておくケースもあるでしょう。

銀行から余裕資金の融資を受けるための注意点

ちゃんと借りてる?銀行から余裕資金の融資を受けるための注意点

いずれにせよ、いますぐに使う予定はないけど借りたおカネです。では、そんな余裕資金の借入について。「返済原資」はなんでしょうか? 言い換えると、余裕資金の借入を返済するのに、利益や売上は必要でしょうか?

必要ありませんよね。だって、いますぐに使う予定はないのですから、借りたおカネは手元に残っています。であれば、その残っているおカネのなかから返済をすればいいだけのハナシです。

冒頭で見た計算式は、この視点が抜け落ちています。確認のために、計算式を再掲すると↓

資金繰り分岐点売上高の算式

資金繰り分岐点売上高 =[(固定費+{(借入返済額ー減価償却費)÷(1ー税率) }]÷(1ー変動費率)

算式中の「借入返済額」のなかに、もし、余裕資金の借入分がふくまれている場合。この計算式で求められる資金繰り分岐点売上高は、過剰だということです。

したがって、余裕資金の借入があるのなら、算式中の「借入返済額」からは、余裕資金の借入分の返済額は除く必要があります。これが、「派生その1」です。

では、具体例で考えてみましょう。

固定費(販売管理費+営業外費用)が 3,000万円、うち減価償却費が 60万円、変動費率(売上原価率)が 40%、年間の借入返済額が 600万円の会社があったとして。税率はざっくり 30%とします。この会社の資金繰り分岐点売上高は、

[(3,000万円+{(600万円ー60万円)÷(1ー30%) }]÷(1ー40%)= 6,285万円

いやいや、6,285万円はちょっと厳しいぞ… という場合。借入返済額のなかに「余裕資金の借入分」がないかを確認しましょう。その結果、余裕資金として 600万円を3年毎月返済で借りているとしたら。年間の返済額は 200万円です。

であるならば、借入返済額 600万円のうち 200万円に対する売上は必要ありませんよね。つまり、借入返済額は 400万円と考えればOK、ということです。それでは、ふたたび算式に当てはめてみましょう↓

[(3,000万円+{(400万円ー60万円)÷(1ー30%) }]÷(1ー40%)= 5,809万円

さきほどの資金繰り分岐点売上高 6,285万円と比べると、476万円も少なくなりました。これなら、なんとかなりそうだ! ということもあるのではないでしょうか。

5,809万円あれば、ほんとうに資金繰りが回るのかどうか。いちおう、確かめておきます。

売上高が 5,809万円、売上原価率が 40%ということは、売上原価は 2,323万円です(5,809万円 × 40%)。よって、売上高から売上原価を差し引いた「売上総利益」は 3,486万円になります。

その売上総利益から、販売管理費と営業外費用の 3,000万円をマイナスすると 486万円。これが会社の最終利益です。そこに、税率 30%を掛け算すると、税金は 146万円になります。

最終利益 486万円から税金 146万円をマイナスすると 340万円。これが、税金を払ったあと手元に残るであろう金額です。ここで、減価償却費 60万円はおカネの支出はありませんので、 340万円に足し戻します(最終利益を計算するときにいちどマイナスしているので)。

結果、400万円が手元に残っていることになります。ただし、別途、借入返済額 400万円を支払わなければいけません。かくして、手元のおカネはゼロになります。資金繰りが回るための売上高は、5,809万円で正しかった! ということが明らかになりました。

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派生その2・運転資金分の借入がある場合

続いて、2つめの「運転資金分の借入がある場合」の派生を見ていきましょう。

ここで言う「運転資金」とは。算式で言うと、「売上債権(売掛金・受取手形)+たな卸資産(在庫)ー仕入債務(買掛金・支払手形)」になります。

この「運転資金」について解説をしておくと。算式のうち「 売上債権(売掛金・受取手形)」は、売上代金のうち入金されるのを待っている金額です。「たな卸資産(在庫)」もまた、売れておカネになるのを待っている金額です。

いずれも「おカネになるのを待っている」という点で共通しています。したがって、「売上債権」や「たな卸資産」が増えると、資金繰りが悪くなることを理解しておきましょう。

いっぽうで、「仕入債務(買掛金・支払手形)」は「売上債権」の逆で、仕入代金の支払いを待ってもらっている金額です。よって、仕入債務が増えるほど、資金繰りは良くなります。

これらをふまえて。おカネになるの待っている金額(売上債権・たな卸資産)から、おカネの支払いを待ってもらっている金額(仕入債務)をマイナスしたものが「運転資金」です。

その運転資金分のおカネを会社が持っていないと、社員の給料や事務所家賃、その他の経費を支払うことができなくなってしまう。資金繰りが厳しくなってしまう… だから、運転資金分のおカネは銀行から借りておこう。というのが、資金繰りのセオリーです。

銀行もまた、会社が運転資金分のおカネを必要としていることはわかっています。また、運転資金については、売上債権やたな卸資産といった「換金性が高い資産」の裏付けがあるので、銀行も貸しやすい。運転資金の金額の範囲内であれば、銀行は貸しやすいのです。

加えて、運転資金には「折り返し融資」が受けやすい、という特徴があります。折り返し融資とは、もともとの借入額まで借り直す融資です。たとえば、1,000万円の融資を受けたのち、毎月返済を続けて、いまの融資残高は 600万円。そこで、折り返し融資 400万円を受けて、また融資残高を 1,000万円に戻す。

折り返し融資が受けやすい、ということは。「中長期的」に見れば、返済をしていないのといっしょ、です。借りて返す、借りて返すを繰り返しているわけですから。だとしたら、運転資金分の借入を返済するのに、利益や売上は必要ありませんよね。

言い換えると。資金繰り分岐点売上高の算式中の「借入返済額」のなかに、運転資金の借入分がふくまれている場合。求められる資金繰り分岐点売上高は、過剰だということです。

したがって、余裕資金の借入があるのなら、算式中の「借入返済額」からは、運転資金の借入分の返済額は除く必要があります。これが、「派生その2」です。

では、具体例で考えてみましょう。

固定費(販売管理費+営業外費用)が 3,000万円、うち減価償却費が 60万円、変動費率(売上原価率)が 40%、年間の借入返済額が 600万円、うち余裕資金分の返済 200万円の会社があったとして。税率はざっくり 30%とします。この会社の資金繰り分岐点売上高はさきほど見たとおり、

[(3,000万円+{(400万円ー60万円)÷(1ー30%) }]÷(1ー40%)= 5,809万円

これを見て。いやいや、5,809万円もまた厳しいぞ… という場合。借入返済額のなかに「運転資金の借入分」がないかを確認しましょう。その結果、運転資金として 750万円を3年毎月返済で借りているとしたら。年間の返済額は 250万円です。

であるならば、借入返済額 400万円のうち 250万円に対する売上は必要ありませんよね。つまり、借入返済額は 150万円と考えればOK、ということです。それでは、ふたたび算式に当てはめてみましょう↓

[(3,000万円+{(150万円ー60万円)÷(1ー30%) }]÷(1ー40%)= 5,214万円

さきほどの資金繰り分岐点売上高 5,809万円と比べると、さらに 595万円も少なくなりました。これなら、なんとかなりそうだ! ということもあるのではないでしょうか。

5,214万円あれば、ほんとうに資金繰りが回るのかどうか。いちおう、確かめておきます。

売上高が 5,214万円、売上原価率が 40%ということは、売上原価は 2,085万円です(5,214万円 × 40%)。よって、売上高から売上原価を差し引いた「売上総利益」は 3,129万円になります。

その売上総利益から、販売管理費と営業外費用の 3,000万円をマイナスすると 129万円。これが会社の最終利益です。そこに、税率 30%を掛け算すると、税金は 39万円になります。

最終利益 129万円から税金 39万円をマイナスすると 90万円。これが、税金を払ったあと手元に残るであろう金額です。ここで、減価償却費 60万円はおカネの支出はありませんので、 90万円に足し戻します(最終利益を計算するときにいちどマイナスしているので)。

結果、150万円が手元に残っていることになります。ただし、別途、借入返済額 150万円を支払わなければいけません。かくして、手元のおカネはゼロになります。資金繰りが回るための売上高は、5,214万円で正しかった! ということが明らかになりました。

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まとめに代えて 〜残った借入返済額の正体は?

会社が持続するために必要な売上、言い換えると「資金繰り分岐点売上高」について。前編でお話をした「計算式」には、さらなる「派生」がある。ということをお伝えしてきました。

余裕資金分の借入、運転資金分の借入があれば。それらの返済額は除いて考えるのが派生です。

ところで。それらを除いたのちに、なお残る借入返済額とはいったいなんなのか? おもには、「設備資金(設備を購入するためのおカネ)の借入分」と「赤字補てんの借入分」です。

これらの借入については、利益が必要であり、利益をあげるための売上が必要になります。返済をするのにに売上が必要な借入と、売上が必要ない借入との違いを押さえておきましょう。

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