銀行のことや融資のことはよくわからない… という場合には、専門家に支援を依頼するのは1つの方法です。
そこで、銀行融資支援を「顧問税理士」に依頼するメリットについて、お話をしていきます。
顧問税理士に依頼をするのは選択肢の1つに過ぎない。
会社の資金調達に欠かすことができない銀行融資。銀行のことや融資のことはよくわからない… という場合には、専門家に支援を依頼するのは1つの方法です。
その専門家とは? 弁護士、公認会計士、税理士、行政書士、社会保険労務士、コンサルタントなどが挙げられます。
ではもしも、税理士に支援を依頼する。とくに「顧問税理士(継続的な顧問契約を締結している税理士)」に依頼をする場合のメリットについて、本記事では取り上げてみることにします。
誤解なきように申し添えると、「顧問税理士以外にはメリットがない」という趣旨ではありません。顧問税理士に依頼をした場合には、とくにこういったメリットが期待できますよ、というだけの話です。
また、顧問税理士みなが、銀行融資の支援をしているわけでもありませんので。顧問税理士に支援を依頼したからといって、必ずしもメリットを享受できるとは限らないことをご了承願います。
と、ずいぶん注意書きが長くなりましたが、はじめていきましょう。銀行融資支援を「顧問税理士」に依頼するメリットとは、おもに次の3つになります↓
- 銀行からの信用を得やすい
- 税金計算に間違いが少ない
- いざというときの対応が速い
それではこのあと、3つのメリットを順番に見ていきましょう。
銀行融資支援を「顧問税理士」に依頼するメリット3つ
【メリット1】銀行からの信用を得やすい
銀行融資における支援のひとつに、「面談の同席」があります。銀行と会社とが面談をするときに、支援者もいっしょに同席をする、という支援です。
銀行対応に不慣れなうちはとくに、銀行との面談は心細いものでしょう。できれば、支援者に同席して欲しい… との要望は見聞きするところです。では、その「同席」を銀行はどう考えているのか?
大歓迎! というわけではないことを理解しておきましょう。どちらかと言うと、警戒の目をもって見ています。なぜなら、支援者のなかには「悪徳商売」をするヒトも存在するからです。
悪徳商売とは? 銀行から融資を受けやすくなるように、決算書の利益水増しを指南する。いわゆる粉飾決算です。銀行から融資を受けたところで、会社からは高額な報酬を得てサヨウナラ… こんなヒトたちばかりではありませんが、こんなヒトたちがいるのも事実です。
だから、銀行は支援者によってダマサれることがないように警戒しています。とくに、「単発(今回限りで支援をしている)の支援者」を警戒しています。そういった支援者の面談同席について、銀行は警戒をしているのです。
これに対して、顧問税理士はどうか? というと。会社とは「継続的な顧問契約」を結んでいます。基本的に、ずっと会社とお付き合いをするのが前提です。決算書を改ざんしてサヨウナラ… とはいかないのが顧問税理士になります。
結果として、顧問税理士による銀行融資支援は、「相対的」に銀行からの信用を得やすい。そう言っていいでしょう。実際にそんな話を、銀行員の方から聞いたこともあります。
というわけで。銀行からの信用を得やすいのは、顧問税理士に支援を依頼するメリットの1つだと覚えておきましょう。
ちなみに。本来は、支援者の同席がなくとも、会社単独で銀行と面談をできるのが理想です。銀行融資支援を受けるのであれば、いずれ会社が単独で銀行対応ができるように、考え方やノウハウなどを教えてもらうのがよいでしょう。
いつまでたっても支援者に「丸投げ」の姿勢では、銀行からの信用を失いかねません。
【メリット2】税金計算に間違いが少ない
言うまでもありませんが、税理士は「税金の専門家」です。ゆえに、税理士以外のヒトたちに比べれば、「税金計算」に間違いが少ない、と言っていいでしょう(絶対に間違えないわけではありませんが)。
銀行融資を考えるうえで、「税金計算」の正確性が重要になります。なぜなら、税金は会社が支払わなければならないものであり、その金額を見誤ると資金繰りでトラブルを招いてしまうからです。
実際にこんなことがありました。税理士ではないコンサルタントから、銀行融資支援を受けていた会社の話です。
コンサルタントの指導のもと、作成した予測資金繰り表に書かれていた決算時の見込み税額は 300万円。ところが、決算を迎えて税理が計算した税額は 600万円。予測の倍です。税額は 300万円と考えて資金繰りの算段をしていた社長は大慌て…
おまけに銀行からは、資金繰り表自体の正確性を疑われる始末。税金計算がずいぶんと間違っていたようですけど、ほかも間違っているんじゃないの? という疑いです。こうなると、銀行対応はやりづらくなるばかりです。
なお、間違いの原因は、コンサルタントが法人税を誤った税率で予測していたこと、消費税の計算方法を間違えていたことでした。
もちろん、すべてのコンサルタントが税金計算を間違える、という話ではありません。正しく税金計算できるコンサルタントの方もいるでしょう。ただ、「税金の専門家」である税理士のほうが、「相対的」に、税金計算を間違えることは少ない、という話です。
例に挙げたのは、予測よりも実際のほうが税額が多いケースでしたが。逆のケースもあります。予測よりも実際のほうが税額がだいぶ少なかった、というケースです。特別な税額控除制度を見逃していたりすると、そういうことが起こりえます。
税額が少なくなるんだからいいじゃないか、と思われるかもしれませんが。多額の税金を見込んで資金繰りにアタマを抱えていた社長であれば、ムダな心労ということになってしまいます。また、誤った税額計算、誤った資金繰り表を提示していれば、銀行からの信用も失ってしまうでしょう。
というわけで。税金計算に間違いが少ないのは、顧問税理士に支援を依頼するメリットの1つになります。
【メリット3】いざというときの対応が速い
できれば急いで融資を受けたい、というケースがあります。そこで銀行に融資をお願いしたところ、「試算表」を見せてほしいと言われた。
ところが、決算以降、試算表をつくっていない… という会社があります。慌てて試算表をつくらねばならず、融資をすぐに受けることもできない… 困りますよね。
この点で。顧問税理士がいる場合、顧問契約の内容にもよりますが、「毎月試算表をつくっている」という会社があるでしょう。試算表は毎月つくるべし、と考えている税理士は少なくありませんので。
であるならば、銀行に対してスムーズに試算表を提出することができます。
また、銀行からは「資金繰り表」を見せてほしい、と言われることもあるものです。急いで融資を受けたい、などというときには銀行も慎重ですから。資金繰り表を見て、返済ができる会社かどうかを判断したいと考えます。
その資金繰り表をつくるベースになるのが「試算表」です。資金繰り表の実績部分をつくるにも、予測部分をつくるにも「試算表」は欠かせません。もうちょっと具体的に言うと、「会計データ」が欠かせません。
この点で。顧問税理士は、会社の「会計データ」を持っています。会計データを活かして、資金繰り表をつくることができます。では、顧問税理士以外の支援者であればどうでしょう?
会計データを手に入れるところからはじめなければいけません。会社がすぐに提供できればいいのですが、そうではないケースはあるものです。試算表をつくっていなかったり、顧問税理士に丸投げしていて会計データは持っていなかったり…
こうなると、急いで融資を受けることは困難になります。試算表もない、資金繰り表もないのでは、支援者もまともな銀行対応ができないからです。
そういったケースに比べると。いざというときの対応が速いのは、顧問税理士に支援を依頼するメリットの1つになります。
ちなみに。そもそも論として、「急いで融資を受けたい」という状況がよろしくありません。急いで融資を受ける状況にならないように、日ごろから資金繰り・資金調達を考えるべきです。銀行融資支援を依頼するのであれば、急ぎの融資を必要としない銀行対応の考え方・ノウハウを教えてもらうようにしましょう。
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まとめ
銀行のことや融資のことはよくわからない… という場合には、専門家に支援を依頼するのは1つの方法です。
どの専門家に頼むか、選択肢はいろいろありますが。選択するときの判断材料として、銀行融資支援を「顧問税理士」に依頼するメリットを押さえておくとよいでしょう。
- 銀行からの信用を得やすい
- 税金計算に間違いが少ない
- いざというときの対応が速い