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会社がこれから銀行の『貸し渋り』に遭う理由3つ

会社がこれから銀行の『貸し渋り』に遭う理由3つ

コロナ後の銀行融資は受けにくくなる。いわば、「貸し渋り」の状況がやってくる。

というわけで。会社がこれから銀行の「貸し渋り」に遭う理由について、お話をしていきます。

目次

追い打ちをかけるような話。

きょうは、2021年5月28日。新型コロナの影響はいまだやまず、多くの会社が厳しい資金繰りに苦慮する状況です。

さらに追い打ちをかけるような話にはなりますが。コロナ後の銀行融資は受けにくくなる、いわば、「貸し渋り」の状況がやってくる。そう考えておいたほうがいいでしょう。

というわけで。会社がこれから銀行の「貸し渋り」に遭う理由について、お話をしていきます。理由はぜんぶで3つ、こちらです↓

会社がこれから銀行の「貸し渋り」に遭う理由3つ
  1. 信用保証協会付き融資はもうムリ
  2. 借りすぎ→プロパー融資もムリ
  3. 銀行の業績悪化

これらの「理由」を理解することで、来たるべき「貸し渋り」に備えておきましょう。それではこのあと、3つの理由を順番に見ていきます。

会社がこれから銀行の「貸し渋り」に遭う理由3つ

【理由1】信用保証協会付き融資はもうムリ

銀行融資のなかには、「受けやすい融資」と「受けにくい融資」とがあります。受けやすい融資の代表格と言えるのが、「信用保証協会の保証付き融資」です。

文字どおり、信用保証協会の保証が付いている融資で、会社が返済できないときには信用保証協会が代わりに返済をしてくれる。銀行としては回収しそびれることがないので、融資をしやすいのです。

ところが、その「保証付き融資」はいくらでも受けられる、というわけではありません。制度ごとに、上限が決められています。

無担保融資を前提にすれば、一般保証で 8,000万円まで。セーフティネット保証4号・5号は合わせて 8,000万円まで。危機関連保証は 8,000万円まで。

このうち、セーフティネット保証4号・5号と、危機関連保証は、「コロナ融資」として多くの会社に利用されました。つまり、すでに限度額いっぱいまで利用している会社が多い。

いやいや、ウチは 8,000万円も借りていないぞ。と、思われるかもしれませんが。8,000万円というのは、あくまで制度上の上限になります。実際には、それぞれの会社の規模や状況によって、8,000万円よりも少ない金額が上限になっていることもあるのです。

したがって、コロナ禍において「コロナ融資」を受けた会社については、すでに限度額いっぱい。これ以上、保証付き融資を受けるのは難しい… という会社が多いものと想像します。

また、限度額いっぱいではないにしても、プロパー融資(信用保証協会の保証が無い融資)を受けていない、受けていても少ない会社は、やはり、保証付き融資が受けにくい状況です。

コロナとは別の話になりますが。2018年、中小企業信用保険法という法律が見直されました。その見直しの内容を端的に言うと、「銀行は、なんでもかんでも保証付き融資にするな」ということです。

それまで(いまもなお残ってはいますが)、貸す側の銀行は「まずは保証付き融資で貸します」という姿勢であり、借りる側の会社も「保証付きだったら借りられるはず」という姿勢でした。

実際、信用保証協会付き融資は貸しやすく、また、借りやすい。

貸しやすければ、銀行は保証付き融資に依存し、銀行としての「目利き(審査力)」が失われます。借りやすければ、会社も保証付き融資に依存し、財務改善・経営改善の努力を怠ることになりかねません。

というわけで。保証付き融資に長らく依存する体質が続いたことを受けて、中小企業信用保険法の見直しが行われたのです。以来、徐々にではありますが、保証付き融資は「プロパー融資とのバランス」が取られるように変化しています。

ゆえに、プロパー融資を受けていない、受けていても少ない会社は、保証付き融資が受けにくくなることを理解しておきましょう。

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【理由2】借りすぎ→プロパー融資もムリ

いましがた、保証付き融資はもうムリだ、という話をしました。だったら、プロパー融資(信用保証協会の保証が無い融資)があるじゃないか。そう思われるかもしれません。

けれども、プロパー融資を受けるのもカンタンではありません。信用保証協会の保証が無い以上、銀行は「貸し倒れ(回収できなくなること)」を恐れますから。だれかれかまわず、プロパー融資をするわけにはいかないのです。

それでもプロパー融資を受けられるとすれば、返済力がある会社や財務力がある会社に限られます。

この点で。コロナを経て、たくさんのコロナ融資を受けた会社はどうでしょう? 現状、債務超過(資産よりも負債が多い状態)であり、ほんとうに返済できるのか? という不安を抱えている会社は少なくありません。

つまり、すでに「借りすぎ」なのです。借りすぎている会社に対して、銀行が、貸し倒れのリスクがある「プロパー融資」をしたがらないのは当然でしょう。

ちなみに。あらたなプロパー融資が受けにくくなるだけではありません。いま現在、プロパー融資を受けている会社が、折り返し(返済が済んだ分だけ借り直す)の融資を受けようとする場合にも影響します。

プロパー融資の折り返しを断られてしまう、ということです。似たような話として、手形貸付の更新を断られる、ということもあるでしょう。

結果として、保証付き融資も厳しい… プロパー融資も厳しい… まさに「貸し渋り」となります。

【理由】銀行の業績悪化

さいごにもうひとつ、会社が「貸し渋り」に遭う理由として、「銀行の業績悪化」が挙げられます。

人口減少や企業数の減少、低金利の影響などを受けて、多くの銀行の業績が悪化しているのは、報道にもあるとおりです。ではなぜ、銀行の業績が悪化すると、貸し渋りになるのか?

たとえば、銀行の自己資本比率。自己資本比率とは「自己資本/総資産」で計算する指標です。その自己資本比率について、銀行には「一定のハードル(自己資本比率規制)」が課せられています。

ハードルを下回ると、その銀行は存続できなくなってしまう。ゆえに、ハードルをクリアすべく、各銀行は自己資本比率を上げようとしているわけですが。どうしたら、自己資本比率を上げられるのか?

ハナシをわかりやすくするために、銀行における「総資産」は「貸付債権(融資)」に、「自己資本」は「利益」に置き換えてみましょう。

まず、自己資本比率(利益/貸付債権)を上げるには、「利益」を増やせばいいことがわかります。ところが、「低金利」や「回収不能に備えるための費用(貸倒引当金)」などで利益を増やせないとしたら。

自己資本比率を上げるためには、「貸付債権(融資)」を減らさなければいけません。「貸付債権(融資)」を減らすということは…? そうです、「貸し渋り」です。

というように。銀行はさらなる業績悪化を避けるために、積極的な融資ができなくなってしまうことがあります。

とはいえ。たくさんのコロナ融資をしたのだから、銀行の利益は増えているんじゃないの? と、思われるかもしれません。たしかに、利息収入は増えています。

けれども、その利息収入は言ってみれば「前借り」のようなものです。本来は、もう少しあとに融資をするはずだったところ、コロナを理由に前倒しで融資をした。その分の利息に過ぎません。

融資を前倒ししたのですから、これから先の融資は減っていきます。結果として、利息収入も減っていきます。そのときの業績悪化が予想されるところです。

また、たくさんのコロナ融資によって返済負担に耐えきれない会社も一定数あるでしょう。そこで、銀行はプロパー融資を中心に、「回収不能に備えるための費用(貸倒引当金)」を計上することになります。やはり、銀行の業績を悪化させるところです。

このように、銀行が置かれた状況は厳しいものであり、それによって起こる貸し渋りがあることも理解しておきましょう。

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まとめ

コロナ後の銀行融資は受けにくくなる。いわば、「貸し渋り」の状況がやってくる。というわけで、会社がこれから銀行の「貸し渋り」に遭う理由について、お話をしてきました。

会社がこれから銀行の「貸し渋り」に遭う理由3つ
  1. 信用保証協会付き融資はもうムリ
  2. 借りすぎ→プロパー融資もムリ
  3. 銀行の業績悪化

これらを受けて、会社はどうしたらいいのか? どうしたら「貸し渋り」に対応できるのか? そのあたり、こちらの記事がヒントになるものと考えています↓

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