わたしが執筆している『無借金経営を目指す社長に読んでほしい銀行融資の本』のなかから、わりと多くの社長が「重要だけど知らずにいるかもしれないこと」についてお話をしていきます。
いきなり宣伝じみたハナシではあるけれど。
2020年9月に、『無借金経営を目指す社長に読んでほしい銀行融資の本』を kindle出版しました。大ヒット! なんてことはないにせよ、いまもなお、根強くお読みいただけているようです↓
などと言うと、いきなり宣伝じみたハナシに聞こえるかもしれませんが。今回はその本のなかから、わりとよく「マーカー」を引いていただけた部分(いわゆるポピュラーハイライト)、つまり、読者の方が「ここは重要」と感じたであろう部分を5つ選んでお話をしてみます。
その5つは、銀行融資について重要だけど知らずにいることかもしれませんので。このあと、確認をしていきましょう。
銀行融資について重要だけど知らずにいるかもしれないこと5選
【1】年間売上高が1億円未満の会社は、迷わず「信用金庫・信用組合」を選びましょう。
無借金経営を目指す社長に読んでほしい銀行融資の本/モロトメジョー著より引用
銀行融資・銀行対応に不慣れな社長がやりがちなこととして、「大きな銀行から融資を受けようとする」が挙げられます。典型的なのは、都市銀行(メガバンク)からの融資です。
そういう社長にはぜひ、この話を理解してほしい。そう考えて、上記のように書きました。
そもそも、都市銀行は「大企業向け」の銀行です。中小企業にも融資をしないわけではありませんが、はっきり言って「ついで」の位置づけだと言っていいでしょう。メインはあくまで大企業です。
なにしろ、中小企業は大企業に比べると財務基盤が弱く、融資をするにも不安があります。資金需要が旺盛な大企業に融資をしていれば、都市銀行の商売は成り立ちますから、ムリをして中小企業にまで融資をする必要はありません。
じゃあ、中小企業はどこから融資を受ければいいのか。中小企業のなかでも、年間売上高が1億円以上の会社は「地方銀行」から、1億円未満の会社は「信用金庫・信用組合」からがおすすめです。
地方銀行は、都市銀行の次に規模が大きく、信用金庫・信用組合はもっとも規模が小さい金融機関になります。つまり、「会社の規模に合わせて、銀行を選ぶ」ということです。
銀行を「ネームバリュー(有名だから)」で選んではいけません。ただただ、融資が受けにくくなってしまいます。くわしくはこちらの記事もどうぞ↓
【2】都市銀行で信用保証協会付き融資を受けても、その後にプロパー融資を受けられることはまずない。
無借金経営を目指す社長に読んでほしい銀行融資の本/モロトメジョー著より引用
先ほどの話に関連して。都市銀行で融資を受けられたとしても、それはおそらく「信用保証協会付き融資」だけですよ、という話になります。
信用保証協会付き融資とは、文字どおり、信用保証協会の保証が付いた融資のこと。会社が銀行から借りたおカネを返済できないときには、信用保証協会が肩代わりをしてくれます。
したがって、銀行は「安心」ですから融資がしやすい。これに対して、プロパー融資は「信用保証協会の保証が無い融資」です。会社が返済できないときには、銀行が100%の損をかぶります。
じゃあ、危険があるプロパー融資を、都市銀行が中小企業を相手にするんでしょうか? しませんよね、ということになります。プロパー融資をするなら、財務基盤が強い大企業に対してです。
だから、都市銀行が中小企業に融資をするとしても、それは「信用保証協会付き融資」になります。これを聞いて、「別に借りられるんならいいじゃないか」と思われるかもしれませんが。
けして、そうではありません。なぜなら、信用保証協会付き融資には「上限」があるからです。それ以上に融資を受けたいのであれば(会社の成長にあわせて必要なおカネは増える)、上限がない「プロパー融資」が必要になります。
じゃあ、都市銀行からは信用保証協会付き融資を受けて、地方銀行や信用金庫・信用組合からはプロパー融資を受ければいいか? と言うと。それも違います。
地方銀行や信用金庫・信用組合は、「なんで、都市銀行ばかりが安心な信用保証協会付き融資なんだ? なんでウチばかりがリスクを負わなければいけないんだ?」と不満に思うでしょう。
ですから、中小企業がプロパー融資を受けるためには、信用保証協会付き融資も地方銀行や信用金庫・信用組合から受けるべきです。信用保証協会付き融資で安心を与えながら、プロパー融資を徐々に引出していくのがセオリーになります。
【3】融資希望額を聞かれたときに、「逆に、いくらだったら借りられますか?」と言うのではいけません。
無借金経営を目指す社長に読んでほしい銀行融資の本/モロトメジョー著より引用
社長は、「いくらだったら借りられるんだろう? どうせなら、できるだけたくさん借りたい」と考えることがあるでしょう。実際に、そういうご質問をよくいただきます。
でも、それを銀行に聞いてはいけません。銀行は、「会社が必要とするだけのおカネ」を貸すのであって、「貸せるだけのおカネ」を貸すのではないからです。
もしも、友人から「なんにつかうかはわからないけど、貸せるだけ貸してほしい」と言われたら… 貸しませんよね。ましてや、銀行は友人ではないのですから、「情」で貸すこともありません。
したがって、銀行から融資を受けようとするときには、「なにに・いくらつかうか」 を明らかにしたうえで相談をすることです。融資希望額がわからないのでは相談になりません。
とはいえ、いくらくらい借りられるかがわからないと相談しづらい、ということはあるでしょう。借りられそうな金額がわかっているからこそ、融資希望額を伝えやすくもなる。
では、借りられそうな金額とは? 本に書いてはいますけれど、こちらのブログ記事からでもどうぞ↓
【4】現金預金の残高が、平均月商の1ヶ月分未満になると融資が受けにくくなります。
無借金経営を目指す社長に読んでほしい銀行融資の本/モロトメジョー著より引用
銀行は融資をするときに、会社の返済力として「利益」を見ているのと同時に、「おカネ」がどれくらいあるかも見ています。
いくら利益が出ていても、おカネが無くなれば会社は潰れてしまう。逆に、少々赤字だったとしても、おカネがあれば、会社が潰れることはないからです。
にもかかわらず。おカネが少なくなってから、「おカネを貸して」と銀行に駆け込む社長は少なくありません。これでは、融資が受けにくくなるのは当然でしょう。
では、どのくらいおカネが少なくなると、融資が受けにくくなるのか? その目安が「平均月商の1ヶ月分」です。平均月商とは「年間売上高÷12ヶ月」で計算します。
つまり、平均的な月の売上高1ヶ月分にも満たないような預金残高となると、銀行からの融資は受けにくくなるわけです。
そういう会社の資金繰りは厳しく、ちょっと入金と支払のタイミングがずれるだけで資金ショートしてしまいます。そのため、社長はおカネの算段に動き回らなければいけません。
社長がそんなことにならないように。そして、銀行からスムーズに融資が受けられるように、おカネがあるうちに、あらかじめ融資を受けておくようにしましょう。
【5】決算書が黒字のときには忘れずに、融資条件の交渉をするようにしましょう。
無借金経営を目指す社長に読んでほしい銀行融資の本/モロトメジョー著より引用
決算書が黒字のときには融資を受けやすい、という話は広く知られているところです。ではなぜ、決算書が黒字だと融資が受けやすいのでしょうか?
黒字ということは、返済力があるということであり、銀行としては安心だからです。だとしたら、黒字のときには、より良い融資条件を交渉することだってできるはずですよね。
ところが、黒字のときというのは余裕があるからなのかどうなのか。交渉をしようとしない社長は少なくありません。それでいて、赤字になると「もっと金利を下げてほしい」などと交渉をはじめたりします。
赤字ということは、返済力に不安があるということですから。そんな交渉に銀行が応じられないのは、言うまでもありません。言うまでもないのですが、意外としがちな行動ですから気をつけましょう。
似たようなケースとして、銀行からの融資セールスがあります。融資セールスをされる、つまり、「おカネを借りませんか?」と言われるのは、銀行がおカネを貸したいからです。
銀行員にもノルマがありますから、貸したければ貸したいほど、こちらの条件をのんでもらえる可能性があります。融資条件を交渉するチャンスです。
にもかかわらず、「いまは要らない」と断ってしまう社長も少なくありません。いますぐにはおカネが要らなくても、良い融資条件で融資を受けた「実績」をつくっておきましょう。その実績が、次の融資を受けるときの基準になり、交渉材料にもなります。
まとめ
わたしが執筆している『無借金経営を目指す社長に読んでほしい銀行融資の本』のなかから、わりと多くの社長が「重要だけど知らずにいるかもしれないこと」についてお話をしてきました。
へー、知らなかったなぁと思われたようでしたら、ほかにも知らないことがあるかもしれませんので。よろしければ、続きはこちらのほうでどうぞ(宣伝w)↓