A銀行で融資を断られてしまった… でも、B銀行なら融資OKということはありうるだろうか? というお話をしていきます。
結論、ありえる。ただし…
会社が銀行から融資を受ける場合。A銀行で融資を断られてしまった… でも、B銀行なら融資OKということはありうるだろうか? と考えることがあるでしょう。
実際に、そのようなご相談をいただくこともあります。
結論は、「ありえる」です。なぜなら、A銀行もB銀行も同じ「銀行」ではありますが、銀行にはそれぞれの考え方があるから。というのが、理由になります。
したがって、A銀行で融資を断られたからといって、必ずしも融資自体をあきらめる必要はありません。B銀行にもチャレンジしてみるのは、1つの選択肢だと言えるでしょう。
ただし、そうは言ってもB銀行からの融資もムリだ、100%ムリではないにしても相当厳しいだろう、というケースはあります。
そこで、「A銀行で融資を断られた→B銀行でも融資は厳しい」というケースについて確認をしておきましょう。具体的には、次の3つです↓
- 保証協会に断られている
- 明らかに状況が悪い
- 書類の準備が不十分
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
A銀行で融資を断られた→B銀行でも融資は厳しいケース
【ケース1】保証協会に断られている
民間銀行の融資は、大きく2つに分かれます。「信用保証協会の保証付き融資」と「プロパー融資」です。
信用保証協会の保証付き融資とは、会社が返済できなくなった場合には、信用保証協会が返済を肩代わりする融資になります。いっぽうのプロパー融資は、信用保証協会の保証がない融資。会社が返済できなくなった場合には、銀行が100%の損をかぶる融資です。
このうち、信用保証協会の保証付き融資について。この融資を受ける場合には、銀行の審査と信用保証協会の審査、2つの審査が必要になります。2つの審査の両方でOKがでなければ、融資をうけることはできません。
この点で。もしも、A銀行を通じて、信用保証協会の保証付き融資を申し込んだ結果、「信用保証協会の審査でNGだった」とすると。あらためてB銀行を通じて融資を申し込んだとしても、基本的にはNGになります(A銀行で申し込んだときとは状況が大きく異なる場合を除く)。
これに対して、同じNGでも「信用保証協会の審査以前に、A銀行の審査がNGだった」という場合には、B銀行を通じて信用保証協会の保証付き融資を受けられる可能性があります。
とはいえ、信用保証協会の保証付き融資の場合、まずは銀行が信用保証協会に「打診」をすることが多いでしょうから、まれなケースだと言えるでしょう。
なお、プロパー融資の場合には、A銀行がダメでもB銀行で融資を受けられる可能性はあります。冒頭でもお話をしたとおり、銀行ごとの考え方には違いがあるからです。
というわけで。銀行から融資を断られた場合には、信用保証協会の保証付き融資とプロパー融資のどちらを断られたのか? 信用保証協会の保証付き融資であれば、信用保証協会の審査と銀行の審査のどちらがNGだったのか? を確認するようにしましょう。
[ad1]【ケース2】明らかに状況が悪い
いましがた、こんな話をしました。
プロパー融資の場合には、A銀行がダメでもB銀行で融資を受けられる可能性はある。だから、A銀行で断られたとしても、B銀行で融資を受けられる可能性はある。という話です。
たしかに、銀行ごとに考え方の違いがありますから、銀行を替えれば融資を受けられるかもしれません。けれども、「明らかに状況が悪い」というケースはまた別です。
いちばんは、決算書の内容がとても悪い、という場合。具体的には、2期以上赤字が連続しているとか、債務超過(資産よりも負債が多い)を数年ていどで解消できる見込みがないとか、すでに借入額が多すぎるとか。
銀行ごとに考え方が違うとは言っても、「基本」となる部分はほとんど同じです。いまは廃止されましたが、かつては「金融検査マニュアル」なるモノの考え方をすべての銀行が共有していました。
廃止になったとはいえ、マニュアルに書かれていたことは正しく、いまもなおその考え方は銀行のなかに強く残っています。
マニュアルに照らせば、決算書の内容がとても悪いような会社に融資をすることは厳しく。結局、銀行を替えたとしても、やはり断られてしまう可能性は高いものです。
また、ノンバンクから経常的に融資を受けていたり、多額の税金や社会保険料を滞納していたり、というような会社に対しては、すべての銀行が融資を躊躇します。
言うまでもなく、そういった会社は「危険な状態」であり、融資をしたら返済をしてもらえる可能性が低いからです。
というわけで、「明らかに状況が悪い」のでなければ、融資を断られたとしてもほかの銀行で融資を受けられる可能性はあります。
たとえば、A銀行とはかつて、社長と銀行担当者とのあいだでトラブル(言った言わないの口論から社長が支店長にクレームとか)になったことがるようなケース。
いちどトラブルがあると、それが記録に残り、融資が受けにくくなることがあります。たとえ、決算書の内容が良かったとしても、です。
こういった場合には、銀行を替えて融資を申し込んでみるとよいでしょう。もちろん、そもそもトラブルは起こさないに限りますが。
[ad1]【ケース3】書類の準備が不十分
融資を受けるにあたって、書類の準備が不十分な場合には、銀行を替えたとしても融資を受けられないことが多くなります。
おもなところでは、試算表や資金繰り表。必ずしも必要なわけではありませんが、あったほうが融資は受けやすくなりますし、業績に不安がある会社はあったほうがいいでしょう。
業績に不安がある、という点でいえば。社長の個人資産について情報提供をすることで、融資が受けやすくなることはあります。中小企業では、会社の資産も社長の個人資産も「一体」として、銀行は見ているからです。
このあたりのことがわからずに、書類としては「決算書」くらいしか用意ができないとなると。銀行を替えたとしても、融資は受けにくくなるでしょう。
また、わりとよく見かけるのは、「事業の内容」をつたえる書類が不十分なケースです。お手軽なところでは、会社案内や商品パンフレット。もう少し、手のこんだところでは「商流図」や「業務フロー図」など。
銀行は、数字ばかりを見ていても、柔軟な融資ができないものです。会社にあわせて、必要な融資を柔軟に実行するためには、その会社の「事業の内容」を理解することが欠かせません。
ですから、会社は銀行が理解できるように、「事業の内容」に関する書類を準備して渡すようにしましょう。
なお、「商流図」や「業務フロー図」については、経済産業省が提供しているツール「ローカルベンチマーク」を利用するのがおすすめです。くわしくは、こちらの記事に書きました↓
銀行からスムーズに融資を受けるためには、書類の準備が重要になります。融資を断られてしまうようであれば、書類の準備が不十分ではないか? 確認をするようにしましょう。
銀行を替えて融資を申し込むのは、そのあとです。
まとめ
A銀行で融資を断られてしまった… でも、B銀行なら融資OKということはありうるだろうか? というお話をしてきました。
結論は、ありうる。ただし… という点を押さえておくようにしましょう。
- 保証協会に断られている
- 明らかに状況が悪い
- 書類の準備が不十分