会社が銀行から融資を受けやすい時期がある、というハナシがあります。
そこで。融資が受けやすい時期とはいつなのか? それでも、融資が受けやすくならないケースとは? についてお話をしていきます。
そんなものがあるのなら、ぜひとも狙いたい。
会社が銀行から融資を受けるなら、「融資を受けやすい時期」を狙ったほうがいい。というハナシがあります。「そんなものがあるのなら、ぜひとも狙いたい!」と考える社長もいるでしょう。
そこで、融資が受けやすい時期とは具体的にいつを言うのか? ところが実は、その時期にでも、けして融資が受けやすくもならないケースについてお話をしていきます。
- 融資が受けやすい時期はいつ?
- それでも、融資が受けやすくならないケースとは?
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
融資が受けやすい時期はいつ?
結論として、「2月・8月・11月」が、融資が受けやすい時期にあたります。
それは、なぜなのか? まず、3月は銀行の決算月です。一般の会社と同じように、銀行もまた、決算では多くの利益を出したいと考えています。そのために、目標を立てているわけですが。
利益とあわせて、銀行では「融資額」も目標に挙げられます。銀行は「貸してナンボ」、融資額があってこその利息収入。融資額あってこその利益でもあるからです。
その融資額が目標に到達していない場合、3月末に間に合うよう、がんばって融資をする必要があります。ゆえに、通常よりは審査がユルくなるのがこの時期です。
ただし、融資の審査や手続きにかかる時間から逆算すると、ひと月前の「2月くらい」には融資の申し込みがなければいけません。3月になってからでは遅い、と言えます。
これと同じ理由で、8月。銀行の中間決算が9月になるため、そのひと月前の「8月くらい」に申し込みがあった融資については、やはり、審査がユルくなる可能性があります。
さいごに、もうひとつ。融資が受けやすい時期と言えるのが、11月です。
多くの会社では、年末、なにかと入用がかさみます。年末年始に備えて在庫を積み増すための仕入代、社員への賞与支払などが、その典型例です。
これらの資金ニーズによって、11月あたりから融資の申し込みが増えることになります。すると、どうなるか? 銀行は忙しくなるので、審査が少々ユルくなる、ということです。
以上から、融資が受けやすい時期として、「2月・8月・11月」が挙げられます。
それでも、融資が受けやすくならないケースとは?
一般的には、「2月・8月・11月」は、融資が受けやすい時期だと言われている。ところが、実際には、それでも融資が受けやすくもならないケースがあります。おもに、次の3つのケースです↓
- 銀行が目標達成済み
- 銀行の混雑が激しい・会社の準備不足
- 会社の業績が厳しい
これら3つのケースについて、順番に見ていきましょう。
【ケース1】銀行が目標達成済み
2月と8月は、銀行が「目標達成を目指しているために、融資審査がユルくなる」という話をしました。では、銀行がすでに目標を達成している場合はどうでしょう?
当然、ムリをしてまで融資をする必要はありませんから、ユルくなることはありません。
ですから、2月と8月は必ず融資が受けやすい時期かと言うと、そうでもないわけです。銀行によって、あるいは支店によって、目標の達成状況は違います。
そう考えると、銀行が「いつでも融資提案しやすい状況」にしておくのがベストです。
具体的には、業績が安定していること(決算書の最終利益と純資産がプラス)、向こう1年ていどの資金ニーズがはっきりしていること(資金繰り表ができている)が挙げられます。
すると銀行は、銀行の貸したいタイミングで、融資提案をできるわけです。
銀行の目標達成状況をうかがいながら融資を申し込む、というのも現実的ではありませんので。銀行が、貸したいときに貸せる会社を目指してみましょう。
【ケース2】銀行の混雑が激しい・会社の準備不足
2月・8月・11月は、融資審査がユルくなるとはいえ。その時期に、融資申し込みが多く、銀行の混雑があまりに激しい場合はどうでしょう。
審査には時間がかかりますから、間に合わない、あと回しにされる、といったことが考えられます。いくら審査がユルくても、融資が受けられないのでは元も子もありません。
実際、新型コロナの際には、融資を受けるのに2〜3ヶ月待ちの状況が起こりました。とにかく緊急の状況でしたから、審査自体はユルかったのですが、混雑が激しく、とにかく時間がかかったわけです。
また、会社の準備不足があると、やはり、融資を受けるのに時間がかかります。試算表ができていないとか、資金繰り表をつくっていないなど。銀行が融資審査で必要とする情報を、会社がスムーズに提供できないようだと、結局は融資が受けにくくなるものです。
融資が受けやすい時期に、ほんとうに融資を受けやすくするためには、会社の準備が必要であることも覚えておきましょう。
【ケース3】会社の業績が厳しい
融資が受けやすい時期であったとしても、業績が厳しい会社ほど、融資が受けやすいとは言えなくなります。言うまでもなく、銀行は回収不能の大きなリスクを負ってまで、融資をしたいとは考えないからです。
とくに、2期以上連続赤字の会社、債務超過(資産よりも負債が多い)の会社は、どうしても融資が受けにくくなります。
また、役員貸付金がある会社や、含み損を抱えた有価証券や不動産を持っている会社なども、融資が受けにくくなる傾向にあります。そういった会社は、借りたおカネをまた貸付金や投資に回してしまいがちだからです。
融資が受けやすい時期に、その恩恵を受けるには、日ごろの業績・日ごろの行動がだいじになります。業績も行動も、そのときになってあらためるというのでは遅すぎますので、日ごろからじゅうぶんに気をつけましょう。
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まとめ
融資が受けやすい時期は、たしかに存在します。ただし、過度に期待をするものでもありません。融資を申し込むときに、「受けやすい時期にあたったらラッキー」くらいに考えておくのがよいでしょう。
あわせて、その時期にでも、けして融資が受けやすくもならないケースを押さえておきましょう。