できることなら、プロパー融資を受けたい。ところが、業績は良いのに、銀行が提案してくるのは保証付き融資ばかり… というときにどうするか? をお話ししていきます。
なぜ、保証付き融資ばかり。
銀行融資を受けている会社の社長であれば、「プロパー融資を受けたい!」と考えることでしょう。そこには、いろいろなメリットがあるからです↓
なのに、どういうわけか銀行は、いつもいつも信用保証協会の保証付き融資ばかり。業績だって良いのに(連続黒字・資産超過など)、プロパー融資を提案してくれないのはなぜなのか? というのであれば。
どうすればよいのかについて、お話をしていきます。具体的には、次のとおりです↓
- タイミングを見て交渉する
- 預金取引を集める
- 資金繰り表を提示する
- 経営計画書を提示する
- 銀行を替える
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
業績は良いのにプロパー融資が受けられないときにどうするか?
タイミングを見て交渉する
そもそも、銀行にとってプロパー融資はリスクが高い融資です。できることなら、保証付き融資で済ませたいと考えています。なので、こちらが黙っていたのでは、プロパー融資を受けることはできません。
プロパー融資を受けたければ、こちらから交渉する必要がある。ということは、覚えておきましょう。
そのうえで、交渉するタイミングが重要になります。ぜひとも狙いたいタイミングが、銀行から「融資を受けませんか?」とセールスをされたときです。
銀行にも「ノルマ」があります。とくに、中間決算である9月、本決算である3月のノルマ達成は重要です。したがって、その手前1〜2ヶ月くらいのあいだに、融資セールスを積極展開する銀行があります。
このとき、銀行は「貸したい」のですから、交渉するチャンスです。ふだんであれば断られてしまうようなことでも、話を聞いてもらえる可能性が高まります。
ですから、「プロパー融資であれば検討します」と伝えてみましょう。ちなみに、金利の引き下げ、担保や保証の解除といった条件交渉も、融資セールスを受けたときが狙いめになります。
やみくもに交渉するのではなく、タイミングを見て交渉するのがポイントです。
預金取引を集める
銀行は、自行の口座に預金がある融資先に対しては、より積極的な融資ができるようになります。なぜなら、預金が担保のようなものだからです。返済してもらえない、という不安が軽減されます。
なので、プロパー融資を受けたいのであれば、預金を多くあずけている銀行に依頼する。あるいは、プロパー融資を依頼する銀行に預金を移してみるのは、ひとつの方法になります。
なお、ただ預金残高が多いというだけではなく、「取引」も多いほうが効果的です。取引とは、売上入金や、仕入代金・諸経費の支払いなど。こういった取引があれば、銀行は手数料収入をえられます。
利息に加えて、ほかにも収入をえられる融資先を、銀行は「優良顧客」と考えるものです。したがって、プロパー融資を依頼する銀行に、預金残高を集める・預金取引を集めることを検討してみましょう。
なお、預金取引が多い銀行は、会社の業績が悪いときにも支援をしてくれやすい傾向があります。業績が悪ければ、通常は融資が受けにくくなるところですが、入金取引があればようすがわかりますし、返済原資にもなるからです。
業績が悪いときに融資を依頼するのであれば、預金取引が多い銀行に。と、考えてみましょう。
資金繰り表を提示する
向こう6ヶ月〜1年先の資金繰り表を銀行に提示することで、プロパー融資が受けやすくなります。言うまでもなく、先々のおカネの動きがあきらかになるからです。
あきらかになれば、貸したおカネを返してもらえそうかどうかがわかります。返してもらえそうだとわかれば、プロパー融資も受けやすくなるというものです。
資金繰り表を提示したほうがよいのは。プロパー融資に限らず、融資全般について共通することではありますが。多くの会社が、そうはしていません。
資金繰り表をつくっていない・つくれない会社はもちろん、「つくってはいるけれど提示していない」という会社もあります。ぜひ提示して、銀行融資・銀行対応に活かしていきましょう。
ちなみに、銀行にとって「良い資金繰り表」とは。預金残高が増えていく、少なくとも減ることがない資金繰り表です。逆に、預金残高が減っていく資金繰り表では、融資が受けにくくなってしまいます。
ですから、預金残高が増えていく資金繰り表を目指すべきですし、そのような資金繰り表ができたときには、それを交渉材料にして、プロパー融資の依頼をしてみるとよいでしょう。
[ad1]経営計画書を提示する
経営計画書が大切だというのは、言をまたないところです。にもかかわらず、割合で言えば多くの会社が、経営計画書をつくっていません。ゆえに、経営計画書を提示できる会社は、銀行から一目置かれます。
その計画書が、実現可能性の高いものであればとくにです。
では、実現可能性が高いとはどういうことなのか? まず、現状分析がきちんとできていること。現状分析もなしに、いきなり数値計画があったとしても、検証のしようがありません。
なお、現状分析とは、いわゆるSWOT分析や3C分析と言われるものです。
また、行動計画がない経営計画書も、実現可能性が高いとは言えません。数値計画を実行・達成するためには「行動」が必要です。その行動を実行・管理するのに、行動計画は欠かせません。
したがって、現状分析と行動計画を織り込んだ経営計画書を作成し、銀行に提示しましょう。銀行は将来性を感じることから、プロパー融資を検討しやすくなるはずです。
銀行を替える
ここまで4つのことについてお話をしてきましたが。これでもなお、まったくプロパー融資を考えてくれないような銀行があるとしたら、銀行を変えることも選択肢のひとつです。
ひとくちに銀行と言っても、それぞれ違いがあります。プロパー融資に積極的な銀行もあれば、保証付き融資ばかりの銀行もあります。
さらに言えば、同じ銀行でも支店によって違いがありますし、銀行担当者によって違いもあるでしょう。だとしたら、ひとつの銀行にこだわるのではなく、ほかの銀行にもチャレンジしてみることです。
どこかひとつの銀行でプロパー融資を受けることができれば、それを見たほかの銀行からも、プロパー融資が受けられるようになることもあります。
ですから、まずはひとつ、どこかの銀行からプロパー融資を受けられるようになりましょう。
気をつけたいのは、自社の規模感と合わない銀行にプロパー融資を依頼しないことです。たとえば、年商1億円未満の会社は、都市銀行や地方銀行からプロパー融資を受けられることはありません(じゅうぶんな担保がある場合を除く)。
受けられるとすれば、信用金庫・信用組合になります。そもそも、銀行選びを間違えないように注意が必要です。
まとめ
できることなら、プロパー融資を受けたい。ところが、業績は良いのに、銀行が提案してくるのは保証付き融資ばかり… というときにどうするか? をお話ししてきました。
これらに取り組みながら、ぜひプロパー融資を引き出していきましょう。
- タイミングを見て交渉する
- 預金取引を集める
- 資金繰り表を提示する
- 経営計画書を提示する
- 銀行を替える