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資金繰りの極意「入金を早く、出金を遅く」の具体策

資金繰りの極意「入金を早く、出金を遅く」の具体策

資金繰りについて、極意とも言われているのが「入金を早く、出金を遅く」です。机上の空論という側面があるいっぽうで、現実的な具体策もありますよ。という、お話をしていきます。

目次

机上の空論か、はたまた戯言か。

会社にとって、資金繰りは「生命線」。資金繰り、すなわち、おカネのやりくりを失敗すれば、資金不足に陥り、倒産ということにもなりかねません。

そんな資金繰りについて、極意とも言われているのが「入金を早く、出金を遅く」です。意味は文字どおり、といったところではありますが。

具体例として挙げられるのは、「入金を早く」で言えば、「売上先に入金サイトを短くしてもらいましょう」とか。「出金を遅く」で言えば、「仕入先に支払サイトを延ばしてもらいましょう」とか。

たしかに、そのとおりなのですが。それができれば苦労はしない、ということでもあるでしょう。

なぜなら、売上先にしても、仕入先にしても、相手にあまりムチャを言うと、その後の取引自体がなくなってしまうこともあるわけで。そうなってしまえば、入金を早くも、出金を遅くもありません。

じゃあ、「入金を早く、出金を遅く」は、机上の空論に過ぎないのか? 資金繰りコンサルタントの戯言に過ぎないのか? といえば、けしてそういうわけでもないだろう。

ということで、わたしが考える「入金を早く、出金を遅く」の具体策について、お話をしてみることにします↓

「入金を早く」の具体策3つ
  1. 値上げをする
  2. 売上の柱を増やす
  3. 黒字で融資を受ける
「出金を遅く」の具体策3つ
  1. 相見積もりする
  2. 借りかたを変える
  3. 与信管理を徹底する

それではこのあと、順番に見ていきましょう。

「入金を早く」の具体策3つ

まずは、「入金を早く」のほうから。現実的な具体策として、おもなものを3つ挙げてみます。

1.値上げをする

値上げによって売上が増えれば、入金を増やすことができます。これを聞いて、「それこそ、それができたら苦労はしない」と、思われるかもしれません。

つまり、値上げをすれば、客離れが起きてしまうじゃないか、ということです。が、もちろん、そこは織り込み済みです。一定の客離れが起きたうえで、それでも値上げ分でカバーできるとの考えになります。

結果として、値上げをしても売上は下がらなかった、むしろ、ちょっと増えた。というのは、実際に散見される現象だと言えます。長らく値上げをしてこなかった会社、価格据え置きを続けてきた会社などはとくに、です。

なにより、「客数減少・売上維持(あるいは増加)」によって、コストダウンが期待できます。顧客対応や商品管理にかかっていたコストを抑えることができるからですね。

すると、入金に対して出金が減りますから、「入金を早く」したのと同じ効果を得られます。小さな会社ほど、値上げに対する「抵抗感」が大きい傾向があるようです。値上げも選択肢に加えていきましょう。

2.売上の柱を増やす

さきほど、値上げによって、「顧客対応や商品管理にかかっていたコストを抑えることができる」という話をしました。ここで言う「コスト」とは、金銭に限りません。「時間」もです。

客数が減れば、顧客対応の時間を減らせます。客数が減って、販売商品数や取り扱い商品数を減らすことができれば、商品管理や在庫管理の時間も減らせます。

こうして減らすことができた時間、空いた時間を利用して、あらたな「売上の柱」を増やしましょう。というのが、「入金を早く」の具体策になります。

いまは変化が速い時代でもあり、商品・サービスの「寿命」は長くありません。また、コロナのように、それまでの環境・状況が一変することもあります。

それでも、会社を維持・成長させるためには、売上の柱を複数持つことが「必須」だと言えるでしょう。にもかかわらず、それを先送りするのに比べれば、いますぐ着手することは「入金を早く」するのと同じ効果を生み出します。

3.黒字で融資を受ける

会社が「おカネを増やす方法」として、理想は売上を増やすことでしょう。売上を増やして、利益を増やすことでおカネを増やせるのであれば、それがいちばんです。

とはいえ、売上や利益を増やすのにも時間がかかります。そこで、その時間をかせぐ方法として、銀行融資がおすすめです。

将来の売上や利益を「先取り」する意味合いで銀行融資を受ける、と考えてみるのはどうでしょう。まず、手元のおカネが増えて、資金繰りを安定させることができます。結果、社長は経営に集中もできるのはメリットです。

また、借りたおカネを事業にまわすことで、事業の拡大・成長を加速できる。いわゆる「レバレッジ効果」もあるでしょう。いずれにせよ、銀行融資には「入金を早く」の効果があります。

同じ銀行融資でも、おカネが不足しだしてから… というのは得策ではありません。借りたおカネは、赤字補てんにまわるだけだから、ですね。

銀行融資を活かすのであれば、おカネが不足する前に、黒字のうちにしましょう。業績がよければ、融資審査にもとおりやすいので、一石二鳥です。

「出金を遅く」の具体策3つ

続いて、「出金を遅く」について。やはり現実的な具体策として、おもなものを3つ挙げてみます。

1.相見積もりする

仕入先や外注先との、取引価格について交渉をしたことがない。というより、相見積もりすらしたことがない、という会社があります。結果として、「割高」になっていることはあるものです。

取引が長い仕入先や外注先に対してこそ、価格の見直しをするようにしましょう。もちろん、関係性を壊すまでの交渉をしてはいけませんが、「相見積もり」は一般的な商慣習でもあります。

似たようなこととして挙げられるのが、事務所や店舗などの「賃料」です。これらもまた、長きにわたって、賃料が据え置かれているケースがあります。

実は、近隣相場はだいぶ下がっているのは、わりとよくあることですから。まずは、近隣相場について調べてみましょう。おおむねの目安であれば、ネットですぐに調べることができます。

そういった「根拠(いうなれば、相見積もり)」をもとに、賃料交渉をしてみると、思いのほか「あっさり」と賃料が下がるケースはめずらしくありません。

仕入や外注費、賃料などは、いずれも「出金を遅く」につながるものとして、相見積もりを検討してみましょう。

2.借りかたを変える

銀行から融資を受けている会社は、「借りかた」を変えることで、「出金を遅く」を実現できることもあります。ここで言う「出金」とは、「返済」にあたります。

とはいえ、返済を遅らせるのに、リスケジュール(返済猶予)をお願いしようというのではありません。ひとつの方法は、「一本化」です。

一本化とは、いますでに受けている融資が複数ある場合に、それらをまとめて、あらたな融資1本に借り換える方法をいいます。その返済期間によっては、毎月の返済額を減らせるわけです↓

また、経常運転資金(売上債権+棚卸資産ー仕入債務)分の融資について、毎月分割返済で借りている場合には、「短期継続融資」という借りかたにあらためる方法があります。

短期継続融資とは、返済期日が短期(1年以内)の手形貸付で融資を受ける方法です。短期ではありますが、期日が来たときには、審査のうえで更新できれば(できるケースが多い)、「実質借りっぱなし」の状況をつくることができます。

というように、同じ融資でも「借りかた」を変えることで、「出金を遅く」することは可能です。

3.与信管理を徹底する

事業を続けていれば、「売上代金を回収できなかった…」ということはあるものです。もちろん、そうならないように努力はするわけですが、それでも、確率がゼロになるわけではありません。

そのいっぽうで、いわゆる「与信管理」が甘い会社もあります。たとえば、支払期日に入金があったかどうかを確認していない。確認していないので、催促もしていないとか。

また、新規の取引先について、とくに信用調査をしていない。というのも、与信管理が甘いといえるでしょう。

売上代金の未回収は、完全に避けることはできず、いつかは発生する費用(≒出金)だと言えます。けれども、与信管理を徹底することで、その発生を遅らせることはできるはずです。

まずは、支払期日の入金確認、未入金に対する即催促からはじめましょう。新規取引先、とくに、取引金額が大きくなるときには、信用調査(帝国データバンクや東京商工リサーチ)を利用してみましょう。

まとめ

資金繰りについて、極意とも言われているのが「入金を早く、出金を遅く」です。机上の空論という側面があるいっぽうで、現実的な具体策もありますよ。という、お話をしてきました。

取り組んでいないものがあれば、これを機会に、ぜひ取り組んでみましょう。「入金を早く、出金を遅く」の実現に近づけるはずです。

「入金を早く」の具体策3つ
  1. 値上げをする
  2. 売上の柱を増やす
  3. 黒字で融資を受ける
「出金を遅く」の具体策3つ
  1. 相見積もりする
  2. 借りかたを変える
  3. 与信管理を徹底する
資金繰りの極意「入金を早く、出金を遅く」の具体策

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