毎日配信メルマガ「Joe's オフレコ」登録受付中(無料)

銀行員さん気をつけて!中小企業で見かける粉飾仕訳5選

銀行員さん気をつけて!中小企業で見かける粉飾仕訳5選
URLをコピーする
URLをコピーしました!

銀行員さん気をつけて、ということで。中小企業で見かける粉飾仕訳についてお話をしていきます。また、粉飾は銀行にバレますから社長さんは気をつけて、というお話でもあります。

目次

銀行員さんも、社長さんもいらっしゃい。

独立をして6年になりますが、「税理士業界」には 25年ほど。大学を卒業してからはずっと、良くも悪くも税理士業界にかかわっているわたしです。

そんなわたしが、これまで見てきた中小企業の決算書は数しれず。というか、「数えていないのでよくわからない」というのが正直なところではありますが。かなりの数であることは間違いありません。

すると、なかには「これはちょっと…」といった決算書もあるわけで。その最たる例が「粉飾」です。つまり、事実とは異なる数字が記載されている決算書、ということになります。

ではなぜ、粉飾をするのか? その理由はいくつかありますが、もっとも多いのは「銀行から融資を受けるため・受け続けるため」だと言っていいでしょう。

そこで今回は、税理士のわたしから銀行員さんへ、「こんなのもあるから気をつけて!」ということで、中小企業で見かける粉飾仕訳についてお話をしてみます。ぜんぶで5つほど↓

中小企業で見かける粉飾仕訳5選
  1. 売掛金 / 売上高
  2. 商品 / 期末棚卸高
  3. 仕入高 / 買掛金
  4. 減価償却費 / 減価償却累計額
  5. 借入金 / 売上高

などと言ってみたものの。銀行員さんは当然、そんなことは、ぜんぶまるっとお見通しでしょうから。いまさら感のあるハナシでしょうけれど。

いっぽうで、社長さんは「へぇ、こんな粉飾もあるんだ。でも、こういうことは銀行員にはバレてしまうものなのか」という、ひとつの学びにしていただけるようであれば幸いです。

それではさっそく、いってみましょう。


中小企業で見かける粉飾仕訳5選

1.売掛金 / 売上高

まず、1つめの粉飾仕訳がこちらです↓

借方・勘定科目借方・金額貸方・勘定科目貸方・金額
売掛金×××売上高×××

売掛金の相手先は実在せず、いわゆる「架空売上」の計上になります。不適切な表現かもしれませんが、「粉飾決算の王道仕訳」と言ってよいでしょう。

なにしろ、この仕訳1本で、いちどに多額の売上・利益を増やすことができます。なので、粉飾をしている会社であれば、この仕訳をしていないことはありえない。といっても過言ではありません。

でもそこに、この粉飾を見破る「カギ」があります。そのカギとは、架空売上による売掛金は、「回収のアテがない」ということです。文字どおり架空なのですから、当然でしょう。

したがって、この粉飾仕訳によって、売掛金の残高は正常時よりも大きなものになります。銀行などは、そこをチェックしているわけです。具体的には、「売掛金回転期間」という指標で。

売掛金回転期間を算式であらわすと、「売掛金残高 ÷(売上高 ÷ 12ヶ月)」になります。売掛金が売上に対してどれくらいあるのか? という指標ですね。

架空売上によって、回収のアテがない売掛金が増えれば、売掛金回転期間の数値は大きくなります。過去3〜5年くらいの売掛金回転期間を比較することで、架空売上はあぶり出されるものです。

粉飾によって大きくなった売掛金回転期間を、ふたたび元の水準まで戻すには? 当初とは、逆の仕訳をするしかありません。つまり、こういうことです↓

借方・勘定科目借方・金額貸方・勘定科目貸方・金額
売上高×××売掛金×××

とはいえ、売上が減り、利益も減ってしまうのですから、業績が改善していなければできない仕訳です。かくして、業績が改善できずに、架空売上を計上し続ける会社の粉飾は容易にバレます。

2.商品 / 期末棚卸高

続いて、2つめの粉飾仕訳がこちらです↓

借方・勘定科目借方・金額貸方・勘定科目貸方・金額
商品×××期末棚卸高×××

これは、期末に残っている「在庫」を計上する仕訳です。その際、ほんとうはないのに、あるものとして仕訳をしてしまう。いわゆる、「架空在庫」ということになります。

これもまた、粉飾決算の王道仕訳です。仕入がある会社で粉飾をするのであれば、「この仕訳がない」なんてことはない! と、力説するようなことではありませんが。事実、そうなのです。

そう考えると、粉飾の有無を知りたいのであれば、まずは「架空売上」と「架空在庫」を調べればよい。というのは、銀行員さんにとっては「基本のキ」です。

架空在庫もまた、架空売上と同じように、棚卸資産回転期間という指標で検証します。算式であらわすと、「棚卸資産残高 ÷(売上高 ÷ 12ヶ月)」です。やはり、3〜5年くらい並べてみると、架空在庫は見事にあぶり出されます。

なお、架空在庫には、架空売上にはないメリットがひとつ。それは、いくら架空在庫を計上しても、消費税の納税は増えないことです。逆に、架空売上を計上すると、消費税の納税額が増えてしまいます。

ということは…? そのとおり、架空在庫のほうが粉飾としては見破りやすい、ということです。納税を嫌って、架空売上よりも架空在庫での粉飾をはかろうとする会社が多いから、ですね。

ちなみに、在庫を増やすと、なぜ利益が増えるのかの「しくみ」についてはこちらの記事もどうぞ↓

3.仕入高 / 買掛金

続いて、3つめの粉飾仕訳がこちらです↓

借方・勘定科目借方・金額貸方・勘定科目貸方・金額
仕入高×××買掛金×××

といっても、この仕訳をするのではなく、この仕訳をしない、という粉飾になります。実際には仕入があったのだけれど、費用を減らして利益を増やすために、仕入をなかったことにするわけです。

とはいえ、やはり。買掛金回転期間によって、見破ることができます。算式であらわすと、「買掛金残高 ÷(売上高 ÷ 12ヶ月)」です。

粉飾によって、買掛金が実際よりも少なくなりますから、買掛金回転期間は、通常よりも小さなものになります。そこまでせずとも、単純に「あれ、買掛金少なくない?」と気づくことも多いのですが。

似たところでは、各種の費用について「未払金を計上しない」という粉飾もあります。このあたりは、社長に「粉飾(違法)」の意識がなく、単なる「利益調整(合法)」の意識であることが多いものです。

が、銀行からは粉飾と見られている可能性もありますから。買掛金も未払金も、計上すべきものについては必ず計上する。同じ基準で計上する、ということが大切です。

なお、前述の架空売上とのバランスをとるために、架空仕入として仕訳をする会社もあります。架空売上だけだと、原価率(売上原価 ÷ 売上高)の数字が歪むからです。

とはいえ、支払うアテのない買掛金が増えるために、こんどは買掛金回転期間が歪みます。これが仕訳のスゴさであり、複式簿記の威力です。あちらを立てれば、こちらが立たず。

4.減価償却費 / 減価償却累計額

続いて、4つめの粉飾仕訳がこちらです↓

借方・勘定科目借方・金額貸方・勘定科目貸方・金額
減価償却費×××減価償却累計額×××

こちらもまた、この仕訳をするのではなく、この仕訳をしない、という粉飾になります。実際には、減価償却をすべき金額があるのだけれど、減価償却をしない。

すると、費用が減るので利益が増える、という「しくみ」です。ところが、減価償却をすべき金額というのは、見る人が見ればすぐにわかるものなので。あまりにも「安易」な粉飾仕訳です。

それだけに、銀行などからは「こんな粉飾がバレないとでも思っているのか?(=レベルが低い)」と見られてしまうことにもなるでしょう。粉飾までしたのに、散々です。

なお、法人税の「繰越欠損金」を有効利用するためということであれば、顧問税理士に「一筆いれてもらう」のも、ひとつの方法になります。具体的には、「中小企業の会計に関する基本要領の適用に関するチェックリスト」です。くわしくは、顧問税理士に確認をしてみましょう。

ただ、それでも。すべき減価償却をやめなければいけないほど、大きな赤字(繰越欠損金)を出したことにかわりはなく、銀行に対するマイナスイメージを完全に払拭できるものではありません。

赤字になるとすぐに、減価償却をやめてしまう会社がありますが。赤字であろうと、黒字であろうと、減価償却は計上できるようにしましょう。そうしないと、社長自身が自社の「正しい業績」を把握できなくなってしまいます。

5.借入金 / 売上高

さいご、5つめの粉飾仕訳がこちらです↓

借方・勘定科目借方・金額貸方・勘定科目貸方・金額
借入金×××売上高×××

なんじゃこれは? という仕訳です。わたしも、はじめて見たときには目を疑いました。あぁ、きっと仕訳を間違えちゃったんだな、と思いました。でも、間違えてはいなかったんですね。

この仕訳は、借入金を減らして、代わりに売上高を増やすという仕訳です。簿記の教科書には、ぜったいに出てこない、まぎれもなく「闇の仕訳」になります。

銀行からだけでは融資が足りずに、ノンバンクや、ひいてはヤミ金からもおカネを借りているような会社では、それを隠す目的で、こういった仕訳も必要になるわけです。

とはいえ、売上まで増やしてしまうとは… と、その「発想」にはおどろいてしまいます。架空売上ではありますが、前述した「売掛金」の計上がない分、売掛金回転期間が大きくならないのも、粉飾をする会社にとってはメリットでしょう。

では、こういった会社の粉飾は、どのように見抜けばよいのか? 「資金繰り」です。いわゆる「資金繰り表」でおカネの動きを見ることで、「隠れた借入金」を見破ります。

決算書は粉飾できても、資金繰り表は粉飾をできない。というのは、よく言われるところです。


まとめ

銀行員さん気をつけて、ということで。中小企業で見かける粉飾仕訳についてお話をしてきました。と同時に、粉飾は銀行にバレますから社長さんは気をつけて、というお話でもありました。

もちろん、気をつけて粉飾をしましょう、というハナシではなく。粉飾をしてはダメですよ、という話です。なにより、粉飾をすれば、社長自身が会社の状況を把握できなくなってしまいます。

粉飾の恐ろしさは、銀行にバレることではなく、素のじぶんがわからなくなることです。

中小企業で見かける粉飾仕訳5選
  1. 売掛金 / 売上高
  2. 商品 / 期末棚卸高
  3. 仕入高 / 買掛金
  4. 減価償却費 / 減価償却累計額
  5. 借入金 / 売上高
銀行員さん気をつけて!中小企業で見かける粉飾仕訳5選

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

良い記事があればシェア
URLをコピーする
URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次
閉じる