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銀行から見られているのに社長は無頓着なもの

銀行から見られているのに社長は無頓着なもの

銀行から見られているのは、決算書ばかりではありません。というわけで、銀行から見られているのに、社長は無頓着なものについて、お話をしていきます。

目次

決算書ばかりを気にする社長。

銀行が融資をするかどうかの判断をする際、見ているものはいろいろあります。

だれもがよく知るところでは、決算書です。なので、決算書には気を使っているけれど、ほかのものとなると意外と無頓着、という社長がいます。

この場合、銀行からの融資が受けにくくなっている可能性があるので、注意しなければいけません。というわけで、具体的にはこちらです↓

銀行から見られているのに社長は無頓着なもの
  • ホームページ
  • 新規売上先
  • 信用調査情報
  • 会社の将来性
  • 社内のようす

それではこのあと、順番に見ていきましょう。

銀行から見られているのに社長は無頓着なもの

ホームページ

銀行は、まず間違いなく、融資先(候補も含む)のホームページを見ています。

この点で、自社の「ホームページがない」という場合、あまり良い印象を持たれないことになるでしょう。いまどきホームページがないのは「ビジネス感覚」としてどうなのか? みたいな。

では、ホームページがありさえすればいいか、といえば。もちろん、そんなことはありません。むしろ、「中途半端」なホームページのほうが害がある、と言ってもいいでしょう。

たとえば、掲載内容が少なすぎる、項目だけでなかみは作成中、まったく更新されていない、などなど。こういったホームページは、銀行でなくとも「この会社、だいじょうぶ?」となるはずです。

言うまでもなく、いまはネット全盛の時代。多くの会社にとって(いちぶに例外はありますが)、ホームページの「充実」は、ビジネスの「前提」になっています。

銀行もまた、多くの会社を見ているのですから、比較をされたときに見劣りするようなホームページは避けたいところです。銀行からの融資を受けにくくしてしまいます。

なお、ホームページにはどのような項目・内容を記載するとよいのかについて、くわしくはこちらの記事もどうぞ↓

新規売上先

銀行は、融資先の「売上先」に注目をしています。貸したおカネの返済原資は「利益」であり、その利益のもとになるものが「売上」。売上をあげるためには、「売上先」が必要だからです。

具体的には、売上先の「数」や、それぞれの売上先が売上総額に占める「割合」といったところを銀行は確認しています。数が多いか・少ないかには、いずれにも長短があるものです。

数が多ければ、売上が分散しているために、連鎖倒産リスクが低いこと。数が少なければ、取引の長さや実績などをもとに、継続的に安定した売上が見込めることなどがアピールポイントになります。

という「既存売上先」とは別に、銀行が気にしているのが「新規売上先」です。新規売上先は増えているのか? どのような方法で増やしているのか? など。

そして、いちばん気にしていると言えるのが、新規売上先はどのような会社なのか? です。言い換えると、新規売上先は良い会社なのか、売上が継続するのか。もっと言えば、倒産するような会社ではないのか?

ところが、社長のほうは売上先を増やすことに集中するあまり、そこまで気が回っていないケースがあります。たとえば、新規売上先の「信用調査情報(後述)」を確認しているのか? と聞くと、確認していないケースがほとんどです。

いっぽうで、銀行は、融資先の「大口売上先」や「新規売上先」などについて、信用調査情報を確認していることは覚えておきましょう。

信用調査情報

信用調査情報とは、信用調査会社による調査情報です。ここで言う信用調査会社とは、おもに、帝国データバンクや東京商工リサーチなど。そういった信用調査会社が集めた情報が、信用情報です。

たとえば、帝国データバンクであれば、調査情報のなかに「評点」という項目があります。調査をした結果を、100点満点の点数であらわしたものです。

その評点が 40点台前半以下となると「リスクがある会社」との見方になります。これに対して、51点以上の会社は、「おおむね優良な会社」との見方です。

あらたに売上先を増やすときには、その売上先の信用調査情報を参考に、取引の検討をする(取引するか・しないか、どれくらいの取引量にするか)のは、与信管理の基本だと言っていいでしょう。

なので、銀行は、融資先における「大口売上先」や「新規売上先」の信用調査情報を確認しているわけです。さらに、銀行は融資先自体の信用調査情報も確認をしています。

やはり、評点が低いような会社は危険だからですね。ゆえに、社長は「自社に関する信用調査情報がどれくらいか?」に注意をして、できるだけ評点を上げられるよう取り組むことが大切になります。

そのあたり、こちらの記事も参考にどうぞ↓

会社の将来性

銀行は、決算書で「融資先の現在」を評価しています。加えて、評価をしているのが、「融資先の将来」です。

つまり、現在が良いとしても、この先もまた良いといえるのかどうか。現在が悪いとしても、この先は良くなるのかどうか? それなら、社長だって無頓着ではない。考えている、と思われるかもですが。

考えていることが「アタマのなか」だけにある状況では、銀行が評価をすることはできません。銀行にも、目に見えるカタチで表現する必要があります。具体的には、「経営計画書」です。

と、クチで言うのはカンタンですが。実際につくろうと思うと、カンタンなものではなく。多くの会社がつくっていないのが、中小企業の現状です。また、「つくりかたがわからない」という社長もいるでしょう。

経営計画書については、記載をすべき「基本的な項目」というものがあります。それが、こちらです↓

経営計画書の記載項目
  • 経営理念・経営方針
  • 外部環境(機会と脅威)
  • 内部環境(強みと弱み)
  • 経営戦略(事業領域)
  • 経営課題
  • 行動計画
  • 損益実績・計画
  • 資金繰り実績・計画

ややもすると、このうちの「数値計画(損益計画や資金繰り計画)」が経営計画書だとの勘違いもありますが。数値計画は、経営計画書のいちぶに過ぎません。数値計画の根拠として、それ以外の項目が重要であることを理解しておきましょう。

社長ひとりではつくるのが難しい… というのであれば、顧問税理士に相談をしてみるのもよいのではないでしょうか。

社内のようす

さいごに、もうひとつ。銀行から見られているのに、社長が無頓着なもの。それは、「社内のようす」です。銀行は、社内のようす、つまり、社内のフンイキ、社員の活気、整理整頓の状況などを見ています。

いやいや、じぶんだって見ている。と、社長は言うでしょう。ところが、「社内のようすを銀行も見ている」というところにまで、気が回っていない社長がいます。

たとえば、会社にやってきた銀行員と社員がすれ違っても、社員が挨拶をしないとか。社員の表情や社内のフンイキが暗い。銀行員が通る・目にする場所に、モノが乱雑に置かれているとか。

気が回っている社長は、そういうことを見逃さないものです。銀行も社内のようすを見ているという前提で、ふだんから、社員教育や整理整頓に取り組んでいます。

銀行がときおり会社にやってくるのは、「用事があるから」だけではありません。社内のようすを確認するために、会社まで足を運んでいるという面もあります。

決算書以外にも、数字以外の面でも評価をされている。そこを忘れないようにしましょう。

まとめ

銀行から見られているのは、決算書ばかりではありません。というわけで、銀行から見られているのに、社長は無頓着なものについて、押さえておくようにしましょう。

銀行から見られているのに社長は無頓着なもの
  • ホームページ
  • 新規売上先
  • 信用調査情報
  • 会社の将来性
  • 社内のようす
銀行から見られているのに社長は無頓着なもの

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