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「月商の〇倍の預金を持て」はウソ、がウソ

「月商の〇倍の預金を持て」はウソ、がウソ
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会社は、「月商の〇倍の預金を持て」というハナシがありますが。いっぽうで、「そのハナシはウソだ」とのハナシもありますので。そのあたりのことを、まとめてみることにしました。

目次

ウソのウソなら、ホントになる。

きょうは、少々「あおり系」の記事タイトルとなっておりますが。そもそも、会社の財務について「月商の〇倍の預金を持ちましょう」というハナシがあるのはごぞんじでしょうか。

月商、つまり、「年間売上高÷12か月」に対して〇倍の預金があると、財務の安全性が高まりますよ、みたいなハナシです(何倍がよいかの目安は、後述)。

そんな「〇倍の預金を持てバナシ」について、それは「間違っているのではないか、ウソではないのか」との論も、ちまたにはあります。これを聞いた社長は、困ってしまうことでしょう。はたして、どちらが正しいのか…? と。

そこで、本記事では「〇倍の預金を持て」はなぜウソだとの論があるのか。また、そもそも「〇倍の預金を持て」とは、どういう趣旨の論なのか。についてを、まとめていきます。

ちなみに、どちらの論が「絶対的にただしい」ということはない。というのが、わたしの考えです。世の中には、いろいろな考え方がありますから、それらを理解しておくことが、「じぶんにとっての正解」を導くのに役立つのではないでしょうか。

と、前置きが長くなりましたが。話をはじめていくことにします。


そもそも、月商の〇倍の預金を持つ意味

ではまず、ウソ疑惑のある「月商の〇倍の預金を持て」という論について。そもそも、月商の〇倍の預金を持つ意味を確認しておくことにしましょう。

わたしの肌感覚として、よくいわれているのが「月商の3倍」です。これくらいの預金があると、会社の財務的には安心・安全だよね、と。ではなぜ、「月商」が目安にされるのか?

それは、多くの会社では、月商と同じくらいの「おカネの支出」があるからです。たとえば、月商が 1,000万円の会社があったとします。すると、「仕入や諸経費、借入金の返済の合計額」が、だいたい 1,000万円くらいになるよね、ということです。

もちろん、爆発的にもうかる会社や、絶望的にもうからない会社は別ではありますが。そうではなくて、「おおむね、平均的には」というハナシをしています。ちなみに、利息は経費ですが、借入金の返済は経費ではありません↓

というわけで、月商と同じくらいの「おカネの支出」があるとすれば、会社は月商分のおカネを持っていればよいのではないか? と、思われるかもですが。実際には、入金と出金のタイミングの問題があります。

もし、入金よりも出金のタイミングのほうが早ければ、資金繰りがまわりませんよね。そう考えると、ひとまず、月商の2倍くらいの預金があったほうがいいだろう、ということになります。

さらに、売上先からの入金が遅れたり、あるいは、思わぬ出費など「不測の事態」が起きることもあるでしょう。すると、資金繰りの悪化につながりますから、そのあたりに保険をかける意味で、月商の3倍くらいあったほうがいいんじゃないの? ということになるわけです。


なぜ、「月商の〇倍の預金を持て」はウソなのか?

では、その「月商の〇倍の預金を持て」がなぜウソだと言われるのか。こんどは、そこを確認していきましょう。多くは具体例をもって説明されているようなので、わたしもそれにならいます。

まずは、月商が 1,000万円のA社について。毎月の仕入は 400万円、諸経費は 500万円、借入金の返済額は 100万円とします。

これに対して、月商が 3,000万円のB社について。毎月の仕入は 2,400万円、諸経費は 500万円、借入金の返済額は 100万円とします。

両社の違いは、月商の金額と、月商に対する仕入の割合(原価率)です。いっぽうで、諸経費と借入金の返済額は、まったく同じだとしています。では、月商の3倍の預金を持つとしたらどうなるか?

当然ながら、A社であれば、月商 1,000万円 × 3で 3,000万円の預金を持つことになります。B社であれば、月商 3,000万円 × 3で 9,000万円の預金を持つことになります。ほんとうにそうなの? というのが、「月商の〇倍の預金を持て」はウソ論です。

では、そのウソ論の根拠とは。端的に言うと「月商と仕入の差額分」だけのおカネがあればよいだろう、ということになります。

A社であれば、月商 1,000万円ですから 1,000万円の入金があって、仕入 400万円ですから 400万円の支出があって。差し引き 600万円あれば、経費を払って借入金の返済もできるだろう、と。

B社であれば、月商 3、000万円ですから 3,000万円の入金があって、仕入 2,400万円ですから 2,400万円の支出があって。A社と同じく、差し引き 600万円あれば、経費を払って借入金の返済もできるだろう、と。

つまり、売上があがらなければ仕入も必要ないわけだから、経費と借入金返済分のおカネがあればじゅうぶんじゃないの? との論でもあります。だとしたら、A社とB社が持つべき預金の量は同じでよいはず。

にもかかわらず、「月商の3倍の預金を持て」となると、A社は 3,000万円の預金があればよいのに対して、B社は 9,000万円も預金を持たなければいけない。それは、おかしいじゃないか! ということになるわけですね。たしかに… という論だと言えるでしょう。


「月商の〇倍の預金を持て」はウソは、ほんとうか?

では、そんな「ウソ論」を受けて、もういちど、「月商の〇倍の預金を持て」について考えてみることにします。ほんとうにウソなのかどうか、を。

結論として、ウソとまでは言い切れない、3つの理由があります。言うなれば、「月商の〇倍の預金を持て」はウソ、がウソだといえる理由。具体的にはこちらです↓

「月商の〇倍の預金を持て」はウソ、がウソである理由
  • 大きなおカネが動くから
  • 銀行がそう見ているから
  • わかりやすさもだいじだから

それでは、このあと順番に確認していきましょう。

大きなおカネが動くから

さきほどの「ウソ論」のハナシでいうと。会社に必要な預金は、「月商と仕入の差額分」でした。売上があがらなければ、仕入も必要ないのだから、「経費と借入金の返済分」の預金があればいい、との説明もしたところです。

ほんとうでしょうか? もし突然、売上があがらなくなってしまったときに、仕入は必要なくなるのでしょうか。現実は、そうカンタンではないはずです。

いずれ売上が回復することを見込んで、仕入を続ける(在庫を増やしておく)ということもあるでしょうし、仕入先を維持するために、あえて仕入は続けるというケースも実際にはあります。

だとしたら、もともと月商が大きな会社ほど、大きなおカネが動く可能性があり、大きなおカネが必要になるはずです。そういう意味では、月商を目安に預金を考えることは「理にかなっている」といえるでしょう。

逆に、「月商と仕入の差額分」ばかりを見ていると、いざというときにはおカネが不足する可能性があります。「月商の〇倍の預金を持て」はウソ、がウソだといえるところです。

銀行がそう見ているから

中小企業の資金調達といえば、なんと言っても銀行融資でしょう。その銀行が、会社の預金をどのように見ているか? いちばんの見方が、「月商の〇倍の預金」です。

損益計算書のアタマに記載されている売上高から、月商を計算してみた金額と。貸借対照表のアタマに記載されている預金とを比べてみて、預金が多いか少ないかの目安にする。というのは、多くの銀行員の見方になります。

そのうえで、預金が「月商1ヶ月分の金額」を割り込むようだと、「この会社は危険だ(倒産する可能性が高い)」というのが基準です。結果として、融資が受けにくくなります。

いっぽうで、預金が「月商の2倍ていど」あれば、「ひとまず安全」との見方をしているものです。

というように、主要な資金調達先である銀行がそう見ているのですから、会社もまた「月商の〇倍の預金」を意識しておくことに意味はあるでしょう。

わかりやすさもだいじだから

さいごに、もうひとつ。「月商の〇倍の預金を持て」はウソ、がウソだといえる理由をあげておきます。それは、「わかりやすさもだいじだから」です。

多くの社長にとって、「月商の〇倍」というのは、わかりやすい考え方であることでしょう。社長であれば、月商はすぐにイメージできる数字ですから、「月商の〇倍」はすぐに計算できます。

これに対して、「ウソ論」であれば、仕入(原価率)を考える必要があったり、あるいは、経費や借入金の返済額を考えなければいけません。それはそれでだいじなことではありますが、わかりやすくはないでしょう。

そのわかりにくさから、「持つべき預金」自体について、考えるのがメンドーになってしまうのでは困ります。それだったら、少々厳密さを欠いたとしても、わかりやすさをとるのも選択肢のひとつです。

そもそも、「ほんとうに必要な預金の金額」はケースバイケースであり、そのケースの数は会社の数だけある、とも言えます。そう考えると、多くの会社にあてはまるであろう「目安」のハナシをするにあたって、厳密さを追求するのにはムリがあるのも事実です。

「月商の〇倍の預金を持て」は、目安を示すことを目的にしているのであって、厳密な計算・厳密な金額を目的にはしていないことを理解しておくのがよいでしょう。

まとめ

会社は、「月商の〇倍の預金を持て」というハナシがありますが。いっぽうで、「そのハナシはウソだ」とのハナシもありますので。そのあたりのことを、まとめてみました。

どちらの論が「絶対的にただしい」ということでもないでしょう。世の中には、いろいろな考え方がありますから、それらを理解することで、「じぶんにとっての正解」を導くのに役立ててみましょう。

「月商の〇倍の預金を持て」はウソ、がウソ

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