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会社が銀行融資で信用金庫に期待してはいけないこと

会社が銀行融資で信用金庫に期待してはいけないこと

民間金融機関のひとつに、信用金庫があります。その信用金庫に対して、会社が銀行融資を受けるにあたって期待してはいけないこと、というお話です。

目次

信用金庫は、ちょっと違う。

会社が銀行から融資を受ける場合、その「銀行」にもいくつかの種類があります。民間金融機関について、おもなところを挙げれば、「都市銀行」と「地方銀行」、そして「信用金庫」です。

では、そのなかの「信用金庫」とは。民間金融機関のなかでも、規模が小さく、地域密着という特徴があります。また、銀行が株式会社(営利法人)であるのに対して、信用金庫は非営利法人の協同組織です。

この点で、会社が融資を受けようとする場合に、信用金庫に期待してはいけないことについてお話をしていきます。同じ民間金融機関である、都市銀行や地方銀行との「違い」としても押さえておきたいところです↓

会社が銀行融資で信用金庫に期待してはいけないこと
  • 低い金利
  • 大きな融資金額
  • 広域における支援

それではこのあと、順番に確認をしていきましょう。

会社が銀行融資で信用金庫に期待してはいけないこと

低い金利

融資を受けるときの金利について。都市銀行や地方銀行と比べたときに、もっとも金利が高くなるのは「信用金庫」です。その理由はいくつかありますが、わかりやすいところで言えば「資金量の差」が挙げられます。

都市銀行や地方銀行は、そのネームバリューもあって、たくさんの預金を集めることが可能です。結果として、低いコストでおカネを集められる。大量仕入(による値引き)によって、仕入コストを下げられるイメージです。

いっぽうで、信用金庫はそこまでたくさんの預金を集めることができません。結果として、おカネを集めるにも、そのコストは高くなります。そのコストを回収するためには、融資の金利を高くせざるをえない、というわけです。

したがって、信用金庫に対して、「都市銀行や地方銀行並の金利」を期待するのは、どだいムリなハナシだとわかります。都市銀行や地方銀行の金利を持ち出して、信用金庫に金利交渉を迫る社長もいるようですから気をつけましょう。

その代わり、といってはナンですが。信用金庫は「小回り・融通の効く支援」が売りでもあります。いっぱんに、融資先への訪問頻度は高く、融資審査では決算書(数字)以外の要素にも目を向けて融資を検討するのが信用金庫です。

中小企業にとっては、「ありがたい支援」だと言ってよいでしょう。これをメリットと捉えて、金利のデメリットには目をつぶるのが、信用金庫との付き合いかたになります。

とはいえ、「信用金庫から受けている融資でも、地方銀行や都市銀行と同じくらい金利が低いものがある」と思われる社長もいるでしょう。おそらくそれは、信用保証協会の保証付き融資であるはずです。

保証付き融資は、会社が返済できなくなった場合には、会社の代わりに信用保証協会が銀行に対して返済します(基本は8割、残り2割は銀行の負担)。ゆえに、銀行としては回収不能のリスクが小さいために、金利を抑えることが可能です。

また、信用保証協会に加えて、自治体が関与する「制度融資」では、そもそも金利が決まっていたりもします。この場合には、信用金庫だからといって、金利が高くなることはありません。

ただし、保証付き融資や制度融資は、言うなれば「例外」です。そういった例外を除いた融資、つまり、プロパー融資においては、信用金庫に低い金利は期待できないことを理解しておきましょう。

大きな融資金額

会社は、信用金庫に対して、大きな融資金額を期待してはいけません。ここまでの話から、その理由は察していることと思いますが、やはり「資金量の差」です。

都市銀行や地方銀行に比べると、信用金庫は融資をするための資金量が少ない。ゆえに、ひとつひとつの融資先に対する融資金額も小さくならざるをえません。

資金量の総額が少ないのにもかかわらず、ひとつの融資先にたくさんの融資をしたらどうでしょう? もし、その融資先が倒産したときには、回収不能のインパクトは甚大です。

そこで、リスク分散の意味合いから、ひとつひとつの融資先に対する融資金額はおのずと制限されることになります。具体的には、無担保プロパー融資で 5,000万円あたりが限度でしょう(リスクがない保証付き融資や、担保付き融資は別)。

ひとつの信用金庫から、無担保プロパー融資を受けられるのは、最大でも 5,000万円くらいだということです。これを超えるような、大きな融資金額を信用金庫には期待してはいけません。

とはいえ、年商(年間売上高)が数億円くらいまでの会社であれば、信用金庫からの融資だけでも、融資金額が不足するということはないはずです。

いっぽうで、自社の規模が大きくなり、より多くの資金調達が必要になったときには、信用金庫とだけ取引をしていたのでは支障をきたします。そのときは、取引銀行を増やしたり、地方銀行とも取引をはじめたり、といった対応を検討しましょう。

なお、取引をはじめるのにも時間がかかるものですから、自社の規模の成長に対して、早めに動くことが重要になります。年商が1億円を超えて、さらに、成長を見込んでいるのであれば、信用金庫に加えて、地方銀行とも取引をはじめておく、といったイメージです。

ちなみに、信用金庫は大きな金額では融資できないからこそ、金利を高くせざるをえない、という一面もあります。100万円融資をするのでも、1,000万円融資をするのでも、銀行の「手間(融資の審査・手続き)」はそれほど変わりません。

その手間にかかるコストを回収するためには、融資金額が小さいほど、金利を高くすることが必要だ。ということから、信用金庫の融資金利は、都市銀行や地方銀行よりも高くなるのです。

広域における支援

さいごに、もうひとつ。信用金庫に期待できないこと、それは「広域における支援」です。これはどういうことか、というと。たとえば、本店を他県に引っ越しするような場合、いままで取引していた信用金庫からは融資が受けられなくなることがあります。

なぜなら、信用金庫の「営業エリア」は狭い地域に限られているからです。そもそも、信用金庫は、信用金庫法にもとづき、営業エリアを「定款」に定めなければいけません。

その定められたエリアを超えて、信用金庫は融資をすることはできないのです。したがって、自社が取引している信用金庫の営業エリアの外へ引っ越しをする場合、その後の融資を受けることはできなくなります(既に受けた融資は影響を受けません)。

その信用金庫をメインバンクにして、資金調達をしている会社であれば、引っ越しによって「イチから」銀行探しをして、メインバンクづくりをしなければならず。これはなかなか大きな問題だ、と言えるでしょう。

そう考えると、どこに会社を置くか・どの銀行と取引をするかは、「あらかじめ、先を見越して」決める必要があります。いずれ遠方の引っ越しも考えているような場合には、信用金庫との取引には気をつけなければいけません。

このように、会社の所在地が銀行融資に及ぼす影響はほかにもあります。そのあたりくわしくは、こちらの記事もどうぞ↓

まとめ

民間金融機関のひとつに、信用金庫があります。その信用金庫に対して、会社が銀行融資を受けるにあたって期待してはいけないこと、というお話をしてきました。

同じ民間金融機関である、都市銀行や地方銀行の「違い」としても押さえておきましょう。

会社が銀行融資で信用金庫に期待してはいけないこと
  • 低い金利
  • 大きな融資金額
  • 広域における支援
会社が銀行融資で信用金庫に期待してはいけないこと

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