コーヒーをドリップするとき「の」の字を描くのはどうして?

コーヒーをドリップするとき「の」の字を描くのはどうして?

コーヒーをドリップするときには、「の」の字に湯を注ぐといい。とは聞くけれど、なんで? ということを、ドリップに関するポイントもまじえてお話をしていきます。

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きょうも、したり顔でコーヒーを淹れる男。

ダバダ~ ダ~ダッダバダ~ ダバダ~♪ こんにちは、コーヒー好き税理士のモロトメジョーです。きょうも、コーヒーしてますか?

さて、最近ではコーヒーについて、もっともらしいことを語っているわたしではありますが。数年前までさかのぼれば、ろくにハンドドリップもしたことがない、ただの缶コーヒー好きでした。

それがいつのころからか、ハンドドリップに目覚め。いまではあたりまえのように豆を挽き(ときには豆を炒るところから)、ハンドドリップでコーヒーを淹れる毎日です。

そんなハンドドリップについて。ポットからお湯を注ぐときには「の」の字を描きながら、というのはよく聞くハナシではないでしょうか。なんで? どうして、コーヒーにお湯を注ぐときには「の」の字を描かなければいけないの?

ボーッと生きてんじゃねぇよ。と、叱られないように。どうして、「の」の字を描くのかも知らないで、したり顔でコーヒーを淹れいているそこのアナタ。と、名指しをされてしまわぬように。

「の」の字を描く理由のほかにも、ドリップに関するポイントを含めてお話をしていきます。

コーヒーをドリップするときに「の」の字を描く理由

まずは、冒頭で取りあげた疑問の「結論」から。なぜ、コーヒーをドリップするときには、「の」の字を描くのか。それは、「湯を粉にまんべんなく行き渡らせるため」です。

言われてみれば、「なぁんだ、そんなことか。そりゃそうだ」となりがちな結論ではあります。が、ただ「の」の字に注げばいいってもんじゃねぇんだ! という点は知っていてもよいでしょう。

湯を粉にまんべんなく行き渡らせる、とどうなるか?

「の」の字に湯を注ぐのは、「湯を粉にまんべんなく行き渡らせるため」だといいました。では、それができるとどうなるのか? お察しのとおり、コーヒーの成分をじゅうぶんに抽出できることになります。

逆に、湯を粉にまんべんなく行き渡らせることができないと、コーヒーの成分をじゅうぶんに抽出できない。結果として、「なんだか薄味」や「旨味が足りない」といった残念なコーヒーになってしまうわけです。

ためしに「の」の字を描くことなく、ドリッパーの中心一点に向かって湯を注ぎ続けると… 残念コーヒーを淹れることができます。まぁ、あえて実践する必要はないでしょう。

それはそれとして、「の」の字に湯を注がれたドリッパーのなかではなにが起こっているのか? 「対流」です。などと言うと、たいそう大げさに聞こえもしますが。もう少し平たく言うと、グルグルと粉が混ぜられている状況ですね。

ドリッパーの真上から「の」の字に注ぐことで、まずは表面的(ドリッパー上部に位置する粉面)に、まんべんなく湯がかかります。さらに、湯を「の」の字に注ぎ続けることで、ドリッパー内部の粉がかき混ぜられる、といった感じです。

ここで、「わかりやすい図解」をするのがデキるブロガー。絵心がなく、それがデキないのがわたし。ここはぜひ、あなたの右脳をフル回転して、イメージ化されることをお願いいたします。

とにもかくにも、「の」の字に湯を注ぐことで、「湯を粉にまんべんなく行き渡らせる」ことができて。そのおかげで、おいしいコーヒーを淹れることができるんだね、ということになります。

粉を混ぜすぎだ!と、怒る人々もいる

「の」の字の理由は以上、おしまい。とすることもできるのですが、ハナシはそうカンタンではありません。「の」の字はいかんぞ、そんなことをしたら粉を混ぜすぎてしまうじゃないか! と、怒る人たちもいるからです。

まぁ、「怒る」まではしないでしょうが。「の」の字を描くのではなく、ドリッパーの中心一点に注ぎ続ける、「一点集中法(一点ドリップ法)」などと呼ばれる方法を推す方々もいます。

では、粉を混ぜすぎるとなにが起きてしまうのか? 言われているのは、「雑味が出やすい」だとか、「にごりがでやすい」だとか。つまり、味わいとしての「クリアさ」が失われる、見た目としての「透明さ」が失われる、という主張です。

なるほど、言われてみるとそうかもしれんね。とは、おもうわけで。もうこうなると、「各自の好き好きですなぁ」と、サジを投げ出すばかりです。

さらに、一点集中の場合には、湯を一滴一滴落とす「点滴」と呼ばれる注ぎ方もあります。短気なわたしには、とてもマネができない芸当です(いちど試しました)。とにかく、ドリッパー内の対流をいかに防ぐか、混ぜすぎを防ぐか、という考え方もあるのですね。はい。

ハナシは、まだおわりません。「の」の字が重要かどうかは、ドリッパーの種類や淹れ方にも関わるんじゃないの? という点も確認をしておきましょう。

浸漬なのか、それとも透過なのか?

そもそも、コーヒーの抽出については、「浸漬式(しんししき)」と「透過式(とうかしき)」という区分があります。

浸漬式とは、粉を湯に漬け込む抽出方法です。これを実現するための代表的なコーヒー器具が、サイフォンやフレンチプレスになります。

いっぽうで、透過式とは。粉のあいだに湯を通過させる抽出方法です。これを実現するための代表的なコーヒー器具が、ハンドドリップで使うドリッパーやマキネッタ(直火式エスプレッソメーカー)になります。

で、浸漬式の場合。粉に湯をかけたあと、粉はおもいっきり混ぜ合わされることになります。実際に、棒(ヘラやスプーンなど)でグルグル混ぜたりしますんで。じゃあ、浸漬式のコーヒーはマズいんか? と、いえば。もちろん、そんなことはありません。

浸漬式には、浸漬式の良さがあります。粉を湯に漬け込むことで、コーヒーの成分を安定的に引き出せるために、コーヒー豆をまるごと味わうことができます。ただし、漬け込む時間が長すぎると、雑味が出てしまうのには注意が必要です。

これに対して、ハンドドリップはどうかというと。さきほど話をしたとおり、基本的には「透過式」なのですが、なかには「浸漬式」ともおもわれるドリッパーもあります。

たとえば、「メリタ AF-M 1×2」というドリッパー。こちらは、湯をドリッパー内へ一気に注ぎ淹れる、というのが特徴です。言うなれば、浸漬式と透過式のハイブリッド↓

また、「クレバー」というドリッパーもあります(ほしいけど、まだ持っていない…)。こちらは、ドリッパー内に湯を注ぎ入れたあと、グルグルとかきまぜて、しばらく漬け込みます。ドリッパーの形状ながら、抽出方法としては「ほぼ浸漬式」ですね。

そういった浸漬式(ハイブリッドや、ほぼ浸漬式を含む)の抽出方法に関しては、「の」の字を描く意味もあまりありません(少しはあるらしいが)。どうせ、混ぜ合わされるから。

そう考えると、「の」の字で湯を注ぐかどうかは、ドリッパーの種類によっても異なるんじゃないの? とも言えるでしょう。

ドリッパーの端にお湯をかけるな

必ずしも「の」の字じゃなくてもよくない? というハナシもしましたが。ドリッパーを使って、透過式でコーヒーを淹れる場合に、気をつけるべきことがあります。

それは、「ドリッパーの端には湯をかけるな、ということです。もし、「の」の字を描きながら湯を注ぐ場合、だんだんと「の」が大きくなっていくと、いずれはドリッパーの端に到達します。

つまり、ペーパーフィルターに直接、湯があたってしまう状態です。これは、いけません。なぜなら、湯が「まったく粉にふれないまま」に、サーバーへと落ちてしまうからです。

こうなると、単純に薄いコーヒーになってしまいますので、ドリッパーの端には湯をかけないように注意しましょう。これを知らずに、かつてのわたしは端っこまで湯をかけていました。

なんだか、端っこに粉が張り付いていると落としたくなるんですよね。なりませんか? なりますよね。そうだよね、なる、なる。はい、でも落としてはいけませんよ。

「の」の字を描くときには、そのあたりに注意が必要です。

湯の注ぎ分け、というドリップのポイント

ここまで、「の」の字についてお話をしてきました。湯を注ぐという点に関連して、もうひとつ。湯の注ぎ分けについても、触れておくことにします。

きみは「4:6メソッド」を知っているか?

ハンドドリップの理論もいろいろありますが。そのなかのひとつに、「4:6メソッド」があります。コーヒー抽出の世界チャンピオン・粕谷哲さんが推奨される理論です。

勝手ながら、超はしょって言うと。湯を注ぐうちの、「はじめの4割で味を決める、残りの6割で濃度を調整する」というのが、「4:6メソッド」の要点になります。

はじめの4割は2回に分ける

湯を注ぐうちの、「はじめの4割で味を決める」といいました。たとえば、300ccの湯を注ぐ場合には、120ccにあたります。その 120ccをさらに、2回にわけて注ぐ。というのが、4:6メソッドのポイントのひとつです。

その2回について、1回めの湯を少なめに注ぐと、味わいとしては「甘み」が強くなります。逆に、1回めの湯を多めに注ぐと、味わいとしては「酸味」が強くなります。1回めと2回め、半々で注ぐと、バランスのよい味わいに。

へぇ〜、って感じですよね。でも、実際にやってみると、間違いなく味わいは変わります。甘みか酸味かはイマイチようわからんけど、たしかに味は違う。ということはわかるよ、違いがわからない男なわたしでも。

残りの6割は1〜3回に分ける

300ccの湯を注ぐのであれば、残りは 180ccです。これを、1〜3回に分けて注ぐことで、濃度を調整していきます。

具体的には、1回で注ぎきれば「薄く」なる。3回に分けて注げば「濃く」なる。2回に分けて注ぐと「そのあいだくらい」という濃度感です。これは、どれだけ湯を速く注ぐか、ということでもありますね。

湯を速く注げば、それだけ速く、湯は粉を通過していくことになります。湯量が多ければ、水圧がかかりますから、湯は速く落ちるわけで。1回で注ぎきれば、薄くなるのは納得でしょう。

逆に、ゆっくり注げば、湯が粉に触れている時間は長くなります。ゆえに、コーヒーの成分がより抽出されて、濃いコーヒーができあがる、というわけですね。

とはいえ、コーヒーのおもな成分としては、はじめの4割の湯でほぼほぼ出きってしまう。だから、味わいを決めるには、はじめの4割をどう注ぐかがだいじなんだ。と、考えておくとよいでしょう。

「の」の字に湯を注ぐときにも、ただただ「の」を描いていればいい、ということではなく。湯をどう注ぎ分けるかまで考えられると、じぶん好みのコーヒーに近づけられる。その再現性を高めることもできるはず。と、わたしも日々、ドリップ修行を続けています。

まとめ

コーヒーをドリップするときには、「の」の字に湯を注ぐといい。とは聞くけれど、なんで? ということを、ドリップに関するポイントもまじえてお話をしてきました。

好きなように、ドリップするのも悪くはありませんが。理屈を知っていると、より楽しめるという部分もありますので。本記事のお話が、よりいっそうドリップを楽しむのに役立つようでしたら幸いです。

コーヒーをドリップするとき「の」の字を描くのはどうして?

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