融資を受けるときに銀行が重視する実績3選

融資を受けるときに銀行が重視する実績3選

会社が銀行から融資を受けるときに、注目をしておきたいのが「実績」です。銀行が重視している実績であり、それがあれば融資の受けやすさにもつながります。では、はたしてその実績とは具体的にどのようなものなのか?

目次

積み上げれば、資金繰りは安定する。

会社が融資を受けるにあたって、銀行が重視する「実績」があります。つまり、その実績があると、融資が受けやすくなる。あるいは、融資条件が会社にとって良いものになる。

ゆえに、その実績を積み上げることが、会社にとってはだいじなことであり、安定した資金調達・安定した資金繰りへとつながります。では、はたして銀行が重視する「実績」とは?

おもなところでは、こちらの3つです ↓

融資を受けるときに銀行が重視する実績3選
  1. 融資総額
  2. プロパー融資
  3. 対計画比

これら3つの実績について、このあと順番に確認をしていきましょう。

融資を受けるときに銀行が重視する実績3選

融資総額

融資を受けるときに銀行が重視する実績、1つめは「融資総額」です。たとえば、A銀行から以前に 1,000万円の融資を受けたことがあるとします。このときの 1,000万円が、ここでいう「融資総額」の実績です。

なので、「いま現在の融資総額」がいくらか? ということではありません。そうではなく、「それぞれの銀行」に対して、過去、最高でいくらまで借りたことがあるのか? が、銀行が重視する「融資総額」にあたります。

さきほどの例に戻りましょう。A銀行が 1,000万円の融資をしたことがあるということは、1,000万円のおカネを借りて返せるだけの会社だと、A銀行が判断したということです。

また、その後、会社が滞りなく返済を続けているのであれば、やはり 1,000万円のおカネを返せるだけの「返済力」があるとも言えるでしょう。

このように、過去の融資総額が「借りた実績・返した実績」として、銀行に対する「信用」になります。銀行からすると、「だったら、また、1,000万円までなら貸してもだいじょうぶだよね」との安心につながるところです。

したがって、返済によって融資残高が減った分は、わりと借りやすいことを覚えておきましょう。たとえば、A銀行から 1,000万円を借りたのち、毎月返済を続けて、いまの融資残高が 600万円だとします。

当初の融資総額 1,000万円のうち、400万円を返済している状態です。返済をした分の 400万円であれば、1,000万円の実績と信用があるので借りやすい、ということになります。

返済を続けていれば、当然、手元のおカネは減っていくのですから、減った分のおカネを手当てするのはだいじなことです。というように、もともと借りていた金額まで借り直す融資を「折り返し融資」などと呼びます。

目安としては、当初の借入金額の3分の1くらいまで返済したところで、銀行に折り返し融資を依頼するとよいでしょう。業績が大きく悪化しているなどの状況でない限り、問題なく融資を受けられることが多いはずです。

そのうえで、業績が良いときには「プラスアルファ」の融資を依頼することで、融資総額の実績を少しずつ押し上げていくようにしましょう。将来、折り返し融資を受けられる金額を高めることができます。

なお、折り返し融資は「運転資金(設備資金以外のために使うおカネ)」の融資に限った考え方です。いっぽうで、「設備資金(設備投資のためのおカネ)」に、折り返し融資の考え方はありません。設備資金は当初の約束どおり、さいごまで返済をし続けることになります。

プロパー融資

融資を受けるときに銀行が重視する実績、2つめは「プロパー融資」です。民間銀行からの融資には、大きく2つ、「プロパー融資」と「信用保証協会の保証付き融資」とがあります。

このうち、保証付き融資は、会社が返済できなくなった場合に、信用保証協会が肩代わりをしてくれる融資であり、銀行にとっては貸しやすく、会社にとっては借りやすい融資です。

これに対して、プロパー融資には信用保証協会の肩代わりはありません。会社が返済できなくなれば、銀行が 100%の損を負います。ゆえに、銀行にとっては貸しにくく、会社にとっては借りにくい融資です。

だったら、保証付き融資で借りればいいかといえば、そういうわけにはいきません。なぜなら、保証付き融資には「限度額」があるからです。

無担保の融資であれば、一般枠(ほかに特別枠あり)としての限度額は 8,000万円になります。また、会社の状況や業績によって、限度額は 8,000万円よりも少なくなることがあるのは覚えておきましょう(おおむね、年間売上高の3割〜5割くらいが限度額の目安)。

というように、受けやすい保証付き融資には限度がありますから、いざというときのために保証付き融資は温存しておきたいところです。言い換えると、できるだけプロパー融資で借りましょう、ということになります。

どうしたら、プロパー融資が受けやすくなるのか? プロパー融資を受けやすいタイミングについては別の記事にゆずるとして ↓

会社としては、「隙あらばプロパー融資を依頼する」という姿勢が大切になります。繰り返しになりますが、プロパー融資は銀行にとってリスクがある融資であり、銀行はいつだって保証付き融資でおカネを貸したいと考えているからです。

会社のほうから言わなければ、プロパー融資は受けられないものと考えておくのがよいでしょう。そのうえで、プロパー融資を受けることができれば、それが実績となり、次のプロパー融資を引き出す材料になります。

プロパー融資の実績があるということは、プロパー融資を受けられるだけの良い会社だということです(プロパー融資は基本的に業績が良い会社が利用できる融資なので)。

すると、いちどプロパー融資をした銀行は、「その融資先をほかの銀行にとられないように」との思惑で、次の融資もプロパー融資を検討してくれることが多くなります。いっぽうで、ほかの銀行は、融資先を奪おうと「ウチもプロパー融資を出します」と提案してくれることも増えるでしょう。

とにかく、まずはいちど、プロパー融資の実績をつくることです。はじめは、少額・短期でもしかたがありません。なにしろ実績がないのですから、銀行だってはじめから多額・長期では貸せないのです。実績をつくりながら、少しずつ多額・長期のプロパー融資を目指しましょう。

対計画比

融資を受けるときに銀行が重視する実績、3つめは「対計画比」です。これは、計画に対して実際の数字がどれくらいの割合か? ということであり、言い換えると、計画の達成度合ともいえます。

ではなぜ、対計画比がだいじなのか。そもそも銀行は、計画よりも実際の数字を重視しています。本来であれば、「将来の利益こそが返済原資」であり、計画上の利益が重視されるべきです。

ところが、会社がつくる計画には「絵に描いた餅」が多く、実際の数字とはかけ離れた計画であるのを、銀行はなんども目にしていると聞きます。結果として、銀行は「会社がつくる計画」を信用していないのです。

じゃあ、計画はつくらなくてもいいのかといえば、そういうわけでもありません。ハナシが二転三転しますが、「将来の利益こそが返済原資」なのは間違いないからです。

つまり、会社がつくる計画が「信頼」できるものであれば、銀行は計画を評価します。実際の数字(決算書や試算表)を評価したうえで、プラスアルファ、計画上の利益も評価するというイメージです。

ではどうしたら、自社がつくった計画を信頼してもらえるのか? ここで「対計画比」の出番です。計画に対して、実際の数字がおおむねそのとおり、あるいは計画を上回っているということであれば、銀行は「計画を信頼してもよさそうだ」と考えます。

そのために会社がすべきことは、期のはじめに「計画(経営計画書)」を銀行に対して提示・説明をする。そのうえで、期中には定期的に試算表を提示して、対計画比をあきらかにします。計画と実際の数字(試算表の数字)とを並べた資料(いわゆる「予実対比表」)もあわせて提示できるとよいでしょう。

これにより、対計画比が安定的に推移していれば、銀行からの信頼を得ることができるはずです。なお、対計画比の目安は「最低でも 80%以上」といったところでしょう。最終的には「利益」がだいじになりますから、毎月の利益について、計画値に対して実際の数字が 80%以上になっているかどうか、です。

計画をつくるときに、大風呂敷を広げていると、その達成が難しくなりますから気をつけましょう。逆に、あまり控えめにしすぎれば、計画上の利益が過小になり、銀行からの評価を得にくくなります。両者のバランスをとるのが、重要なポイントであることを理解しておきましょう。

まとめ

会社が銀行から融資を受けるときに、注目をしておきたいのが「実績」です。銀行が重視している実績であり、それがあれば融資の受けやすさにもつながります。

では、はたしてその実績とは具体的にどのようなものなのか? 本気でお話をした3つの実績を押さえておきましょう。融資の受けやすさばかりではなく、融資条件を良くすることにも役立つはずです。

融資を受けるときに銀行が重視する実績3選
  1. 融資総額
  2. プロパー融資
  3. 対計画比
融資を受けるときに銀行が重視する実績3選

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