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ふだんから会社が銀行とコミュニケーションをとるメリット

ふだんから会社が銀行とコミュニケーションをとるメリット

ふだんから会社が銀行とコミュニケーションをとるメリットについてのお話です。そのメリットが融資審査に役立ち、銀行からの支援を受けやすくすることにもつながります。

目次

コミュニケーションってどういうこと?

会社の持続・成長に欠かすことができない「おカネ」。そのおカネを調達する手段のひとつになるのが銀行融資です。資金調達手段が限られる中小企業にあっては、銀行融資が「資金繰りの生命線」だといっても過言ではありません。

会社が融資を受けるためには、銀行の審査をクリアする必要があります。審査をクリアするためにできること・すべきことはいろいろですが、ふだんから銀行と「コミュニケーション」をとることが、審査に役立つことは覚えておいたほうがよいでしょう。

つまり、融資が受けやすくなるのは、ふだんから会社が銀行とコミュニケーションをとるメリットだということです。この点で、コミュニケーションのメリットを、もう少し具体的にしたものがこちらになります↓

  • 商売を理解してもらえる
  • 数字を信用してもらえる
  • 経営管理能力の証明になる
  • 結果として、審査が速くなる
  • サポートを受けやすくなる

これらのメリットについて、このあと確認をしていきましょう。コミュニケーションの取りかたも話をしていきます。銀行とのコミュニケーションの重要性に、あらためて気づくはずです。

ふだんから会社が銀行とコミュニケーションをとるメリット

商売を理解してもらえる

銀行は、融資先の「商売の内容(だれに・なにを・どのように売っているか)」を意外と理解していないものです。といっても、銀行が一方的に悪いのではなく、会社のほうにも原因があります。

商売の内容は、決算書や試算表を見てわかるものではありません。売上高や利益はわかっても、だれに・なにを・どのように売っているかまではわからないのです。だとすれば、会社のほうから説明をする必要があるとわかるでしょう。

ではなぜ、商売の内容を銀行に伝えなければならないのか? それは、商売の良し悪しが「将来の業績」に深くかかわっているからです。

そもそも、借入の返済原資は「利益」であり、厳密にいえば「将来の利益」です。会社が、将来にわたって利益を生み出せるかどうかは、商売の良し悪し(商売の将来性)による。そう考えて、銀行は、融資先の「商売の内容」に注目をしています。

とはいえ、銀行が「商売の内容」を理解するにも、相応の時間がかかるものです。商売は百社百様、いちど伝えて理解してもらえるほど、底浅いものではありません。

この点で、ふだんから会社が銀行とコミュニケーションをとるメリットがあります。コミュニケーションの頻度と時間が増えれば、商売について伝える機会も増えます。

伝えかたとしておすすめなのは、「商流図」の提示です。商売の流れを図にすることで、言葉や文字だけよりも格段に伝わりやすくなります。くわしくはこちらの記事もどうぞ↓

数字を信用してもらえる

銀行とのコミュニケーションとして、会社が「試算表」を提示するのもよいでしょう。ふだんから定期的に試算表を提示していると、銀行から数字(業績)を信用してもらいやすくなるのはメリットです。

もし、試算表を毎月、銀行に提示していれば、会社は粉飾決算をしづらくなります。決算での赤字を避けるために、さいごの月に架空売上を計上するのでは「見え見え」です。そこで、過去にさかのぼって架空売上を計上したいところですが、試算表を毎月提示している場合にはそれができません。そんなことをすれば、銀行に粉飾がバレてしまうからです。

ゆえに、ふだんから試算表を提示することは、銀行から数字を信用してもらえるというメリットにつながります。

逆に、試算表をまったく提示することなく、1年にいちど決算書だけを提示している場合にはどうなるか? 当然、試算表を提示している場合に比べて、銀行は決算書の数字を信用しづらくなります。粉飾決算の有無について、検証がしにくいからです。

銀行とコミュニケーションをとるのであれば、会話だけではなく、試算表も提示するようにしましょう。毎月とはいかなくても、2ヶ月にいちど、3ヶ月にいちどでも。自社の数字に対する「透明性」が高まり、融資審査にも良い影響があるはずです。

経営管理能力の証明になる

試算表の定期的な提示については、もうひとつメリットがあります。「経営管理能力の証明になる」というメリットです。

試算表を定期的に提示できるということは、試算表を定期的につくっていることにほかなりません。これは、社長が試算表の重要性を理解していることのあらわれ、社長が数字(試算表)にもとづいて経営判断をしていることのあらわれともいえます。

ところが、すべての会社が、試算表を定期的につくっているわけではありません。さらには、試算表をまったくつくらず、決算書しかつくっていない会社はあるものです。

そういった会社では、社長が「数字(試算表)」ではなく、「感覚(勘)」で経営判断をしていることになります。銀行としては、当然、不安を感じるところであり、融資をしづらくなるところです。

そうはならないように、ふだんのコミュニケーションのなかで、銀行に試算表を提示できるとよいでしょう。社長が試算表の数字をもとに話ができれば、話の説得力も上がります。

試算表とあわせて、「予実対比表」も提示できるとベストです。予実対比表とは、期首に立てた予算(計画)と実績(試算表)との対比をした書類になります。予算管理ができる会社として、経営管理能力の高さをさらにアピールできるところです。

結果として、審査が速くなる

ふだんから会社が銀行とコミュニケーションをとると、商売を理解してもらえる、数字を信用してもらえる、経営管理能力の証明になる、という話をしました。これらの結果として、融資審査が速くなるのもメリットです。

逆に、ふだんからコミュニケーションをとっていなければ、融資審査のタイミングであらためて、商売の内容を確認したり、数字を精査したりしなければいけません。審査に時間がかかります。

また、経営管理能力について、良い評価を得ることはできないでしょう。すると、融資の受けにくさにつながります。ふだんから銀行とコミュニケーションをとらないことには、デメリットが多いのです。

コミュニケーションをとるにも、時間や手間はかかりますが。スムーズに融資を受けたいのであれば、必要な時間であり、必要な手間だといってよいでしょう。

とはいえ、四半期にいちど、銀行担当者に会社まで来てもらう(試算表を渡す、という名目で)くらいであれば、それほど大きな負担にはならないはずです。それくらいの頻度であっても、なにもしないよりは、大きな効果を期待できます。

サポートを受けやすくなる

会社が銀行から受けられるサポートは、融資だけではありません。最近では、経営・財務に関するコンサルティングや、ビジネスマッチングなどに積極的な銀行が増えています。

ところが、銀行がそういったサポートをしたくとも、商売の内容がわからなかったり、数字を信用できなかったりすれば、サポートはしづらくなるものです。そうならないように、ふだんから銀行とコミュニケーションをとることが役立ちます。

実際に、商売の内容を伝えることでビジネスマッチングの提案をもらえた、予実対比表を提示することで具体的なコンサルティングの提案をもらえた、という会社があります。

中小企業にとって、第三者からサポートを得られることはメリットになるはずです。銀行がサポートをしやすくするためにも、ふだんから銀行とコミュニケーションをとっていきましょう。

まとめ

ふだんから会社が銀行とコミュニケーションをとるメリットについて、お話をしました。

そのメリットが融資審査に役立ち、銀行からの支援を受けやすくすることにもつながることを理解しておきましょう。銀行とコミュニケーションをとる動機にもなるはずです。

  • 商売を理解してもらえる
  • 数字を信用してもらえる
  • 経営管理能力の証明になる
  • 結果として、審査が速くなる
  • サポートを受けやすくなる
ふだんから会社が銀行とコミュニケーションをとるメリット

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