社長が銀行と会話をするときにできているとよいことについて、お話をしていきます。融資の受けやすさにも繋がるところです。
社長は会話で、銀行に良い印象を与えられるか。
融資を受けている会社の社長であれば、銀行と会話をする機会があるでしょう。その際、社長ができているとよいことがあります。つまり、これができていると「銀行に良い印象を与えられる」というポイントがあります。
具体的には、次のとおりです↓
- 情熱と冷静のバランス
- 財務状況の把握
- 課題への対応
- 数字にもとづく意思決定
このあと、順番に確認していきましょう。融資の受けやすさにも繋がるところです。
社長が銀行と会話をするときにできているとよいこと
情熱と冷静のバランス
銀行との会話のなかには、自社の「事業」や「商品」に関する内容が含まれます。もし、「そんな話はあまりしないなぁ」というのであれば、いますぐにでも話をしましょう。
なぜなら、銀行が事業や商品を知らずして、融資先の「将来性」をはかることはできないからです。将来性をはかれなければ、おのずと「現状のみ」で評価されることになります。つまり、決算書の良し悪しだけで、融資の可否を決められてしまうということです。
なので、「柔軟かつ積極的な融資」を銀行に期待するのであれば、社長は事業や商品の話をしなければいけません。その話をするときの注意点が、「情熱と冷静のバランス」です。ふだんから、事業や商品の話をしている社長も気をつけましょう。
まず、情熱から。文字どおり、熱を込めた話ができるかどうか。そこに、熱意はあるのか? ということです。たとえば、「儲かりそうだからはじめた商売」みたいな話に、情熱を感じることはできませんよね。
商売に必ずしも情熱が必要ではないかもしれませんが、それでも、ないよりはあったほうがよい。情熱は、お客さまも社員も取引先も、たくさんの人たちを巻き込む「要素」になるからです。ゆえに、銀行も「創業時」などはとくに、社長の情熱に注目しています。
一方で、情熱ばかりで冷静さが欠けているのでは問題です。なお、ここでいう「冷静さ」とは、言い換えると「誠実さ」だといえます。コツコツと決めたことをやり抜くチカラです。
いくら情熱があっても、計画性がなかったり、立てた計画を放置してしまうようだと、事業がうまくいかないことはよくあります。銀行はそれを知っているので、社長の「冷静さ」にも注目しているのです。
理想をいえば、「経営計画書をもとに、熱をもって話ができる」という姿がよいでしょう。
財務状況の把握
銀行は、融資先を客観的に評価するために「数字」を重視しています。その最たるものは「決算書」です。では、決算書にあらわれる「財務状況」を社長は把握できているのか? これもまた、銀行が注目をするポイントです。
その決算期の売上や利益がどれくらいかがわかるのは当然として、前期や前々期と比べたときにどうなのかを説明することはできるでしょうか。意外と、できない社長はいるものです。
銀行は、過去との比較で決算書を見ています。過去との差が大きい箇所に、成長の要因や衰退の兆候アリとの見方です。なので、社長はそこに答えられるようにしておきましょう。
また、売上や利益について「将来どうなるか」という点も、財務状況の把握に含まれます。現在の売上や利益から見て、1年後、3年後、5年後はどうなる見込みであるのか? やはり、経営計画書のかたちで可視化できるとよいでしょう。
さらには、「おカネ」が将来どうなるかも、だいじなポイントです。おカネとはすなわち、預金残高のことであり、1年後の預金残高はどれくらいを見込んでいるのか? ということになります。
銀行は貸したおカネに、利息を乗せて回収するのが商売ですから。融資先に、回収できるおカネがあるのか、将来に渡って回収できるおカネがありそうか? は、銀行の関心事です。
社長は、これにも答えられるようにしておきましょう。具体的には、資金繰り予定表を作成して、向こう1年のおカネの動きと、1年後の預金残高を説明できるようにすることです。
そこまでできると、銀行は「財務状況を把握できている社長だ」と安心するでしょう。
課題への対応
課題とは、現状分析から導かれる「現状と目標とのギャップ」をいいます。なんだか小難しい話ではありますが、要は、「いま足りないものはわかっているのか?」ということです。
一生懸命に仕事をするのはよいことですが、それが「見当違いの一生懸命」であれば、なんか違うということになりますよね。銀行もまた、「会社は持てるリソースはムダ使いをせず、課題解決に充てるべし」との考えです。
したがって、会社はまず「課題の把握」ができていなければいけません。繰り返しになりますが、課題とは「現状と目標とのギャップ」です。現状分析からはじめましょう。
いわゆるフレームワークでいうと、「3C分析」や「SWOT分析」などがありますが。ツールとしては、経済産業省が推奨する「ローカルベンチマーク」を利用するのがおすすめです。銀行内でも理解が広がっています。
ローカルベンチマークについて、詳しくはこちらの記事もどうぞ↓
現状分析ができたら、社長が考える「目標」と照らし合わせてギャップを探りましょう。そのギャップこそが、「いま足りないもの」であり課題です。
課題の把握ができたら、解決するための具体策も検討しましょう。ギャップを埋めるために、なにをするのか? です。具体的には、行動計画として経営計画書のなかに織り込みます。
もちろん、計画するだけではなく「実行」が重要です。立てた計画をもとに、定期的に実行状況を確認する。問題があれば軌道修正する(計画の修正)、また実行する。このサイクルを回し続けます。
前述した、コツコツと決めたことをやり抜くチカラ「誠実さ」に繋がるところです。銀行員との会話のなかで社長は、「自社の課題」と「課題への対応状況」を伝えていきましょう。
数字にもとづく意思決定
銀行が、客観的な評価をするために「数字」を重視していることは話をしました。その数字を、社長が把握して、意思決定(経営判断)に使っているのかどうかも銀行は見ています。
これに対して、「勘」と「経験」と「度胸」のみで意思決定する社長を、銀行は好みません。意思決定に、客観的な根拠がないからです。
もちろん、数字が絶対ではありませんが、ないよりあったほうが、意思決定の精度が上がるといってよいでしょう。にもかかわらず、数字を見ずに意思決定をするのは、「社長としての資質に欠けるのではないか?」というのが銀行の見方です。
したがって、銀行との会話のなかには、実際の数字を折り込みながら、話ができるとよいでしょう。説得力が上がります。
また、形式的には「試算表を毎月つくっているのか?」という点にも銀行は注目しています。試算表を毎月つくっているということは、社長の管理意識・管理能力が高いことのあらわれ。銀行は、そう考えているからです。
逆に、試算表を毎月つくっていない、つくっていてもだいぶ遅れているとなると。結果として、数字(最新の業績)にもとづく意思決定ができていないことになりますから、銀行の印象はよくありません。
以上をふまえて、銀行と会話をする際は、最新の試算表をもとに話ができると、よいアピールになります。さらに、経営計画書の数値計画との「予実対比(計画値と実績値の比較)」まで話ができるとベストです。
まとめ
融資を受けていると、社長が銀行と会話をする機会も増えるでしょう。本記事でお伝えした「社長が銀行と会話をするときにできているとよいこと」を押さえておくことをおすすめします。融資の受けやすさにも繋がるところです。
- 情熱と冷静のバランス
- 財務状況の把握
- 課題への対応
- 数字にもとづく意思決定