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社長が経営判断を間違える決算書の操作3選

社長が経営判断を間違える決算書の操作3選

銀行から融資を受けるために、業績を少しでもよく見せようと、決算書を操作(粉飾)してしまう会社もありますが。その操作によって、社長が経営判断を間違えてしまいますよ、というお話です。

目次

なんとか融資を受けたい、という気持ちはわかる。

決算書には、「外部への報告」という役割があります。そして、中小企業にとっての「外部」には、「銀行」が含まれます。

つまり、中小企業が融資を受けるにあたって、銀行の審査を受けるために、自社の業績を「決算書」でもって報告する必要があるわけです。

このとき、「なんとか融資を受けたい」と考えることから、業績を少しでもよく見せようと、決算書を「操作」してしまう会社があります。「粉飾」などと呼ばれる操作です。

操作をしてまで融資を受けようとするのが「いけないこと(詐欺行為)」であるのは当然として、気をつけるべきはそれだけではありません。

決算書の操作には、社長が「経営判断を間違える」という大きなデメリットもあります。具体的な操作について、おもなものを挙げると次の3つです↓

社長が経営判断を間違える決算書の操作3選
  • 在庫
  • 買掛金・未払金
  • 減価償却費

これらを操作することで、社長はどのように判断を間違えてしまうのかを確認していきます。融資を受けたいからといって、安易に決算書の操作をすることがないように、との趣旨です。


社長が経営判断を間違える決算書の操作3選

在庫

業績をよく見せるために、しばしば操作されるものに「在庫」があります。

そもそも、商品をどれだけ仕入れたとしても、その商品が売れるまでは「費用」にはなりません。言い換えると、売れた時点ではじめて費用になります。

だとしたら、「商品は仕入れたけれど、売れてはいないことにすればいい」との悪巧みがあるわけです。これにより、費用が減る分だけ、利益を水増しすることができます。

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また、在庫自体はあるけれど、もはや売れるほどの価値がない… というケース。本来であれば、価値がない分は「損失」とすべきところですが、利益を水増しするために放置されることもあります。

これらの操作によって、社長は「ほんとうの在庫量」がわからなくなるのが問題です。そして、もっと問題なのは、自社の「ほんとうの業績」もわからなくなることです。

たとえば、このたびの決算で 100万円の操作をしたとします。つまり、在庫がないのにあるものとして、利益を 100万円水増ししたとします。

そういう会社は、事業が振るわないから操作をするわけで、また次の決算でも業績が厳しくなるものです。そこで社長は「また在庫を操作して…」と考えます。

かくして、たび重なる操作によって、「ほんとうの在庫量」がわからなくなってしまうのです。

さらに、問題は続きます。100万円の操作をした場合(=100万円の利益を水増しした場合)、その操作を「解消」するためには、次の決算で余計に 100万円の利益を出さねばなりません。

もともと事業が振るわないところにきて、利益を 100万円上乗せするのはタイヘンなことです。かくして、過去の操作は解消されずに残り続けてしまうことになります。

結果、操作されたままの決算書で、社長は経営判断をしなければいけません。これで、正しい経営判断ができるのでしょうか? できませんよね、というハナシです。

もしかすると、「だったら、ほんとうの業績がわかる決算書も別につくればいい」とおもわれるかもしれませんが。それを「二重帳簿」と呼びます。

二重帳簿をつくる手間と時間があれば、業績改善に充てるべきだ。というのが、正論です。

買掛金・未払金

続いての操作は、「買掛金・未払金」です。

仕入代金や外注費の未払い分が「買掛金」であり、そのほかの諸費用の未払い分が「未払金」です。決算書には、買掛金・未払金を計上しなければいけません。

が、あるはずの買掛金や未払金を計上しなければ、連動して仕入や外注費、諸経費が減りますから、利益を水増しすることができます。

この点で、買掛金や未払金を「いつも必ず計上しない」のなら、よくないことではありますが「まだマシ」です。いっぽうで、「前回の決算では計上したけど、今回の決算では計上しない」みたいに、計上したりしなかったりは問題です。

言うまでもなく、業績を比較しづらくなるからですね。あとになって、数年分の決算書を並べてみたときなどはとくに、業績を比較することが困難になります。

すると、社長は「ほんとうの業績の推移」を把握できずに、経営判断を間違えることもあるでしょう。ほんとうは赤字なのに、黒字になるよう操作していれば、赤字の原因解決を放置することにもなりかねません。

なお、具体的には、給与と社会保険料に関する未払金の操作が、わりとよく見られます。

たとえば、給料が「毎月15日締め・25日払い」の会社であれば、決算では「半月分(締日〜月末分)」が未払金の対象です。この未払金について、利益が出ているときは計上して、利益が出ていないときは計上しない、という会社があります。

また、当月分の社会保険料を翌月末に支払っている会社であれば、決算では「当月分」の社会保険料が未払金の対象です。ところがやはり、利益の状況に応じて、未払金を計上したりしなかったりしている会社はあるものです。

こういった操作は、銀行が見ればすぐにわかるものでもありますから、業績をよく見せるという点で効果はありません。社長が業績把握や経営判断を誤るばかりであって、害あって利は無いものと考えておきましょう。

減価償却費

さいごにもう1つ、よくある操作として「減価償却費」が挙げられます。

そもそも、「減価償却の対象になる固定資産(建物、機械、クルマ、備品、ソフトウエアなど)については、毎年、相応の減価償却費を計上するのが会計のルールです。

相応って具体的にどれだけ? ということに関しては、「最低でも、税法が定める限度額」というのが銀行の見方だったりもします。

厳密には、それぞれの固定資産の「実態」にあわせて、減価償却費を計算するのが正しいわけですが、それはそれでタイヘンなので。便宜的・簡易的にも、税法が定めるとおりに減価償却費を計算する会社がほとんどです。

ところが、その「税法が定める減価償却費」さえも計上しない会社があります。業績をよく見せるために、利益を水増ししようとしている会社ですね。

そういった会社の社長が、「ほんとうの業績」を把握できなくなるのは、これまでの話と変わりません。減価償却費については、さらに把握できなくなるものがあります。

それは、「設備投資の必要性」です。会社が持続・成長するためには、一定の設備投資をし続けることがだいじだと考えるのであれば、決算書に計上されている「固定資産」の金額は、設備投資における1つの判断材料になります。

たとえば、3,000万円の機械を買ったとして。この機械の減価償却費が年間 600万円だとすれば、減価償却費を計上することによって、決算書には「機械 2,400万円」と記載されます。

次の決算でも減価償却費を 600万円計上して、「機械は 1,800万円」と記載されます。と、減価償却費を計上するたびに、機械の額が減っていくのを社長は見て、「そろそろ設備投資(設備更新)のタイミングかな」などと考えるわけです。

ところが、減価償却費を計上しないとなると、機械の額が減ることはありません。まったく減価償却費を計上しなければ、ずっと 3,000万円のままです。

というのは、さすがに極端にしても、本来 600万円の減価償却費を 100万円ずつしか計上しなければ、社長は設備投資のタイミングを見誤ることになりかねません。

また、減価償却費の未計上や過少計上は、銀行が忌み嫌う操作でもありますから気をつけましょう。銀行に嫌われれば融資が受けにくくなりますし、融資が受けにくくなれば、設備投資をするにも融資が受けられず。設備投資ができなければ、会社の持続・成長の妨げにもなります。


まとめ

銀行から融資を受けるために、業績を少しでもよく見せようと、決算書を操作(粉飾)してしまう会社があります。

操作がいけないことであるのはもちろんですが、それとは別に、操作をすれば「社長が経営判断を間違える」という大きなデメリットがあることを理解しておきましょう。

本記事で取り上げた3点については、とくにです。

社長が経営判断を間違える決算書の操作3選
  • 在庫
  • 買掛金・未払金
  • 減価償却費
社長が経営判断を間違える決算書の操作3選

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