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自社の課題・問題を打ち明けると銀行の支援が受けやすくなる

自社の課題・問題を打ち明けると銀行の支援が受けやすくなる

社長は「銀行から足元を見られたくない」とおもわれるかもしれませんが。自社の課題・問題を打ち明けると銀行の支援が受けやすくなりますよ、というお話です。

目次

足元を見られたくない社長。

銀行から融資を受けている会社の社長であれば、「銀行から足元を見られたくない」という思いがあるはずです。

この点で、「自社の課題や問題を打ち明けると、銀行からの支援が受けやすくなる」と言ったらどうでしょう。そんなはずはない、足元を見られて支援が受けにくくなるに違いない! そうおもわれるかもしれません。

ところが、自社の課題や問題を打ち明けることで、銀行からの支援が受けやすくなることがあるのです。以前に比べて最近ではとくに、銀行は「本業支援」にチカラを入れています。

本業支援とは、融資先の「事業」を支援すること。具体的には後述しますが、事業の支援をすることで融資先の持続・成長をうながし、ひいては銀行融資も… というのが狙いです。

ではいったい、どのような「課題・問題」が銀行からの支援に繋がるのか? 次のとおりです↓

自社の課題・問題を打ち明けると銀行の支援が受けやすくなる
  • 新商品の販売開始
  • 仕入先・外注先の倒産・廃業
  • 新規事業の計画
  • 人材採用・教育

それではこのあと、順番に見ていきましょう。

自社の課題・問題を打ち明けると銀行の支援が受けやすくなる

新商品の販売開始

「自社で新商品の販売を開始する」というのは、会社にとっては「課題・問題」の1つです。今後の持続・成長に関わる「課題」であり、うまく販売できなければ「問題」にもなりえます。

では、新商品の販売開始を銀行に伝えるとどうなるか?

まずは、売上先の紹介をしてもらえる可能性があります。銀行には多くの融資先がありますから、そのなかに自社の新商品を買ってくれそうな先があれば、紹介をしてくれることがあるのです。

また、直接の紹介ではなくとも、銀行が開催している「ビジネスマッチングフェア」のようなものに招待してもらえることもあります。いずれにせよ、販路拡大に役立つものでしょう。

新商品の売り先を探している・増やしたい、というときほど、取引銀行に話をしてみるのがおすすめです。

また、話をすることで融資を提案してもらえることもあります。具体的には、「増加運転資金」の融資です。新商品の販売となれば、あらたに売掛金や在庫が増えます。すると、その分だけ資金繰りが悪くなるので、運転資金としての融資が必要です。

この理屈を銀行はわかっていますから、「新商品の販売開始」という情報から、「だったら、運転資金の融資はいかがですか?」という提案をしてもらえることはあるわけです。

銀行のほうから提案があれば、融資をよりスムーズに受けることができるでしょう。

仕入先・外注先の倒産・廃業

事業を続けていると、いろいろなことがあるものです。ときには、大口の仕入先が倒産してしまった、長年の外注先が廃業してしまった… などということもあります。

仕入ができない、外注できないとなれば、会社にとっては一大事です。こんなときにも、取引銀行に相談をするのは選択肢の1つです。

あまり騒ぎになると、銀行も心配するのではないか? とおもわれるかもしれませんが。最終的に騒ぎになるくらいなら、はじめから経緯をふまえて伝えておいたほうがよいというものです。

それに、銀行が仕入先や外注先を紹介してくれるかもしれません。前述したとおり、銀行には多くの融資先があるからです。そのなかには、自社に合う仕入先や外注先が見つかる可能性があります。

ここで、1つ注意点です。前述の売上先にしても、仕入先や外注先にしても、銀行が紹介をするためには、銀行が「自社の商売」を理解している必要があります。

自社が「だれに・なにを・どのように売っているのか?(=商売)」といったことを銀行がわかっていなければ、自社に合った売上先・仕入先・外注先を選定することができないからです。

したがって、銀行とはふだんから「商売」の話をしておきましょう。おすすめは、「商流図」を使って、自社の商売について説明をしておくことです。商流図について、詳しくはこちらの記事をどうぞ↓

新規事業の計画

前述の「新商品の販売」と似たものではありますが、さらに規模が大きなものとして「新規事業の計画」が挙げられます。

新規事業となると、多くのおカネが必要にもなるものです。もう少し具体的に言うと「設備資金」、つまり、設備投資をするためのおカネが必要になります。

たとえば、本社や工場などの建物や土地、機械設備、自動車、器具備品、ソフトウェアなど。そういったものを買うためのおカネを、すべて自己資金で用意できる会社は多くありません。

また、自己資金で用意できるとしても、基本的には、融資を受けることをおすすめします。自己資金は、いざというとき(新規事業が軌道に乗らない…とか)のために温存しておくほうが無難だからです。

設備資金の融資は、設備投資をするタイミングでしか借りることができません。そのタイミングを逃さないようにしましょう。

この点で、ふだんから銀行との会話のなかで、新規事業の計画について伝えていれば、銀行のほうから「設備資金の融資はいかがですか?」と提案をもらいやすくなります。

また、新規事業となれば、設備資金に加えて、運転資金(仕入代金や経費を支払うためのおカネ)も必要です。運転資金の融資についても、銀行から提案をもらいやすくなるでしょう。

ちなみに、新規事業の計画とは別に、「IT化の推進」の課題や「設備老朽化」の問題などがあれば、銀行に伝えてみることをおすすめします。

IT化をするために必要なコストや、設備の修繕・更新にかかるコストについて、融資の提案をもらいやすくなるはずです。

人材採用・教育

社員を抱える会社にとって、「人材採用・教育」は課題・問題の1つでしょう。このあたりについても、銀行に話をしてみるのがおすすめです。人材紹介や育成支援などのコンサルティングを提案してもらえる可能性があります(銀行が提携する外部専門家の紹介など)。

この場合、銀行から運転資金(人材採用・育成にかかるおカネ)の融資が受けやすくなるのはメリットです。銀行自身が提案をしたコンサルティングであれば、銀行は資金面での協力もしやすくなります。

繰り返しになりますが、銀行はいま「本業支援」にチカラを入れていますから、経営の課題・問題があれば、積極的に相談をしたいところです。銀行は「カネ貸し」ではなく、「パートナー」という位置づけがよいでしょう。そういう認識のほうが、関係性もよくなります。

なお、銀行は「社員数の推移」を気にしていることを覚えておきましょう。社員数の増減は、会社の業績をあらわしていたり、影響したりするものだからです。

これに関連して、法人事業概況説明書(決算書に付随する書類)の記載項目である「従事員数(期末・各月末)」はきちんと記載するようにしましょう。

銀行はここを見て、社員数の動きを把握しています。記載されていなかったり、いい加減に記載をしていると、銀行は情報を得られないことから、銀行からの積極的な提案が受けにくくなるのはデメリットです。

法人事業概況説明書とは別に、採用計画や教育計画があれば、銀行との「課題・問題の共有」として、提示・説明をしておくとよいでしょう。銀行からの支援を受けやすくなるはずです。

まとめ

社長であれば、「銀行から足元を見られたない」とおもわれるかもしれませんが。自社の課題・問題を打ち明けると銀行の支援が受けやすくなりますよ、というお話をしました。

どのような課題・問題が、銀行からのどのような支援につながるのか。本記事を参考に抑えておくと、銀行に打ち明けやすくもなるはずです。

自社の課題・問題を打ち明けると銀行の支援が受けやすくなる
  • 新商品の販売開始
  • 仕入先・外注先の倒産・廃業
  • 新規事業の計画
  • 人材採用・教育
自社の課題・問題を打ち明けると銀行の支援が受けやすくなる

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