ある銀行から、2回め以降の運転資金の借入をする場合。とくにポイントになることをまとめてみます。押さえていないと融資が受けにくくもなるところですから、じゅうぶんに気をつけましょう。
1回めよりも2回め以降。
A銀行からは以前、運転資金の借入をしたことがある。運転資金とは、設備資金(設備投資をするためのおカネ)以外に使うおカネであり、具体的には仕入代金や経費の支払いをするおカネです。
そのうえで、A銀行から2回め以降、運転資金の借入をする場合のポイントをまとめてみます。おもなところでは次のとおりです↓
- 運転資金の範囲内か
- 前回融資額の範囲内か
- 前回、資金使途どおりに使われたか
これらは1回めの借入であっても、同様の考え方をすることもありますが。2回め以降は、よりいっそう重視される点として覚えておくとよいでしょう。融資が受けやすくなるはずです。
それではこのあと、各ポイントを順番に確認していきます。
2回め以降の運転資金を銀行借入するときのポイント
運転資金の範囲内か
ここでいう運転資金とは、いわゆる「経常運転資金」を言います。算式であらわすと、次のとおりです↓
銀行が考える運転資金の融資金額は、原則、経常運転資金の範囲内です。
たとえば、1回めの融資を受けたときの経常運転資金が 500万円だとして、その分の運転資金の融資を受けていたとします。その後、返済が進んで、いまの借入残高は 300万円です。
そして今回、2回めの運転資金の融資を受けるにあたって、いま現在の経常運転資金は変わらず 500万円だとします。では、今回借りることができる金額はいくらになりそうか?
前述したとおり、経常運転資金の範囲内が原則ですから 200万円です(500万円 ー 300万円)。
では、例を変えてみましょう。2回めの運転資金の融資を受けるにあたって、いま現在の経常運転資金は 400万円だとしたら、今回借りることができる金額はいくらまでになりそうか?
100万円です。繰り返しになりますが、運転資金の融資額は「経常運転資金の範囲内」ですから、400万円が限度になります。1回めの借入残高が 300万円なので、今回借りられるのは 400万円から 300万円を除いた 100万円、という考え方です。
逆に、いま現在の経常運転資金が増えていれば、その分多く借りれることになります。経常運転資金が増える原因が、売上が伸びていることであれば、銀行が好んで融資をするところです。
いずれにしても、2回め以降の運転資金を借入するときには、いま現在の経常運転資金を計算してみるようにしましょう。そのうえで、すでに運転資金として借りている金額を除いた金額が、今回借りることができる金額の目安になります。
前回融資額の範囲内か
銀行が考える運転資金の融資金額は、原則、経常運転資金の範囲内だと前述しました。よって、今現在の経常運転資金の額が減ると、借りることができる金額も減ってしまう。
そのいっぽうで、銀行には「前回融資額までなら貸してもよいだろう」という考え方もあります。たとえば、前回 500万円の融資をしたのであれば、今回も 500万円までなら融資をしてもよいと考えるわけです。
さきほどの例で言えば、1回めの融資を受けたときの経常運転資金が 500万円だとして、その分の運転資金の融資を受けていたとします。その後、返済が進んで、いまの借入残高は 300万円です。
2回めの運転資金の融資を受けるにあたって、いま現在の経常運転資金は 400万円だとしたら、今回借りることができる金額はいくらまでになりそうか?
答えは 100万円だと言いました。が、1回めの融資では 500万円まで貸したのだから、500万円 ー 300万円で 200万円までなら貸してもいいか。銀行はそう考える、ということです。
その理由は、「実績」にあります。過去に 500万円を借りたあと、きょうまで返済を続けてこれたという実績があるのだから、この会社にはそれだけの返済力がある、という考え方です。
なので、もしも返済に遅れた実績があれば、その考え方は適用されないことになります。だから、銀行への返済に遅れてはいけませんし、遅れないように気をつけましょう。
また、いくら返済実績があっても、いま現在「大赤字」といった状況であれば、さすがに銀行も融資をしづらくなります。そう考えると、2回め以降の融資を受ける「タイミング」が重要であることもわかるでしょう。
つまり、業績が良いうちに(少なくとも悪くならないうちに)融資を受けておくということです。
前回、資金使途どおりに使われたか
2回め以降の借入で、銀行からとくに見られるポイントとして「資金使途(借りたおカネの使いみち)」が挙げられます。
ここでいう「資金使途」とは、前回融資の資金使途であり、前回借りたおカネは当初の資金使途どおりに使われたのか? ということです。
資金使途が運転資金として借入したのであれば、そのおカネは仕入代金や経費の支払いとして使わていなければいけません。それがもし、設備購入や有価証券の購入、社長への貸し付けに使われていたらどうでしょう?
資金使途違反です。銀行から見れば、「ウソをつかれた」ということになります。「だから、全額すぐに返済しろ」とまでは言われないにしても、次の融資が受けられなくなるのは当然です。
資金使途違反については、「バレなかったからだいじょうぶ」というハナシを見聞きすることがあります。ところが、それは「まだバレていないだけ」かもしれません。
銀行が資金使途違反を認識するタイミングは、いろいろです。当初の借入のときや、その直後にはバレなかったとしても、2回め以降の融資を受けるタイミングでバレることはあります。
結果、融資が受けられなくなれば、資金調達のアテがはずれた社長は困ってしまうでしょう。資金使途違反は絶対にしない、これをあらためて心得ておきましょう。
まとめ
ある銀行から、2回め以降の運転資金の借入をする場合。とくにポイントになることをまとめました。押さえていないと融資が受けにくくもなるところですから、じゅうぶんに気をつけましょう。
- 運転資金の範囲内か
- 前回融資額の範囲内か
- 前回、資金使途どおりに使われたか