会社が納税資金の銀行融資を受けるときのポイント

会社が納税資金の銀行融資を受けるときのポイント

利益が出ることで納税が増えます。納税が増えると資金繰りが悪くなります。結果、成長ペースが鈍らぬように、納税資金の融資を受けましょう。その際のポイントをまとめます。

目次

成長ペースを鈍らせぬよう。

そもそものお話として、会社が納税をするときには「銀行融資」を受けることを検討しましょう。ひとことで言えば、資金繰りが安定するからです。

融資を受けて、そのおカネで納税できれば、税金を分割払いするのと同じ効果があります。納税額が多いほど、資金繰りを安定させることが可能です。

納税額が多いということは、多くの利益が出ているということであり、会社が成長過程にあるケースが多いでしょう。成長するときには、おカネが必要になるものです。

いちどに納税することで資金繰りが悪くなると、せっかくの成長ペースが鈍ってしまいかねません。利益が出ているときこそ、資金繰りには気をつけましょう。

ということで、本記事では「会社が納税資金の銀行融資を受けるときのポイント」についてお話をしていきます。いざ、納税資金の融資を検討するときには、どこに注意をすればよいのか?

具体的には次のとおりです↓

会社が納税資金の銀行融資を受けるときのポイント
  • 早めに打診をする
  • 資金繰り表を用意する
  • メインバンクに相談する
  • プロパー融資を依頼する
  • 納税資金として借入する

それではこのあと、順番に見ていきましょう。

本記事で言う「税金」とは、法人税のことです。消費税や源泉所得税といった税金については、会社にとって預り金であり、銀行融資の対象にはなりません。

会社が納税資金の銀行融資を受けるときのポイント

早めに打診をする

決算月の1ヶ月前くらいには、銀行に打診をしておきましょう。つまり、「今期は〇〇万円くらいの税金が出そうなので融資をお願いします」と、銀行へ伝えます。

これが、いざ納税の時期になってからとなると、銀行も審査が間に合いません。銀行がスムーズに準備できるよう、早めの打診が大切です。

もう少し具体的に言うと、決算月の1ヶ月前くらいには、その時点の試算表と、決算時点の見込み試算表を銀行に渡しておきます。どれくらいの利益が出るか、税額になるかの根拠資料です。

そのうえで、決算月の翌月末くらいには、決算書の素案を用意し、納税予定額の一覧を銀行に渡せるとよいでしょう。すると、納税時点でスムーズに融資を受けることができるはずです。

このあたりのスケジュール感を、顧問税理士とも事前に共有しておくことも重要になります。

資金繰り表を用意する

納税資金の融資を打診する時点で、資金繰り表も準備できればベストです。ここで言う「資金繰り表」とは、決算日から半年先〜1年先までの資金繰り予定をまとめた書類になります。

この資金繰り表があると、銀行の融資に対する不安を軽減できるのがメリットです。

銀行の関心事は、「貸したおカネを返してもらえるのか」にあります。資金繰り表があれば、「たしかに返済できる」という根拠資料になるので、銀行も融資を検討しやすくなるのです。

決算では利益が出ているとしても、その後も利益が出るとは限らず、これまた銀行が不安を感じるところになります。資金繰り表を通じて、引き続き順調であることをアピールできるとよいでしょう。

資金繰り予定表のつくり方については、こちらの記事もどうぞ↓

メインバンクに相談する

複数の銀行とお付き合いがある場合、どの銀行に納税資金の融資を相談すればよいか。

基本は、メインバンクです。メインバンクはもっとも自社の状況を理解している銀行になりますから、スムーズに、かつ、積極的に融資を検討してくれることでしょう。

メインバンク以外の銀行から借りるにしても、毎回毎回、違う銀行から納税資金の融資を受けるのはおすすめできません。逆に、いつも決まった銀行から融資を受けることにメリットがあるからです。

毎年、納税資金の融資を受けていれば、銀行は「今年もまた納税資金の融資が必要になる」ということを考えられるようになります。となると、融資を受けるのにもスムーズでしょう。

にもかかわらず、去年はA銀行で、今年はB銀行に相談するとなると、B銀行は「A銀行からは断られたのかな? だったらウチも貸すのをやめたほうがいいかな」と考えるものです。

プロパー融資を依頼する

納税資金の融資は、銀行にとって貸しやすい融資です。1つは、「黒字」が前提だから。もう1つは、「短期」の融資だからです。

銀行の関心事が、「貸したおカネを返してもらえるのか」であることは前述しました。この点で、「納税=黒字」であり、黒字であれば返してもらえる可能性が高い、と銀行は考えます。

また、納税は半年に1回です(決算時と半期の予定納税時)。したがって、納税資金の融資は原則、返済期間が6ヶ月になります。短期の融資ですから、長期の融資に比べて回収不能のリスクが小さい、というのが銀行の考え方です。

そこで、「プロパー融資でお願いします」と依頼しましょう。プロパー融資とは、信用保証協会の保証が無い融資です。会社にとって、プロパー融資にはメリットがあります↓

いっぽうで、銀行にとってプロパー融資はリスクが高い融資ですから、基本的にあまり乗り気ではありません。でも、リスクが低い納税資金の融資であれば、乗ってもらえる可能性は高まります。

納税資金として借入する

納税資金の融資を受けるときには、「納税資金」として融資を受けましょう。言い換えると、「運転資金」として融資を受けてはダメだ、ということです。

いわゆる「運転資金」の融資には、「売上債権+棚卸資産ー仕入債務」という目安額があります。ですが、納税資金はそれとは別枠で考えるべきものです。

にもかかわらず、運転資金として融資を受けてしまうと、会社が受けられる融資の総額が減ってしまうことになります。その分、資金繰りは悪くなるので気をつけましょう。

ですから、銀行に「運転資金に含めて融資をします」と言われても、「納税資金としてお願いできますか」と相談をすることが大切になります。借りられればいい、ということではありません。

まとめ

利益が出ることで納税が増えます。納税が増えると資金繰りが悪くなります。結果、成長ペースが鈍らぬように、納税資金の融資を受けましょう。本記事では、その際のポイントをまとめました。

利益が出ているときこそ、資金繰りには注意が必要です。

    会社が納税資金の銀行融資を受けるときのポイント
    • 早めに打診をする
    • 資金繰り表を用意する
    • メインバンクに相談する
    • プロパー融資を依頼する
    • 納税資金として借入する
会社が納税資金の銀行融資を受けるときのポイント

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