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社長が押さえておくべき資金繰り表づくりの3原則

社長が押さえておくべき資金繰り表づくりの3原則

資金繰り表はつくりさえすればいいものではありません。というわけで、社長が押さえておくべき資金繰り表づくりの3原則について、お話をしていきます。

目次

資金が尽きたら、会社はおしまい。

資金繰り表をつくることが大切だ、などということについては、いまさら説明するまでもないでしょう。それでもあえて言うのであれば、「資金が尽きたら、会社はおしまいだから」です。

なので、将来、資金繰りが尽きてしまうことがないように。資金を管理するツールとして、資金繰り表をつくりましょうよ、ということになるわけです。

とはいえ、つくりさえすればいいものでもありません。ポイントを外した資金繰り表をつくっているようでは、やはり資金が尽きてしまいます。では、そのポイントとは?

おもに3つ、「資金繰り表づくりの3原則」とも言えるものがこちらです↓

社長が押さえておくべき資金繰り表づくりの3原則
  1. 収入少なめ・支出は多め
  2. 収入は遅め・支出は早め
  3. 預金残高は維持が最低ライン

社長は、これらを押さえておきましょう。なお、わかっているようでわかっていないこともありますから、このあとの説明も確認をしていただければとおもいます。

社長が押さえておくべき資金繰り表づくりの3原則

収入少なめ・支出は多め

よく言われることではありますから、「知ってるよ」という社長も多いことでしょう。ところが、知っていることと、実践できることとは別モノです。というのもまた、よく言われることですが。

たとえば、資金繰り表を見たときに、「収入が多め」というか「収入が多すぎる」ケースがあります。成長意欲が高い社長ほど、そのような資金繰りになりがちです。

なぜなら、高い売上目標(いわゆる努力目標)を課しているから。その目標に沿って資金繰り表をつくれば、おのずと「収入が多め(場合によっては多すぎ)」になってしまいます。

成長意欲や努力目標自体は否定されるものでもありませんが、それを「資金繰り表」にまで持ち込むことには慎重になったほうがよいでしょう。そもそも、資金繰り表の目的はなんですか?

会社の資金を管理すること、資金が尽きないように管理することです。だから、資金繰り表はできるだけ保守的に。努力目標を課すのであれば、資金繰り表の外で管理することをおすすめします。

資金繰り表における目標は「必達目標」です。つまり、絶対に達成すべき目標であり、絶対に達成すべき収入ということになります。では、絶対に達成すべき収入とは?

具体的には、資金繰り分岐点売上高(すべての支出をまかなえるだけの売上高)です。まず支出ありきで、その支出から必要な売上高を「逆算」することになります。くわしくはこちらの記事で↓

こうして求められた資金繰り分岐点売上高は、最低限必要な売上高であり、「収入少なめ」といえるでしょう。

これとは逆に、売上高(収入)から考える社長が少なくありません。売上高から考えるから、成長意欲や高い目標によって、「収入多め(あるいは多すぎ)」となるのです。気をつけましょう。

収入は遅め・支出は早め

これもまた、よく言われることなので、やっぱり「知ってるよ」とおもわれるかもしれません。でも実際には、「収入は早め」の資金繰り表が散見されます。

顕著な例が、創業時につくる資金繰り表です。創業融資を受けるときには、向こう1〜3年ていどの資金繰り表が必要になります。このときの収入が早い、早い、というのは「あるある」です。

たとえば、1月に開業した場合に、数ヶ月のうちには(なんなら1ヶ月めから)売上が軌道に乗っている… みたいな。ですが、多くの場合、売上が軌道に乗るまでには時間がかかります。

どれくらいの時間がかかるのか? といえば。創業社長の「想像以上」であり、「おおむね6ヶ月ていど」が平均的だと言ってよいでしょう。

なので、すでに受注が決まっているなど、よほど売上が確定的でない限りは、開業後6ヶ月は収入が少なめで推移するものとして資金繰りを考えるのがおすすめです。

結果として、資金繰り表上の売上が軌道に乗りはじめるのは、開業後7ヶ月めあたりから、ということになります。これが、「収入は遅め」です。

そのうえで、軌道に乗るまでに不足する資金を、あらかじめ調達しておく必要があります。ところが、「収入は早め」で資金繰り表をつくってしまうとどうなるか?

必要な資金調達額を過小に見積もることになります。場合によっては、「資金調達(創業融資)なんて要らなくない(すでに利益がじゅうぶんなので)」となり、融資が受けにくくなることも…

創業時に限らず、新規事業の立ち上げ時なども「収入は早め」に考えてしまうことはありますので、意識的に「収入は遅め」の資金繰り表をつくれるようにしましょう。

預金残高は維持が最低ライン

3つめの原則は、前2つの原則ほど、見聞きしたことはないかもしれません。ですが、これもまた、大事な原則になります。

なお、ここでいう「預金残高」とは、資金繰り表の最下部にある「次月繰越」の金額です。これが、マイナスになると資金ショートであり、プラスを維持する必要があります。

が、プラスを維持するだけでは不十分です。資金繰り表をつくるのであれば、最低でも現状維持。目指すべきは「預金残高の増加」です。

たとえば、向こう1年の資金繰り表をつくるとして。はじまりが1月だとすれば、1月末の次月繰越よりも、12月末の次月繰越が増加している。という、資金繰り表をつくりましょう。

ところが、実際には1月よりも12月末のほうが減少している資金繰り表を、意外とよく見かけます。資金繰り表をつくる目的は何だったのか? 思い出してみましょう。

前述したとおり、「会社の資金を管理すること、資金が尽きないように管理すること」です。資金が尽きないようにするために大事なのは、資金(預金残高)を増やすことです。

なので、もしも預金残高が減少しそうであれば、収入や支出を見直してみる。見直してもなお減少するのであれば、資金調達(銀行融資)を検討することになります。

この検討が早くできるほど、融資を受けるのもスムーズになるのであり、検討が早くできるように、資金繰り表をつくることが大切なのです。

いざ資金が不足してから、ドタバタとあわてておカネを借りようとする会社を銀行は嫌います。計画性のない会社は、銀行から嫌われる。融資が受けにくくなることを覚えておきましょう。

さらに言うと、預金残高は「平均月商(年間売上高÷12ヶ月)の2ヶ月分以上」を最低ラインとすることをおすすめします。逆に、それよりも少なくなると、収入や支出のタイミングがちょっとずれただけで、資金ショートを起こしやすくなるからです。

まとめ

資金繰り表はつくりさえすればいいものではありません。というわけで、社長が押さえておくべき資金繰り表づくりの3原則について、お話をしてきました。

意外と、わかっているようでわかっていないこともありますから、3原則の内容をあらためて確認をしておきましょう。

    社長が押さえておくべき資金繰り表づくりの3原則
    1. 収入少なめ・支出は多め
    2. 収入は遅め・支出は早め
    3. 預金残高は維持が最低ライン
社長が押さえておくべき資金繰り表づくりの3原則

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