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保証付き融資とプロパー融資の比率を社長はどう考えればよいか?

保証付き融資とプロパー融資の比率を社長はどう考えればよいか?

保証付き融資は借りやすい。それなら、保証付き融資だけを受けていればよいのか? といえば、そういうわけにもいかず。社長は、保証付き融資とプロパー融資の比率を考えましょう、というお話です。

目次

保証付き融資だけを受けていればよい、のか?

会社が銀行から融資を受ける場合には、大きく2つ、「保証付き融資」と「プロパー融資」があります。

このうち保証付き融資とは、信用保証協会の保証が付いた融資であり、会社が返済できないときには信用保証協会が代わりに返済をしてくれる、という融資です。

いっぽうで、プロパー融資は、信用保証協会の保証がない融資であり、会社が返済できないときには銀行が損失をこうむることになります。

では、どちらの融資が借りやすいかといえば… 当然、保証付き融資です。信用保証協会の保証があるため、銀行にとってはリスクが小さくて貸しやすいから、というのが理由になります。

だったら会社は、保証付き融資だけを受けていればよいのか? というと、そうではありません。保証付き融資とプロパー融資をバランスよく受けることが大切です。

そこでこのあと、保証付き融資とプロパー融資の比率を社長はどう考えればよいか? について、お話をしていきます。次のとおりです↓

保証付き融資とプロパー融資の比率を社長はどう考えればよいか?
  • ぜんぶ保証付きはダメ
  • 借入可能額の目安を計算する
  • 保証付き融資は月商の2〜3ヶ月

それでは、順番に確認していきましょう。

保証付き融資とプロパー融資の比率を社長はどう考えればよいか?

ぜんぶ保証付きはダメ

冒頭でもふれたとおり、借入のうち「ぜんぶが保証付き融資」という状態はよくありません。社長はまず、そこを押さえておきましょう。でもなぜ、ぜんぶ保証付きがダメなのか?

保証付き融資には、制度上の限度額があるからです。「一般保証」に関していえば、無担保融資は 8,000万円が上限になります。では、その限度額いっぱいまで借りているとどうなるか?

いざというときに借りる手段がなくなります。保証付き融資はプロパー融資よりも借りやすい融資なのですから、いざというときのために余裕を残しておきたいものです。

そのために、ふだんはできるだけプロパー融資で借りることが重要になります。借りやすいからといって、ふだんから保証付き融資ばかり受けていると、限度額はいっぱいになってしまいます。

また、保証付き融資の限度額いっぱいまで借りていると、プロパー融資が受けにくくなるのも問題です。すると、借入総額が少なくなるため、その分、資金繰りは厳しくなります。

ではなぜ、保証付き融資の限度額がいっぱいだと、プロパー融資が受けにくくなるのか? これ以上は保証付き融資が受けられず、余裕がない状態だと銀行に見られるからです。

逆に、保証付き融資の限度額まで余裕があれば、会社が厳しい状態になったとしても、保証付き融資を借りられる可能性があります。銀行にとっては安心材料です。なので、保証付き融資の限度額まで余裕があると、プロパー融資が受けやすくなります。

したがって、保証付き融資は限度額までの余裕を残しつつ、銀行にプロパー融資の交渉をすることで、保証付き融資とプロパー融資のバランスをとるのがセオリーです。

借入可能額の目安を計算する

保証付き融資とプロパー融資のバランスを考えるにあたって、借入可能額の目安を計算してみることにします。ここでいう「借入可能額」とは、保証付き融資とプロパー融資をあわせて、総額どれだけ借入ができるか? という金額です。

結論、「(税引後利益+減価償却費)× 10」が目安になります。銀行は、そのあたりの金額を融資できる上限として見ていることを覚えておきましょう。

算式の内容から、利益が大きいほど、たくさん借りられることがわかります。なお、「× 10」は上限の目安ですから、もう少し余裕をもって、「× 7〜8」くらいで見ておくのがおすすめです。

たとえば、税引後利益が 500万円、減価償却費が 100万円だとしたら、「(税引後利益 500万円 + 減価償却費 100万円)× 7〜8」で、4,200万円〜4,800万円くらい借りられるかなぁ、ということになります。

繰り返しになりますが、4,200万円〜4,800万円は借入総額です。保証付き融資とプロパー融資をあわせて、そのくらいまでなら借りられるだろう、という目安として見ておきましょう。

あとは、その借入総額に対する、保証付き融資とプロパー融資のバランスを考えていくことになります。

保証付き融資は月商の2〜3ヶ月

保証付き融資とプロパー融資のバランスを考えるにあたり、先に保証付き融資から見ていきましょう。

さきほど、保証付き融資には制度上の限度額がある、と言いました。一般保証であれば、無担保融資で 8,000万円。これは、あくまで制度上の上限です。

実際には、会社の規模や状況によって、8,000万円よりも少なくなるケースがあります。そこで、1つの目安になるのが「平均月商(年間売上高÷12ヶ月)」です。

具体的には、「平均月商の3〜6ヶ月分(あるいは、8,000万円の少ないほう)」を、保証付き融資の限度額の目安として考えます。たとえば、平均月商が 800万円なら、2,400万円〜4,800万円くらいです。

これは「上限」なので、前述した「限度額まで余裕をあけておく」ということであれば、「平均月商の2〜3ヶ月分」くらいに抑えておきたい、と考えることになります。つまり、保証付き融資は 1,600万円〜2,400万円くらいまでにしておきたい、ということです。

そのうえで、この会社の借入可能額の目安が、4,200万円〜4,800万円だとした場合(前述した例の会社です)にはどうなるか? 借入可能額である 4,200万円〜4,800万円と、保証付き融資の目安である 1,600万円〜2,400万円の差額を、プロパー融資で埋めることになります。

つまり、借入可能額の 4,200万円〜4,800万円まで借りるのであれば、そのうち 1,800万円〜3,200万円くらいはプロパー融資を目指すことになるわけです。

プロパー融資を受けるためには、タイミングも重要になりますので、こちらの記事もあわせて参考にどうぞ↓

まとめ

保証付き融資は借りやすい。それなら、保証付き融資だけを受けていればよいのか? といえば、そういうわけにもいかず。社長は、保証付き融資とプロパー融資の比率を考えましょう、というお話をしました。

借入残高については、保証付き融資とプロパー融資の内訳を常に確認して、できるだけ良いバランスをとれるようにしましょう。

    保証付き融資とプロパー融資の比率を社長はどう考えればよいか?
    • ぜんぶ保証付きはダメ
    • 借入可能額の目安を計算する
    • 保証付き融資は月商の2〜3ヶ月
保証付き融資とプロパー融資の比率を社長はどう考えればよいか?

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