社長が銀行に伝えるべきこととして、「自社が黒字にする方法」があります。具体的にどのような方法があるのか? どのように伝えればよいのか? についてをまとめました。
方法は、それだけしかないのか?
融資を受けようとする会社が、銀行に伝えるとよいことの1つに「自社が黒字にする方法」があります。
黒字とは、利益が出ている状態を言うのであり、その利益とは「借りたおカネの返済原資」にあたるものです。ゆえに、銀行は黒字を好みますし、利益が大きいほどよいとも考えます。
この点で、「自社がどうやって黒字にするのか」という方法を伝えることができれば、銀行にとっては参考になるものですし、安心材料にもなるものです。
では、黒字にする方法(=利益を増やす方法)とはどれくらいあるのか?
大きく分けると3つです。と聞いて、「それだけしかないのか?」と驚かれるかもしれませんが。どのような方法であっても、最終的には3つのうちのいずれかに分類されます。
では、その方法とは? 具体的にいうと、次のとおりです↓
- 売上を増やす
- 原価率を下げる
- 固定費を減らす
言われてみれば、「なーんだ、そんなことか」とおもわれることでしょう。ただし、ほんとうに大事なことはここからです。3つの方法を知ったうえで、社長は以下の点を、銀行に伝えることが大事になります↓
- どの方法に取り組むのか?
- どれくらいの効果が見込めるのか?
- 実際に効果が出たのか?
これらの伝え方について、このあと確認をしていきましょう。
黒字にする3つの方法について社長が銀行に伝えること
どの方法に取り組むのか?
さきほど、黒字にするには3つの方法があると前述しました。再掲します↓
- 売上を増やす
- 原価率を下げる
- 固定費を減らす
これら3つの方法それぞれについて、細分化するカタチで、自社が取り組むことを列挙してみましょう。たとえば、次のような感じです↓
- 売上を増やす → 値上げをする(販売数量が減っても売上総額は増加を見込む)
- 原価率を下げる → 一括購入で仕入単価を引き下げる
- 固定費を減らす → 家賃、交通費を削減する(リモートワーク推進により)
取り組み項目をただ列挙するよりも、上記のように3つの方法に分類したほうが、黒字にいたるイメージがつかみやすくなるでしょう。
取り組み項目が決まったら、「行動計画」に落とし込むことをおすすめします。行動計画とは、端的にいうと「だれが・いつまでに・なにをするか」の計画です。
取り組み項目が決まっていても、「だれが・いつまでに・なにをするか」を決めていない会社は、けして少なくありません。すると、取り組みの実行確率が下がってしまいます。
銀行もそのあたりは理解しているので、社長が「口頭」で伝えるだけだと、話半分に聞いていたりするものです。それでは、自社の評価にはつながりませんので、「文書」で伝えましょう。
行動計画として文書にまとめることで、銀行は「社長の管理能力」を評価し、社長の話を信用しやすくなります。行動計画の書式例や、くわしい説明は別記事にまとめました↓
どれくらいの効果が見込めるのか?
黒字にする方法を伝えるだけだと、「どのくらいの黒字になるか?」まではわかりません。なので、黒字にする方法(行動計画)をもとに、数値計画に落とし込みましょう。
前述した取り組み事例であれば、「値上げをすることで売上がいくら増えるのか?」や、「仕入れ単価が下がることで原価率はどれだけ下がるのか?」、「家賃、交通費はいくら減らせるのか?」といったことを数値化します。
もちろん、見込みではありますが、見込みがあるから期待ができるのであり、見込みがあるから実績との評価もできるようになるのです。逆に、見込みがないとどうなるか?
銀行は、取り組みの評価ができません。社長は「やる、やる」というけれど、それが黒字にどれほど貢献するかわからなければ、将来の利益を返済原資として考えることはできないわけです。
また、いかなる取り組みも、効果検証が重要だといえます。その検証をするときに、比較対象として「当初の見込み」があれば、評価がしやすく、改善のヒントにもなるところです。
この点でも、「当初の見込み」がなければ、事後の評価はしづらく、改善のヒントもつかみにくくなってしまいます。
ですから、黒字にする方法(行動計画)を検討するときには、あわせて「数値計画」もつくるようにしましょう。行動計画と数値計画は、両方あってこそ、より効果的な計画になるものです。
実際に効果が出たのか?
黒字にする方法に取り組むことで、どれくらいの効果が見込めるのかを銀行に伝えましょう、と言いました。これに関連して、「実際に効果が出たのか?」を伝えることも大切です。
計画は立てたものの、それっきり。計画の検証をしていない… という社長は、けして少なくありません。銀行は、計画の検証がなされてはじめて、その計画を信用するものと考えておきましょう。
したがって、行動計画・数値計画については、毎月振り返りをして、その結果を定期的(3ヶ月に1度くらい)に銀行へも報告するのがおすすめです。
計画どおり、あるいは計画に近い結果が出ていれば、当然、銀行からの評価につながります。また、今後、社長がクチにする取り組みについて、銀行は信用するようにもなるでしょう。
なお、計画どおりにはいかなかったとしても、その原因を分析して、解決策まで検討済みであることを銀行に伝えられれば、それはそれで評価につながるものと考えます。
計画をつくったきりにはせず、効果検証できる会社。そのうえで、あらためて改善に取り組むことができる会社だ、との見方を銀行はするものだからです。
言い換えると、そういったことができる会社(とくに中小企業)は世の中にそれほどない、ということでもあります。多くの会社ができずにいることができる会社が、評価されるのは当然です。
なので、ぜひ、「実際に効果が出たのか?」まで銀行に伝えるようにしましょう。
まとめ
社長が銀行に伝えるべきこととして、「自社が黒字にする方法」があります。具体的にどのような方法があるのか? どのように伝えればよいのか? についてお話をしてきました。
決算書や試算表を渡すだけでは伝わらないところでもありますから、社長が、あらためて銀行に伝えられるようにしましょう。融資の受けやすさにつながるはずです。
- どの方法に取り組むのか?
- どれくらいの効果が見込めるのか?
- 実際に効果が出たのか?