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取引銀行の規模が原因で自社の融資に影響が生じることもある

取引銀行の規模が原因で自社の融資に影響が生じることもある

銀行から融資を受けるにあたって、生じる原因の1つに、「取引銀行の規模」が挙げられます。銀行の規模が大きい・小さいことで、融資の受けやすさが変わる、というお話です。

目次

いっぽうで、あまり知られていない原因

銀行から融資を受けるにあたって、生じる影響の「原因」はさまざまあります。みなが知るところでは、決算書の良し悪しです。つまり、業績が良いか悪いかで、融資の受けやすさは変わります。

いっぽうで、あまり知られていない原因が、「取引銀行の規模」です。なので、自社が取引している(融資を受けている)銀行の規模によって、自社の融資に影響が生じることもあります。

ちなみに、銀行の規模は、各銀行の「預金量(どれくらいの預金をあずかっているか)」ではかるのが妥当です。預金量は、金融庁が「中小・地域金融機関情報一覧」として、WEBで公表しています↓

では、取引銀行の規模が、自社の融資にどのように影響するのか?おもなところでは3つ、次のとおりです↓

取引銀行の規模が原因で自社の融資に生じる影響
  • 規模が小さい→借りられなくなる
  • 規模が小さい→いずれ借りられなくなる
  • 規模が大きい→そもそも相手にされない

それではこのあと、順番に解説していきます。

取引銀行の規模が原因で自社の融資に生じる影響

規模が小さい→借りられなくなる

まずは、取引銀行の規模が小さい場合から考えてみましょう。規模が小さな銀行は、預金量(融資の原資)が少ないということであり、融資できる金額も小さくなります。

また、銀行はリスクを分散するために、多くの融資先に少しずつ融資をしようとするものです。だとすれば、規模が小さな銀行は、もともと融資の原資が少ないうえに、分散によって、1つの融資先には、さらに小さな金額しか融資できないことになります。

銀行にとって、リスクがあるのは「プロパー融資(信用保証協会の保証がない融資)」です。では、1つの融資先に対して、無担保のプロパー融資をどれくらいまで融資できるのか?

目安としては、1つの支店あたり、信用金庫であれば3,000万円くらい、地方銀行であれば5,000万円くらいです。

この点、自社の規模が大きくなれば、より多くの資金調達が必要になるものであり、3,000万円や5,000万円では足りない、ということもあるでしょう。であれば、取引銀行を替えたり(信用金庫→地方銀行)、増やしたりする必要もあるわけです。

ところが、それを知らずにいると、「急に借りられなくなったけど、どうして?(すでに、その支店が融資できる限度額に達している)」ということになってしまいます。

自社の状況(資金調達ニーズ)にあわせて、取引銀行を替えたり、増やしたりの検討をしましょう。なお、自社の状況から見て、どれくらの額(借入総額)まで借りられるのかは、考え方を別記事にまとめています↓

規模が小さい→いずれ借りられなくなる

いまは、地方銀行を中心に「再編(提携・統合・合併)」が進んでいます。端的にいえば、銀行の数が多すぎるということです。これから先も、まだしばらくは再編が進むでしょう。

このとき、規模が小さな銀行ほど、再編に巻き込まれやすくなります。巻き込まれるとはつまり、より大きな銀行に飲み込まれる、ということです。すると、どうなるか?

もし、A銀行がB銀行に飲み込まれれば、A銀行はなくなります。自社がA銀行とB銀行と取引をしていた場合、取引銀行は2行から1行に減ってしまう…というのは、1つの悪影響です。

前述したとおり、1つの支店が融資できる金額は限られていますから、借りられる金額が少なくなってしまいます。また、B銀行(飲み込んだ銀行)の融資基準は、A銀行(飲み込まれた銀行)よりも厳しいものなので、融資が受けにくくなるのも悪影響です。

自社の状況にあわせて、取引銀行を選ぶのは重要なことではありますが、いっぽうで、その銀行の規模を「再編」という視点から考えておく必要があります。

つまり、できる限り、規模が大きな銀行を選ぶこと、さらに言えば、業績が良い銀行を選ぶことです。そういった銀行であれば、再編においても、飲み込む側の銀行であるため、自社がこうむる悪影響は少なくなります。

また、再編が起きることも想定して、取引銀行の数を増やしておくのも大事なことです。

規模が大きい→そもそも相手にされない

さきほど、「できる限り、規模が大きな銀行を選ぶこと」と言いました。「できる限り」は重要なポイントになります。これに対して、できる限りを超えて「ムリをする」と逆効果です。

ムリをするとは、「自社の規模に対して、大きすぎる規模の銀行と取引をしようとすること」をあらわします。年間売上高が数千万円の会社が、都市銀行と取引しようとする、みたいな。

すると、銀行からは相手にされなくなくなるのが悪影響です。都市銀行は、大きな会社に大きな金額を融資して稼ぐ商売をしています。小さな会社に小さな金額を融資しても、少額の利息しか得られないため稼げません。融資をするためにかかるコストに見合わないのです。

なので、都市銀行は基本的に、小さな会社に融資をしません。するとしても、リスクと手間を抑えるために、信用保証協会の保証付き融資ばかりです。これもまた、自社にとっては悪影響です。

以上をふまえて、銀行選びをするときには、自社の規模に合った銀行を選ぶ必要があります。目安として、年間売上高1億円未満の会社は、信用金庫を。年間売上高1億円〜数十億円までは、地方銀行を。それ以上の年間売上高になったら、都市銀行と取引をするのがよいでしょう。

この点、そもそもの銀行選びを間違えている会社はあるものです。気をつけましょう。

まとめ

銀行から融資を受けるにあたって、生じる原因の1つに、「取引銀行の規模」が挙げられます。ゆえに、銀行の規模が大きい・小さいことで、融資の受けやすさが変わる、というお話をしました。

取引銀行は、大きすぎても小さすぎても、自社の融資に悪影響を生じます。つまりは、自社の規模に合った銀行選びをしましょう、というのがポイントです。

取引銀行の規模が原因で自社の融資に生じる影響
  • 規模が小さい→借りられなくなる
  • 規模が小さい→いずれ借りられなくなる
  • 規模が大きい→そもそも相手にされない
取引銀行の規模が原因で自社の融資に影響が生じることもある

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