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社長が銀行相手にやってはいけないこと

社長が銀行相手にやってはいけないこと

銀行からの融資を必要とする会社であれば、社長が銀行相手にやってはいけないことがあります。と聞いて、「なんだろう?」と首をかしげるようであれば、本記事の内容を確認です。

目次

知らないうちに、気づかぬうちに。

銀行から融資を受けている(あるいは、受けようとしている)会社の社長が、銀行相手にやってはいけないことをまとめてみます。といわれて、どんなことがおもいつくでしょうか。

今回お話をするのは、おもなところで5つ。そんなにたくさんはおもいつかないよ、というのであればぜひ、このあとのお話を確認しておきましょう。

知らないうちに、気づかぬうちに、やってはいけないことをやらかしていると、融資が受けにくくなったり受けられなくなったりして、自社の資金調達力を弱めることにつながります。

というわけで、社長が銀行相手にやってはいけないことは次のとおりです↓

社長が銀行相手にやってはいけないこと
  • 資金使途違反
  • 粉飾決算
  • 敵対視
  • 繰り上げ返済
  • 金利交渉

このあと、順番に解説していきます。

社長が銀行相手にやってはいけないこと

資金使途違反

融資を申し込むときに伝えていた「資金使途(借りたおカネの使いみち)」に対して、実際には違うことに借りたおカネを使ってしまう…これを「資金使途違反」といいます。

たとえば、設備資金(設備投資をするためのおカネ)として借りたおカネを、運転資金(設備資金以外に使うおカネ)として使ってしまうとか。銀行からすれば、重大な約束違反です。

銀行は、会社が「必要なだけのおカネ」を貸すのであり、そのために資金使途を重視しています。その資金使途が違っていたとなれば、「必要なだけのおカネ(の額)」も違っていたことになるわけです。

結果、銀行から資金使途違反と見られると、以後の融資は受けられなくなると考えたほうがよいでしょう。約束を破る、あるいはウソをつくような会社は信用ならない、ということです。

最悪のケースでは、即一括返済を求められることもあります。いずれにせよ、自社の資金繰りに与える影響は大きなものです。

資金使途違反を軽く考えている(バレないだろう、とか)社長は、考えをあらためましょう。銀行は、あの手この手で、融資をしたあとも資金使途の確認をしていることも忘れてはいけません。

粉飾決算

もはや言うまでもありませんが、粉飾決算をやってはいけません。そんなことはわかっている!と言われそうですが、多かれ少なかれ粉飾をしている中小企業はあるものです。

たとえば、決算書の売掛金には回収不能なものが混じっているとか。棚卸資産のなかには、もはや販売できないものが混じっているとか。そこに「悪意」まではないかもしれませんが、銀行から見れば粉飾です。

ほかにも、赤字だから減価償却費を計上しないとか、買掛金や未払金の計上を見送る、といったことをしていても、「粉飾決算」の自覚がない社長はいます。でもやはり、銀行は「粉飾をする社長だ」と見ているのです。

結果、融資は受けにくくなります。一事が万事、ひとつでも粉飾だと見れば、ほかにもあるかもしれないと考えるのが銀行です。ちょっとくらい平気だろう、は通用しません。

もちろん、悪意のある粉飾は、度が過ぎれば「詐欺」で訴えられる可能性さえあります。そうなれば、すべての銀行から融資を受けることは難しくなってしまうでしょう。死活問題です。

敵対視

銀行員を敵対視する社長がいます。たとえば、情報はできるだけ隠そうとしたり、態度が高圧的であったり。いずれにせよ、融資が受けにくくなることを理解しておきましょう。

情報を隠せば隠した分だけ、銀行は「表面的」な評価・審査しかできなくなります。いっぽうで、情報があればあった分、銀行は「本質的」な評価・審査がしやすくなるため、融資の可能性が広がるのです。

たとえば、自社の「商売の内容」や「経営課題」などまで銀行と共有できれば、銀行もいっしょになって課題の解決を考えてくれたり、具体的な提案(融資を含む)をしてくれることもあります。

ちなみに、銀行はいま、「事業支援(融資先の本業支援)」に取り組まねばならない環境もあるため、以前よりも積極的に、融資先を支援しようという銀行は増えています。

ただし、社長が銀行員を敵対視しているようでは、受けられるはずの支援も受けられません。銀行員とのあいだに「信頼関係」を築けないからですね。

会社の銀行取引であっても、その実態は、社長対銀行員であり、「ヒト対ヒト」です。銀行員は敵ではなく、パートナーとの見方・付き合い方ができるとよいでしょう。

繰り上げ返済

おカネが少したまるとすぐに、繰り上げ返済をしたがる社長がいます。また、顧問税理士からアドバイスをされて繰り上げ返済をした、という社長もいます。

が、わたし個人は、繰り上げ返済をおすすめしていません。誤解を恐れずにいえば、繰り上げ返済は「銀行との約束を破ること」になるからです。

たとえば、当初、返済期間5年で融資を受けたとします。このとき、銀行は5年のあいだに得られる利息収入を見込んで、融資を決めたことになります。にもかかわらず、繰り上げ返済されたらどうでしょう?

見込んでいた利息は得られません。足りない分は、別の融資先を探して補わなければいけなくなります。ノルマを課されているような場合には、銀行担当者もタイヘンでしょう。

そんなの知ったことか!という考え方もありますが。それだと、前述したような信頼関係も築けずに、銀行からの積極的な支援を得られなくなるでしょう。

おカネが余っているのなら、いざというときに備えて、置いておけば安心です。

支払う利息がもったいない?いまはまだ低金利ですから、得られる安心に比べれば、利息の額は知れているともいえます。繰り上げ返済は、長い目で見て判断しましょう。

金利交渉

銀行員の顔を見るたびに、金利交渉をしている社長がいます。金利の低い銀行を見つけては、頻繁に借り換えをしている社長もいます。融資金利は会社にとって、低いに越したことはありません。

ですが、銀行にとっては逆です。金利が低ければ低いほど、「融資をしよう・支援をしよう」という動機を失ってしまいます。いまはそもそもが低金利なのですから、なおさらです。

では、どうすればよいのか?銀行に対して、金利交渉はしないことです。基本的には、銀行から提示された金利は、そのまま受け入れるということになります。

ただし、何の対応もしないまま受け入れていると、金利は「銀行の言い値」になってしまうことはあるでしょう。つまり、金利が必要以上に高くなってしまうかもしれない、ということです。

そこで、社長はふだんから、銀行担当者と「金利」の話をしておきましょう。たとえば、貸出約定平均金利や実質金利について、あるいは、他の取引銀行の金利を開示するなど。そのあたり詳しくは、こちらの記事もどうぞ↓

すると、銀行担当者は「この社長は、金利に対する理解が深い。安易な金利引き上げはできないぞ」ということになるため、金利が銀行の言い値になることは防げるものです。

そのうえで、銀行から提示される金利が「少々高いくらい」であれば、受け入れることになります。会社が支払う金利が少し増えますが、銀行側の支援意欲は高まるのがメリットです。

銀行と「長期的」によい関係を築きたいのであれば、少々の利息は「必要コスト」だと考えてみましょう。

まとめ

銀行からの融資を必要とする会社であれば、社長が銀行相手にやってはいけないことがあります。と聞いて、「なんだろう?」と首をかしげるようであれば、本記事の内容を押さえておきましょう。

知らないうちに、気づかぬうちに、やってはいけないことをやらかしていると、融資が受けにくくなったり受けられなくなったりして、自社の資金調達力を弱めることになってしまいます。

社長が銀行相手にやってはいけないこと
  • 資金使途違反
  • 粉飾決算
  • 敵対視
  • 繰り上げ返済
  • 金利交渉
社長が銀行相手にやってはいけないこと

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