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利益はどこへ消えた?〜なぜ自社の預金が増えないのか

利益はどこへ消えた?〜なぜ自社の預金が増えないのか

利益は出ているのにもかかわらず、その分のおカネが増えたわけではない…いったい、利益はどこへ消えたのか?その理由について、お話をしていきます。放置すると、最悪は倒産です。

目次

疑問にさえ感じていない

社長の疑問のひとつに、「利益はどこへ消えた?」というものがあります。決算書(損益計算書)を見れば、利益は出ているのにもかかわらず、その分のおカネ(預金)が増えたわけではない…みたいな。

もっとも、疑問に感じていればよいほうですが、疑問にさえ感じていない社長もいます。おカネがないのはあたりまえであり、おカネがないことが常態化しているようなケースです。これは重症。

おカネがなければ、最悪、会社は倒産します。極論、利益がなくても倒産はしませんが、おカネがなくなれば倒産するのです。ゆえに、「利益はどこへ消えた」という疑問を放置はできません。

それなら、利益はどこへ消えたというのか?なぜ、自社の預金が増えないのか?おもな理由は次のとおりです↓

利益は出ているのにおカネが消える理由
  • 資産を買った
  • 借入を返した
  • 粉飾決算した

このあと順番に確認をしていきます。

利益は出ているのにおカネが消える理由

資産を買った

たとえば、600万円のクルマを買ったとしても、600万円がいちどに費用にならないことを社長はご存知でしょう。いわゆる「減価償却」によって、少しずつ費用に計上することになるからです。

クルマの耐用年数が6年だとすれば、600万円÷6年として、1年間に100万円ずつ費用になる。と、そんな「イメージ」です。

では仮に、600万円の利益が出ている状態でクルマを買ったとしたらどうでしょう。減価償却によって費用になるのは、600万円ではなく100万円です。よって、利益は500万円となります。

いっぽうで、おカネはどうかというと。クルマを買ったことで、600万円の預金減少です。利益は500万円なのに、おカネは500万円も増えていない…ということが起きるのはこのためです。

とはいえ、「資産を買うこと自体がマズい」というハナシがしたいわけではありません。マズいのは、利益を増やすことができない資産を買うことです。逆に、利益を増やせる資産であれば問題はありません。

さきほどのクルマがもし、社長個人の趣味嗜好によるクルマであり、会社の利益が増えるものではないとしたらどうでしょう。減ったおカネ600万円を取り戻す術(すべ)はありません。

これに対して、600万円の製造機械であれば、相応の利益を増やせるものであり、いずれ600万円のおカネも回収できるものとおもわれます。

ただし、製品ニーズを見誤り、おもったほどの売上につながらなければ、やはり、その分のおカネが消えることになるのはクルマのハナシと同じです。ゆえに、設備投資計画が重要になります。

というわけで、利益ほどにおカネが増えていないというときには、決算書(貸借対照表)を見て、何か資産を買っていなかったか、その資産は利益を生み出しているのかを確認してみましょう。

借入を返した

借入の返済は費用になりません。利息の支払いは費用になっても、元金返済分は負債の減少であって費用ではない、ということです。これは、簿記や仕訳のハナシでもあり、よくわからなければこちらの記事も参考にどうぞ↓

そのうえで、借入の返済でおカネが減ることはいうまでもありません。なので、借入の返済をすると、利益が出ていてもおカネが増えないことになります。

たとえば、年間600万円の利益が見込めるすれば、ざっくり、おカネも600万円くらいは増えそうだとイメージできるでしょう。ところが、毎月50万円・年間600万円の返済があるとすればどうなるか。

600万円のおカネは減るのですから、利益の分だけおカネが増えるわけではありません。このことがわかっていないと、「利益はどこへ消えた?」ということになってしまいます。

いわれてみればあたりまえのことなのですが、意外と、見落としている社長は多く、利益の割には資金繰りで苦労しているケースがあるので気をつけましょう。

この点、さらに気をつけたいのが「繰り上げ返済」です。もともとの返済予定よりも早く、返済をするのが繰り上げ返済であり、これを好む社長は少なくありません。

借金を早く減らしたいという気持ちはわかりますが、おカネが減るのは大きなデメリットです。ご存じのとおり、銀行借入も好きなときにできるわけではなく、繰り上げ返済は慎重に検討する必要があります。

利益が出ているからと、繰り上げ返済をした挙句、資金繰りを悪くして苦労している社長はいるものです。返済を増やせば、利益の増減とおカネの増減とが「乖離」することを覚えておきましょう。

粉飾決算した

たとえば、架空売上を計上すると利益が増えます。ですが、架空なのですから、それでおカネが増えるわけではありません。売上代金をどこからも回収できないからです。

というように、架空売上を計上したり、架空在庫を計上したりすることを粉飾決算と呼びますが、粉飾決算をすると、利益は増えてもおカネは増えません。

いやいや、当社は粉飾決算なんてしないし。そう、おもわれるかもですが。たとえば、売上先の事情によって売上代金が回収できない、その金額が売掛金として決算書に残したままになっている…これも粉飾のうちです。

以前に売上を計上しているわけですから、利益は増えている。でも、回収できていないからおカネは増えてない。やはり、利益の増減とおカネの増減とが「乖離」することになります。

また、粉飾決算をすると利益が増えることから、税金(法人税)の支払いが増えるのも問題です。税金を支払うことで、いっそうおカネが減ることになります。ダブルパンチです。

さらに、銀行が粉飾に気づけば、既存の融資の返済を求めたり、そこまではせずとも、新規の融資はしないことになるでしょう。結果、借入ができなくなれば、会社はますますおカネがなくなります。

粉飾決算は、百害あって一利なし。つい出来心で…などということがないように気をつけましょう。最近ではとくに、金融庁の要請もあって、銀行による粉飾警戒が強まっています。

ちょっとくらいであれば気づかれないだろう、などというのは甘すぎる考えです。銀行をナメてはいけません。

まとめ

利益は出ているのにもかかわらず、その分のおカネが増えたわけではない…いったい、利益はどこへ消えたのか?その理由について、お話をしてきました。

放置すると、最悪は倒産です。社長は、利益は出ているのにおカネが増えない理由を押さえておきましょう。

利益は出ているのにおカネが消える理由
  • 資産を買った
  • 借入を返した
  • 粉飾決算した
利益はどこへ消えた?〜なぜ自社の預金が増えないのか

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