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銀行融資を受けやすくしたいなら貸借対照表の計画もつくろう

銀行融資を受けやすくしたいなら貸借対照表の計画もつくろう

損益計算書の計画はつくっていても、貸借対照表の計画はつくっていない。という会社は少なくないものとおもいます。が、貸借対照表の計画に代わるものはつくろうよ、というお話です。

目次

貸借対照表の計画に代わるもの

会社で「数値計画をつくろう」というと、利益計画をイメージすることが多いものとおもいます。

利益計画とはつまり、「売上−費用=利益」の計画であって、いうなれば「損益計算書」の計画です(損益計算書のつくりがまさに、「売上−費用=利益」となっています)。

その損益計算書とセットで見るべきものに、貸借対照表があります。決算書もまた、損益計算書と貸借対照表で1セットです。にもかかわらず、損益計算書の計画はつくっても、貸借対照表の計画はつくっていない…という会社は少なくないものと推測します。

なぜか、貸借対照表の計画には、少々スキルを要するからです。では、難しいからといって、貸借対照表の計画をつくらなくてもよいかといえば、もちろん、よいものではないでしょう。

なにより、貸借対照表が改善されると、銀行融資が受けやすくなるものです。

この点、貸借対照表の計画まではつくれずとも、それに代わるもの、それに近いものならできるはずだ。というのが、本記事のお話となります。ずばり、以下項目の目標を持つことです。

貸借対照表の計画に代わる目標項目
  • 預金残高
  • 借入金残高
  • 純資産の金額

それではこのあと、順番に見ていきましょう。

なお、貸借対照表の計画をきちんとつくってみたい!というのであれば、こちらの記事も参考にどうぞ↓

貸借対照表の計画に代わる目標項目

預金残高

預金は、貸借対照表に掲載される勘定科目の1つです。その預金について、1年後の決算時に「いくら」を目指すのかの目標を設定しましょう。

ちなみに、利益が100万円だからといって、100万円のおカネが増えるわけではありません。利益が100万円でも、借入金の元金返済が100万円あれば、手元に残るおカネはゼロです。

また、利益が100万円でも、100万円の固定資産を買った場合にも、手元に残るおカネはゼロとなります。そのあたりもふまえて、預金残高の目標を設定するわけです。

具体的には、向こう1年分の資金繰り予定表をつくることで、1年後の預金残高を検討する方法がよいでしょう。そのうえで、いくらの預金残高を目安のか?

ひとまずの目安は、平均月商(年間売上高÷12か月)の3か月分です。そのくらいの預金があれば、資金繰りは安定しますし、銀行からも安心安全な会社と見られるので、融資が受けやすくなります。

平均月商の3か月分をクリアできるようなら、次に目指したいのは6か月分です。それだけあると、新型コロナのような不測の事態にも耐えられる、財務基盤の強さが身につきます。

とはいえ、3か月分や6か月分というのも、すぐにクリアできるハードルでもありません。よって、その過程(通過点)としての目標を、自社の状況にあわせて設定していくことになります。

借入金残高

いましがた、預金残高の目標を持ちましょうといいました。その預金を増やす方法として、銀行からの借入があります。目標とする預金残高には、銀行から借りたおカネも含まれるわけです。

いざというときに、100万円しかない会社と1,000万円ある会社とでは、後者のほうがより耐え忍ぶことができるでしょう。このとき、1,000万円が利益で増やしたおカネか、借入で増やしたおカネかは関係ありません。

おカネに色はないのですから、必要なときにおカネが「あるか・ないか」です。だったら、ふだんからできるだけ借入をすることで、預金残高を増やしておいたほうがよいといえます。

銀行は、いざとなっておカネもないような会社におカネを貸すような「慈善事業」はしていません。つまり、いざとなってから借入をしようというのは、そもそも無理筋なのです。

ところが、実際にはいざとなってから借入をしようとする会社が少なくありません。そうはならないように、借入残高の目標を決めて、必要な借入はどんどんしていきましょう。

ここで疑問になるのが、「いくら借入できるのか」です。たくさん借りたいのだとしても、貸すか貸さないかを決めるのは銀行であって、無謀な目標を設定してもしかたないだろう、と。

そのとおりです。借りられる金額の目安を計算することはできます。結論だけいうのであれば、

追加で借入できる金額の目安=(税引後利益+減価償却費)✕10 − 既存の借入金残高

くわしくは、こちらの記事もどうぞ↓

純資産の金額

さいごに、もうひとつ。純資産の金額についても目標を持ちましょう。純資産もまた、貸借対照表に記載される項目のひとつです。

まずは、純資産の金額(純資産の部の合計額)を確認してみましょう。プラスが望ましく、マイナスの場合には「債務超過」と呼ばれ、危険な状態です。すると、融資が受けにくくなります。

したがって、純資産の金額はプラスが必須であり、それも多ければ多いほどよい、ということです。では、どうしたら純資産の金額を増やすことができるのか?

それは、利益剰余金を増やすことです。貸借対照表を見れば、純資産は「資本金+利益剰余金」であることがわかります。このうち、利益剰余金は「過去の税引後利益の累積額」です。

よって、毎年の利益を増やすことが、利益剰余金を増やし、ひいては純資産の増加につながることがわかるでしょう。

そのうえで、純資産について、ひとまず目指すべきは「想定される年間赤字の2年分」です。想定される年間赤字とは、「調子が悪ければ、実現してしまうであろう赤字額」をいいます。

仮に、想定される年間赤字が500万円だとします。その2年分なので、1,000万円が目指すべき純資産です。この会社の資本金が300万円だとすると、目指すべき利益剰余金は700万になります(資本金+利益剰余金が純資産なので)。

ここで、前期の決算における利益剰余金が400万円であれば、目指すべき利益剰余金700万円との差額は300万円です。つまり、300万円の税引後利益、というのが目標になります。

なお、純資産が「想定される年間赤字の2年分」というのは、超えるべき最低ラインです。純資産が多ければ多いほどよいことは前述しました。ではなぜ、「想定される年間赤字の2年分」が最低ラインなのか?

2年連続で赤字が続いたとしても、債務超過を免れることができるからです。これは、さすがに3年連続の赤字はないだろうという前提であり、3年連続の赤字となれば、、融資が困難になることをあらわしてもいます。

まとめ

損益計算書の計画はつくっていても、貸借対照表の計画はつくっていない。という会社は少なくないものとおもいます。が、貸借対照表の計画に代わるものはつくろうよ、というお話でした。

本記事で取り上げた3つの項目について、ぜひ、目標を設定してみましょう。銀行融資の受けやすさにつながるものと考えます。

貸借対照表の計画に代わる目標項目
  • 預金残高
  • 借入金残高
  • 純資産の金額
銀行融資を受けやすくしたいなら貸借対照表の計画もつくろう

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