”いまお付き合いしている銀行とは「別の銀行」から借りても大丈夫なの?”
という銀行融資に関する疑問について。銀行づきあいを増やすときのポイント・注意点をお話ししていきます。
別の銀行から借りたって大丈夫! でも気をつけて。
いまお付き合いしている銀行とは「別の銀行」から借りても大丈夫なのか、という質問をいただくことがあります。
大丈夫です。いままでお付き合いしていた銀行とは「別の銀行」から融資を受けることに問題はありません。
むしろ、ひとつの銀行とだけのお付き合いはよくありません(詳しくは後述します)。
ただし、銀行づきあいを増やすにしても、気をつけるべきことはあります。
ということで。銀行づきあいを増やそうというときのポイント・注意点について、次の3つの問いに答えるかたちでお話しをしていきます。
- 元の銀行にはなんて言う?
- 借り換えをしてもいい?
- 別の銀行から融資を受けたあとはどうする?
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
元の銀行にはなんて言う?
他の銀行から融資を受けようというときに、もともとお付き合いをしていた銀行にはなんて言えば良いのか。
「ほかの銀行から借りる」なんて言ったら、機嫌を損ねやしないだろうか…? という不安があるものです。
結論として、次のようにお伝えしましょう ↓
” 会社・事業の安定的な資金調達をはかるため、複数の銀行とのお付き合いを考えています。”
この言葉の趣旨は、借り手にとって、ひとつの銀行にだけ頼った借入は「危険」だ、ということです。
その銀行になにかあった場合(倒産、合併など)には、資金調達に支障をきたす可能性もあるわけですから、「リスク分散」として複数の銀行とお付き合いするのは当然のなりゆきです。
銀行融資による資金調達は、小規模零細企業の生命線。たったひとつの銀行に委ねるわけにはいきません。これは、「ひとつのカゴに卵を盛るな」の格言にも通じます。
すべての卵(融資)を盛ったひとつのカゴ(銀行)を落とせば、卵はすべて割れてしまいます。借り手としては危険な状況だ、ということについては銀行も否定できないでしょう。
また、銀行にとっても、自分の銀行だけが融資をすることには不安があります。もし、融資先が返済不能になれば、その損失のすべてを引き受けなければならないからです。
たとえば、総額 3,000万円の融資を受けられる会社があって、ひとつの銀行だけで融資をしている場合。返済不能になったときの、その銀行の損失額は 3,000万円です。
いっぽう、2つの銀行で1,500万円ずつ融資をしているという状況であれば、返済不能時における各銀行の損失額は1,500万円で済みます。
したがって、「ほかの銀行からも借りる」のは、借り手にとっても貸し手にとってもリスク分散につながる、と言うことができるのです。
他の銀行から融資を受けることについて、もともと付き合いのある銀行に対して、「あらかじめ言わなければいけない」ものではありません。
いずれわかる(決算書を見たりすれば)ことなので、そのときに言えばよい、というのもひとつの考え方でしょう。
とはいえ。人間、あとから聞かされると気分を害することもあるものです。銀行の心象を考えて、あらかじめ伝えておくことをおすすめします。
借り換えをしてもいい?
もともとA銀行から借りている1,000万円について、あらたにB銀行から1,000万円を借りて返済をする。これを「借り換え」と言います。
その借り換えをB銀行が勧めてくる、という場合はどうでしょう? 結論としては、
借り換えは、よほどのことがなければやめておく。
前述したとおり、お付き合いする銀行を増やすのはよいことですが、「借り換え」は例外です。
なぜなら、「借り換え」は、もともとの銀行(上記の例で言う「A銀行」)への「縁切り」を意味するからです。
A銀行からしてみれば、突然現れたB銀行に丸々融資を奪われたことになります。穏やかではいられません。その後のお付き合いには、少なからず影響(融資が出ない・出にくいなど)が出るでしょう。
したがって、借り換えをするのであれば、「縁切り」をする覚悟で臨まなければいけません。A銀行に対して「よほど腹に据えかねる」ということでも無い限り、借り換えはやめましょう。
ちょっと利率が低いからなど、目先のメリットに流されての借り換えは、長期的にはデメリットを被る可能性があります。まずは、融資を受けることができる銀行を増やすことです。
別の銀行から融資を受けたあとはどうする?
もともとお付き合いをしていた銀行とは別に、あらたに別の銀行から融資を受けることができたなら。もともとお付き合いをしていた銀行へ、アクションを起こしましょう ↓
別の銀行から融資を受けられた旨と、その融資条件(融資金額、返済期間、金利、担保・保証など)を報告する。
なぜ、そんなことをわざわざするのか? それは、銀行間における「競争原理」を働かせるためです。
銀行は、「他の銀行に負ける」のが嫌いです。良い会社に対しては、他の銀行に負けないよう、いち早く・たくさんの融資をしたいのです。
この点で、「(別の銀行から)あらたな融資を受けられた」ということは、良い会社であることの証として作用します。悪い会社には、基本、銀行はおカネを貸しませんので。
結果、もともとお付き合いをしていた銀行には、「これは負けていられない」という競争意識が生まれます。
銀行自ら金利の引き下げなどを提案してくれるかもしれませんし、こちらから交渉をすることもできる環境になります。 これが、複数の銀行と取引をするメリットです。
いっぽうで注意点として。業績悪化などによって、悪い会社として見られてしまうようなケースでは、「競争原理」がアダになります。
この場合の銀行は、他の銀行よりもいち早く引き上げよう、と考えることになるからです。
したがって、他の銀行の融資条件が悪くなった、他の銀行から融資が断られた、他の銀行が融資の回収を進めている、などの情報が知られると状況は連鎖します。
つまり、すべての取引銀行の融資姿勢がネガティブになりうる、ということです。他の銀行の情報を伝えるときには、注意を要することを覚えておきましょう。
まとめ
別の銀行から借りても大丈夫?銀行づきあいを増やすときのポイント・注意点についてお話をしてきました。
銀行とのお付き合いは「ひとつの銀行だけ」にすべきではありません。
ポイントや注意点を押さえて、銀行づきあいを増やしましょう。どのような銀行とお付き合いをすればよいかについてはこちらをどうぞ ↓
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きょうの執筆後記
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