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取引銀行が工場見学に来るなら注意すべき5つのポイント

銀行の工場見学

” 取引銀行がウチの工場を見たい、って言ってるんだけど。テキトーに案内すればいいんだよね ”

いやいやダメでしょ。銀行は見たいモノがあって来るのですから。というわけで、取引銀行が工場見学に来るなら注意すべき5つのポイントについてお話をします。

目次

取引銀行が工場見学に来るなら注意すべき5つのポイント

自社工場でモノづくりをするような会社であれば、取引銀行が「工場を見たい」と考えるのは当然でしょう。

なぜなら、銀行は「できるだけ多くの情報」を持つことで、融資先をより正確に評価したいのです。融資するか否かを、誤りなく判断したいのです。

ゆえに、融資先の「工場」という情報は、銀行にとって大きな関心事のひとつだと言えます。

そんな工場見学で、銀行からの評価を落としてしまうことがないように。注意すべきポイントを押さえておきましょう。次の5つです ↓

  1. 土地・建物・機械を見せる
  2. 工程順に見せる
  3. 説明の要点を整理しておく
  4. 銀行員の動きを制限しておく
  5. 倉庫も見せる

それでは、このあと順番にお話をしていきます。

 

《注意①》土地・建物・機械を見せる

銀行がまず見たいものは、工場という「現物」です。

決算書などから、「数字」としては確認をしているけれど。実際のところはどうなんだろうね? それを銀行は知りたいのです。

土地

現物の1つめは土地。工場の敷地、ですね。

敷地については、その「広さ」の全容を伝えるようにしましょう。敷地の広さは、工場全体の規模感をあらわすモノサシになります。

ちなみに、案内する場所が敷地の一部だけだと、広さの全容は伝わりません。

敷地の全部を案内しないとしても、「全体ではこの〇倍あります」など、広さの全容をイメージできるように伝えることが大切です。

建物

銀行員は、建物の「きれいさ」を見ているものです。ここで言う「きれい」とは、あたらしいかどうかではなく、清潔かどうか。

たとえ建物自体は古くても、清潔であれば問題はありません。逆に、建物があたらしくても、ホコリやゴミらしきものが目立つようでは印象が悪くなります。

また、建物内が有効に使われているか、も銀行は見ています。この点で「建物内に空きスペースが多い」ということになると、「ムダが多そうだ」というイメージに繋がります。

空きスペースにも維持コストはかかりますし、働くヒトの動線も長くなってしまうからです。スペースに意図があるのであれば、伝えるようにしましょう。

機械

フツーの人には、工場にある機械の良し悪しは見分けがつかないものです。その点では、銀行員も同じです。

したがって、自社の主力機械や、他社があまり持っていないような機械などは、きちんと説明をするようにしましょう。

生産性の高さや、製品品質の高さなどを評価してもらうことにつながるはずです。

なお、未稼働の機械(あるいは、稼働していないように見える機械)がある場合、銀行員は「過剰設備」や「老朽化」を疑うものです。

未稼働(あるいは、未稼働に見える)の理由については、説明をするようにしましょう。

 

《注意②》工程順に見せる

せっかく工場見学をするのですから、見学の順序は「工程順」であるべきです。モノがつくられる順、ということですね。

材料が工場に運び込まれるところからはじまり、工場内の機械を経由して製造され、製品として工場から出ていくところまでを順番に案内しましょう。モノづくりの過程がよくわかります。

いっぽうで、意外とよくあるのは、見せやすい順・案内しやすい順に見学をさせてしまうこと。これでは、過程がよくわからず、見ている銀行を混乱させてしまいます。

社外からくるあらゆる見学者は「シロート」なのだ、という意識で案内をしましょう。

 

《注意③》説明の要点を整理しておく

工場見学をする際、銀行に対しては当然「説明」が必要です。ただ見ているだけで、内容をきちんと理解することはできないからですね。

そこで、説明の要点を整理しておくようにしましょう。次の3点です。

専門用語は使わない、使うなら解説する

銀行員は、工場内のことについては「プロ」ではありません。むしろ、「シロート」です。

たとえば「バリ取り ※」と言われても、銀行員にはそれがなにかイメージできないかもしれません。

( ※ バリ取り= 加工の際にできた出っ張りを取り除くこと)

ですから、安易に専門用語や業界用語を使わないように気をつけましょう。使う必要があるのであれば、用語の解説をしてから使うことです。

「中でもスゴい、外でもスゴい」ものを伝える

外部の人には「工場のスゴさ」はわからないものです。再三のお話にはなりますが、外部の人は「シロート」だからです。

シロートが、機械の大きさや迫力などにスゴさを感じることはあっても、「ほんとうに価値あるスゴさ」を見極めることはできないでしょう。

したがって、「工場のスゴさ」は、会社側が伝えようとしなければ伝わりません。ポイントは、「中でもスゴい」ものと、「外でもスゴい」ものを伝えることです。

まず、「中でもスゴい」とは。工場内にはいくつもの機械・設備があり、何人もの人がいます。その「中」でも、とりわけどこが当工場の特徴なのか。印象が残るように伝えることです。

また、「外でもスゴい」とは。競業・同業他社など「外」の工場と比べても、とりわけ優れている・秀でている点を伝えることです。言い換えるなら、「差別化ポイント」ですね。

QCDに触れること

工場など「生産」の世界では、「QCD」がだいじであることは銀行員も理解しています。よって、話としては触れておくことが大切です。

品質管理(Quality)のQ、原価管理(Cost)のC、納期管理(Delivery)のD。この3点について、自社工場の取り組みがどうなっているかを伝えるようにしましょう。たとえば、

  • 品質管理 ・・・ 不良品の発生率はいかほどか、それをどうコントロールしているかの現場を見せる
  • 原価管理 ・・・ 「歩留まり(材料がどれだけムダなく使われたか)」や原価率の実績推移、同業他社比較などを説明する
  • 納期管理 ・・・ 通常納期はどれくらいか、急ぎが出たときの対応はどうか(そもそも受けない・外注を使うなど)、工場内の生産性向上のしくみなどを説明する

といったことが挙げられます。

このようなところまで銀行員が把握できれば、融資先に対する安心感を持つことができ、融資審査上でもプラス材料としての効果が期待できます。

 

《注意④》銀行員の動きを制限しておく

工場を見学する側の銀行としては、「この機会にいろいろ見たい、いろいろ聞きたい」という思いがあることでしょう。

その思いに応えたいところではありますが。工場は「現場」です。いままさに、モノづくりが行われている現場です。

銀行員があまりに自由に動き回ったり、工場内の従業員などに声をかけられたりしたのでは、モノづくりに支障が出てしまいます。

場合によっては、ケガや事故につながることも考えられますから。そのあたりは見学前に、あらためて銀行に念押しをすることが大切です。

具体的には、「工場内はわたしのそばを離れないように」とか、「質問の時間はあとでまとめてとりますので」などと言っておくと、スムーズに見学を進めることができるでしょう。

 

《注意⑤》倉庫も見せる

「工場」見学と言われると、わすれがちなのが「倉庫」です。倉庫は工場じゃないし、と。

けれども、工場の敷地内には、倉庫がツキモノです。銀行員もそれを知っていますから、「倉庫も見たい」と思っているでしょう(あるいはそう言われる)。

ですから、そもそも見学ルートに倉庫を含めておきましょう。

ところで銀行員は、倉庫について、おもに次のような視点でチェックをしています ↓

  • どのくらいの在庫(材料、仕掛品、製品)があるのだろうか → 決算書などの数字と合っていそうか
  • 必要以上に在庫を持っていないか → ムダはないか
  • デッドストック(不良在庫)はありそうか → あれば、決算書に反映されているだろうか
  • 倉庫内は整理整頓されているか → 在庫管理・棚卸が正確に行える環境だろうか

このような銀行員の見方があることに注意をして、案内・説明をするようにしましょう。

まとめ

取引銀行が工場見学に来るなら注意すべき5つのポイントについてお話をしてきました。

銀行は、工場内においてはシロートであること。そして、銀行特有の視点があることを押さえたうえで、工場見学を進めましょう。

  1. 土地・建物・機械を見せる
  2. 工程順に見せる
  3. 説明の要点を整理しておく
  4. 銀行員の動きを制限しておく
  5. 倉庫も見せる

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  きょうの執筆後記
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