” なんのアポイントもなしに、突然、銀行がやってきたけど。どうすれば…? ”
ということで、取引がない銀行が会社に営業に来たときの対応についてお話をしていきます。
銀行が「貸したい」ときに借りるのが融資の鉄則
ある日突然、いままで取引をしたことがない銀行が会社にやってくる。ということがあります。
いわゆる「営業」ですね。銀行も、一般の会社と同じように、営業活動をしています。銀行にも「ノルマ」的なものがあり、その達成につとめている。
銀行は、じぶんの商品を「売りたい」と考えているわけです。たとえば、融資。
つまり、銀行が営業に来たということは、「融資をしたい」との思いのあらわれなのです。これを活用しない手はありません。
銀行融資では、こちらが借りたいときには借りられないものです。とくに、売上・利益がきびしい、おカネがないから借りたい、という相手を銀行は嫌います。
だから、借りられるときに借りておく。これが、銀行融資の鉄則です。
銀行が「貸したい」と考えている、営業にやってきているときには、その「借りられるチャンス」です。
では実際に、銀行が来たときには、具体的にどう対応すればいいのか? こちらの3ステップです ↓
- ひとまず話を聞く
- 決算書を見せる
- 勧められた融資を受ける
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
取引がない銀行が会社に営業に来たときの対応3ステップ
《ステップ1》ひとまず話を聞く
なんのアポイントもなしに突然やってくるとはけしからんっ! 帰れ、帰れ。
と、言いたくなる気持ちもわかりますが。せっかく銀行が来たのであれば、ひとまずお話を聞くようにしましょう。
どうしてもいまは忙しくてムリ、という場合には。とりあえず名刺交換をして、あらためて来てもらうように段取りをしましょう。
とにかく、銀行と「面識を持つ」。これが大切です。
そんなの融資を受けるときに銀行へ行けばいいじゃないか、と思われるかもですが。あまりよい方法だとは言えません。
なぜなら、銀行は「突然」におカネを借りに来る相手を警戒します。他の銀行で断られたから、しようがなくウチに来たのではないか? と疑います。当然、融資は受けにくい状況になります。
これが、「すでに面識がある」となれば、そうはなりません。そもそも、はじめに声をかけてきたのは銀行のほうなのですから。
会社・事業をしていれば、いつなんどき融資が必要になるかはわかりません。融資の可能性がある銀行とは、面識を持っておくようにしましょう。
その第一段階が、やってきた銀行の話を聞くことです。
社長は「銀行拒まず」の姿勢であっても、知らないうちに銀行を拒んでいることがあります。
受付社員が「知らない銀行」を追い返しているケースです。社員は「忙しい社長の手をわずらわせまい」と気を利かせているつもりなのですが…
受付社員には「銀行が来たら取り次ぐように」と伝えておきましょう。
《ステップ2》決算書を見せる
《ステップ1》で銀行の話を聞いてみたところ、融資をしたいようだとわかったら(というか、基本的に銀行は融資をしたくて営業をしています)。
すぐに、自社の「決算書」をお見せしましょう。
などと言うと。だいじな決算書を、いま知り合ったばかりのニンゲンに見せられるかっ! と思われるかもしれませんが。
そんなことを言っていては、(融資の)話が前に進みません。銀行は決算書を見なければ、融資の可否を決められないのですから。
融資を受けたいのであれば、いずれ決算書を見せることになります。いま出し惜しんだところで、早いか遅いかでしかありません。
世間話はほどほどにして、決算書をお見せするようにしましょう。
その反応で、銀行が本気で融資をするつもりなのかどうかを見極めることができます。
決算書を見せるにしても。こちらが借りたくてしようがない、みたいな取られ方はしないように注意が必要です。銀行はこちらが前のめると、引くものだからです。
「せっかくお越しになったのですから、ウチの自己紹介をさせてください」という前置きから、その流れでさりげなく決算書もお見せするのがよいでしょう。
決算書を見た銀行が「貸したい!」と思えば、そういうハナシになるはずです。
《ステップ3》勧められた融資を受ける
《ステップ2》で決算書を確認した銀行が、融資を勧めてきたら。もちろん、借りましょう。
なんどでも言いますが、銀行融資は「借りたいときには借りられず、借りられるときに借りるもの」だからです。
いますぐ、おカネが必要ではないとしても。いつか必要になるかもしれないのであれば、いま借りることです。
(ちなみに、将来も絶対におカネが必要になることなどない、という会社はほぼゼロだと推測します)
このとき、銀行が勧めてくる融資の内容について、よくある質問への回答をまとめてみます ↓
金利が高いんだけど、それでも借りるの?
銀行が「融資する」と言っているけれど金利が高い、という場合に。それでも借りるのか?
借りましょう。
はじめての取引なのですから、銀行も「ようすを見たい」ところはあるでしょう。リスクを抑えるために「金利は高めに」というのは自然です。
こちらとしては、まずは「面識を持つ・お付き合いをはじめる」ことがだいじなのですから金利には目をつぶる。金利について物言うのであれば、次の融資からです。
高い金利をなにも言わずに受け入れた相手なのですから、きっと銀行は「次の融資」も勧めてくるはずです。
保証協会付き融資でも借りるの?
はじめての取引から、信用保証協会の保証なし(つまりプロパー融資)というのは、銀行にとっては危険があります。
やはり、はじめは「ようすを見たい」のです。ゆえに、銀行にとってはリスクが少ない保証協会付き融資から、というのがフツーです。
いきなりプロパー融資というのは、まれなケースだと考えておきましょう。
「いずれプロパー融資」を期待して。まずは保証協会付きでも借りて、お付き合いをはじめることです。
短期の融資でも借りるの?
借りる側としては「長期」で借りたい、という思いがあるものでしょう。長く借りられるほうが資金繰りが安定します。
ところが銀行にしてみれば、長く貸しているほうがリスクが高くなります。長ければ長いほど、融資先になにかが起きる可能性が高まるからです。
したがって、はじめは短めの期間で融資をしてみて。返済実績ができたら、徐々に期間を長めにしていく。という考え方があります。
繰り返しになりますが、まずはお付き合いをはじめること。この先のお付き合いも期待をするのなら、短期でも借りましょう。
「他の銀行の融資を肩代わり」って言っているけどいいの?
場合によっては、「すでに他の銀行から受けている融資も引き受けます」という提案がありえます。
営業してきた銀行が、他の銀行の融資を肩代わりする、ということです。
これについては慎重に判断をしましょう。
言うまでもないことですが、肩代わりをされるほうの銀行にしてみれば穏やかではないからです。
銀行としては「もう貸してやるもんか!」ということであり、「今後の取引はない」と覚悟をしておかなければなりません。
長く付き合っていたからこその関係というのもあるはずです(赤字でも支援をしてくれた、など)。失って困る関係ではないか、じゅうぶんに検討して判断しましょう。
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まとめ
取引がない銀行が会社に営業に来たときの対応3ステップ、についてお話をしてきました。
せっかくやってきた銀行を、カンタンに追い返してしまう。などということがないようにしましょう。
銀行が「貸したい」と考えているときが、「借りられる」チャンスです。