” 銀行からの融資… そうだコンサルタントのチカラを借りよう!”
というのもよいですが。口利き・税理士頼み・専門家任せなど、他力本願の銀行融資は要注意ですよ。というお話をしていきます。
他力もいいけど、借り方には気をつけよう
会社・事業で銀行融資を受けるにあたり、「他力(第三者のチカラ)」を借りるという方法があります。
他力自体に問題はありませんが、借り方を誤るとアダになることもある。受けられるはずの融資も受けられなくなる。
ということで、他力本願の銀行融資に注意すべきケースについてお話をしていきます。
以下のケースでは注意が必要です ↓
- 有力者に口利きしてもらう
- 顧問税理士にサポートしてもらう
- 専門家に銀行対応をお任せする
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
余談ではありますが。「他力本願」とは、「みずからのチカラだけによるのではなく,仏さまのチカラによって救われること」を本来の意味とする浄土教の言葉です。
それが、いつのまにやら「みずから努力もせずに、他人任せにすること」という誤用が広まり、定着しました。本記事では、定着した誤用のほうの意味で「他力本願」の言葉を使っております。あしからず。
有力者に口利きしてもらう
たとえば、地元の名士や政治家など、いわゆる「有力者」に口利きをしてもらえばよいのではないか?
との考えを見聞きすることがありますが。
やめておきましょう。口利きを理由にして、銀行が融資をすることはありません。
たとえ有力者からの口利きがあったとしてもそれはそれ。銀行は、いつもどおりの「審査」をしたうえで、融資するかしないかを判断します。
コネさえあれば赤字でも… という昔バナシはあるようですが、いまは時代がちがいます。銀行の融資審査は厳格なのです。
もしそれでも「コネが使えた!」というのであれば、その銀行はどうかしているのであり、とてもお付き合いをおすすめできるものではありません。
なお、有力者を使ってプレッシャーをかけてくるような会社に対して、銀行が「良い心証」を持つことはないでしょう。
融資をするにしてもしないにしても、ただただ「やりにくいなぁ」といったところでしかないはずだからです。
したがって、効果もないし、良い心証も得られない、そんな「口利き」に頼るのはやめておくことです。
まったく面識がない銀行から融資を受けたい場合に、面識があるヒトから「紹介」をしてもらう。銀行は一見さんを警戒する傾向がありますから、紹介には警戒を解く効果が期待できます。
ただし、その先の「審査」はやはりいつもどおりです。この点では、口利きでも紹介でも変わりありません。
顧問税理士にサポートしてもらう
銀行から融資を受けるにあたり、顧問税理士のチカラを借りるというのも選択肢です。
このとき注意すべきは、「急に」チカラを借りようとしないこと。たとえば、急に銀行との面談に顧問税理士を同席させる、とか。
税理士が訪問監査など別件で会社に訪れた際、「きょう銀行呼んであるから、同席してもらえます?」などと突然に言われるケースです。
このようなケースでは、顧問税理士とて、じゅうぶんにチカラを発揮することができません。
融資の依頼をするのであれば、資金使途(借りる理由)や返済方法(何を原資に・いつまでに返済するか)などを、銀行に明確に伝えることが大切です。
それには、試算表・資金繰り表・借入金一覧表などの書類の作成も必要になります。ここまでやることで、融資を受けられる確率が上がります。
このあたりの準備もできないままに同席を強いられた税理士にできることは限られています(ほとんどなにもできないかもしれない)。
結果、社長が「おカネが無いから貸して」と言ってしまうようでは、銀行も融資をしよう・融資をしたいとは思わないでしょう。これでは、顧問税理士が同席する意味がありません。
ですから、顧問税理士のサポートを期待するのであれば、時間的な余裕をもって相談・依頼をすることです。
ちなみに。銀行対応に関する業務が、そもそも税理士との「顧問契約の範囲内」なのかも注意点に挙げられます。
一般的には、税理士との顧問契約は「税務」に関するものであり、「銀行対応」までは含まれていないことが多いはずです。
このような状況で、銀行対応を迫られる税理士としては、きびしいものがあるでしょう。
銀行対応は「片手間」でできるようものではありませんから、業務範囲外、そのうえ無報酬ということでは、税理士としても動きづらいのはしかたのないところです。
税理士のサポートをしっかりと受けるために、依頼する業務範囲の整理や報酬金額の取り決めをしておくことをおすすめします。
専門家に銀行対応をお任せする
銀行融資のサポートを求める場合には、前述の顧問税理士のほかにも、融資コンサルタントなどの専門家も挙げられます。
じぶんではよくわからない銀行対応は専門家に任せる。これもひとつの方法でしょう。
このときの注意点として。銀行は、「アヤシゲ」な第三者がからむことを警戒する。ということを覚えておきましょう。
なにを警戒しているのか言えば、不正な手段による融資の獲得です。
たとえば、粉飾を指南して、実際よりも決算書をよく見せて融資を引き出そうとする。指南をした専門家は、たんまり手数料をもらっていなくなる…
というのでは、銀行としてはたまったものではありませんよね。ゆえに、銀行は「第三者」がかかわることを多かれ少なかれ警戒しているのです。
この点で、相対的に見るならば。単発で関わるコンサルタントよりも、顧問税理士のほうが警戒心は小さくなります。
顧問税理士とは、基本的に長く会社とお付き合いをするものであり、不正を働いたうえにすぐにトンズラしてしまう可能性は少ないからです。
顧問税理士がよくて、コンサルタントがダメだ、という話ではなく。銀行はそういう目で「専門家」を見ている、ということを理解しておきましょう。
そのうえで、銀行対応を任せている専門家が「何者であるか」は、会社のほうから銀行にお伝えをしておくことです。
さいごにもうひとつ。専門家に銀行対応を任せるときに、「任せすぎ」には気をつけましょう。
たとえば、数値計画の説明を銀行から求められた際、社長が何も言えない、あるいは、「コンサルタントがつくったものなので…」などと言ってしまうようではいけません。
細部の説明は専門家に任せるにしても、何も言えないほど任せるのは「任せすぎ」です。銀行にしてみれば「おカネを借りるのはコンサルタントじゃないだろう!」との思いでしょう。
融資を受ける際の当事者は、あくまで「自社」であり、専門家ではないのですから。任せすぎて逆効果になることには注意が必要です。
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まとめ
口利き・税理士頼み・専門家任せなど、他力本願の銀行融資は要注意ですよ。というお話をしてきました。
他力自体が悪いわけではありません。けれども、せっくの他力の「借り方」や「使いどころ」を間違えないように注意をしましょう。