「銀行融資や銀行対応について、おすすめの入門書はありますか?」と聞かれることがありますので。
わたしがおすすめだと考える3冊をご紹介します。
悔しい気持ちはあるけれど、それはそれ、これはこれ。
銀行融資にかかわる仕事をしていると、
「銀行融資や銀行対応について、おすすめの入門書はありますか?」と聞かれることがあります。
本来であれば、「わたしが書いたこの本を」と言えればいいなぁ、とは思うのですけれど。残念なことに(というかなんというか)、その手の本を執筆できておりません…
代わりに、日々ブログ記事を執筆してはおりますが。それはそれ、これはこれ、ですよね。
そこで、ほかの方が書かれた銀行融資・銀行対応に関する入門書で、わたしがおすすめだと考える3冊をご紹介します。
借入は減らすな!/ 松波竜太さん著
著者は、税理士の松波竜太さんです。
銀行融資・銀行対応に関する書籍は、わりと「過激」なタイトルが多いように思いますが、この本もそうだと言えるでしょう。
いっぱんに、借入はなるべくしない・減らすのが「常識的」なのであって、「借入は減らすな!」というのはその逆ですから。
とはいえ、とにかく借りろ、とにかく返すな、というハナシではなく。本書の冒頭、次のように書かれています ↓
企業が倒産するのは借金が多いからではなく、現預金がないからなのです。
それならば、銀行借入をうまく利用して現預金を厚くして、予期せぬ事態にも対応できるようにすることで経営は安定します。
世の中の「イメージ」として、「借金 = 悪」「借金 → 倒産」が広がっていますが、そうではないだろうという話です。
わたしも本ブログ記事では、たびたび「借りられるだけ借りましょう」とお話をしていますが、その真意は「借りてでもおカネ(現金預金)を持ちましょう」です。
不測の事態に備える、あるいは来たるべき投資機会に備えて、できるだけ現金預金を持つために借りるのであって、ただただ借金することを推奨しているわけではありません。
極端を言えば、借金と同じだけの現金預金があれば、借金はしていないのと同じです。また、現金預金が手元にある分だけ、会社は持続・成長の可能性が高まります。
言い換えると、「おカネも無いのに無借金経営をする・目指すのは危ない」ということですね。
そのような考え方を前提に、「どうしたら銀行から融資を受けることができるか、融資を活かして現預金を厚くするか」がわかるのが本書です。
借入に対する考え方にはじまり、銀行交渉・銀行員との接し方、銀行による決算書の見方、銀行(員)の考え方など、幅広く、具体的に、かつ、わかりやすくまとめられています ↓
- 第1章 間違いだらけの「お金」の考え
- 第2章 銀行交渉その前に
- 第3章 まずはとにかく手持ち資金を増やそう
- 第4章 銀行を理解して賢く交渉しよう
- 第5章 財務体質改善策で評価アップを狙おう
はじめて銀行融資・銀行対応に関する書籍を読む、という方にこそおすすめの1冊です。
社長!カネ回りをよくしたければ銀行の言いなりはやめなさい / 古山喜章さん著
著者は、経営コンサルタントの古山喜章さんです。
書籍タイトルにもある「銀行の言いなり」。銀行の言うがままに借りていてはダメだ、銀行交渉術を身につけましょう、ということが書かれています。
そんな本書の冒頭には、次のように書かれています ↓
しかし残念ながら、多くの銀行交渉本は「いかにして借りるか」という視点で書かれています。そこには、財務体質への視点や、経営者の個人的リスク(個人保証)への視点が抜け落ちています。
…中略…
だから、「できるだけたくさん借りておき、不測の事態に備えておく」という発想になってしまいます。
これは、はじめにご紹介をした「借入は減らすな!」とは真逆だと言えるでしょう。書中には、「無借金になるほど、銀行が挨拶にやってくる」との記述もあり、無借金をおすすめされています。
じゃあ、いったいどっちがいいんだ? との疑問をもって、両書を読み比べてみるのがおすすめです。
そのうえで、銀行融資を受けるか受けないか。借金するかしないかを選択するのは、会社・社長自身にほかなりません。
わたし自身は、と言うと。「最終的には無借金」に間違いはない、と考えています。できることなら無借金に越したことはありません。
けれども、無借金に行き着くまでの過程には「必要な借金」もある。会社の持続・成長に必要なおカネを持つための借金もある、との考えです。
そもそもが過小資本、つまり、おカネが無い・少ないところからのスタート。そういう会社は少なくありません。
したがって、「無借金か? それとも借金するか?」の選択は、状況しだい・状況によりけりだとも言えます。どちらの考え方も理解したうえで選択できるように、両書とも読んでみるのがおすすめです。
なお、本書には「銀行交渉」に関する具体的方法も、数多く掲載されています。
- 第1章 売上を追うほど、会社は壊れていく
- 第2章 銀行交渉力で「B/S」はよくなる
- 第3章 簡単にできて効果が絶大な銀行交渉術
- 第4章 格付け(スコアリング)の仕組みを知りなさい!
- 第5章 銀行の思考回路がわかれば駆け引きのウラが読める
- 第6章 銀行交渉で会社の財務を鍛える
- 第7章 こんな会社でも自己資本がみるみるよくなる!
- 第8章 交渉に強くなれば、使えるお金がどんどん増える
融資を受けるにしても、「銀行の言いなり」で損をしないために、良い融資条件を引き出すために。銀行交渉術を身につけるのにもおすすめの1冊です。
事業計画書は1枚にまとめなさい / 上野光夫さん著
著者は、日本政策金融公庫の元融資課長、上野光夫さんです。
書籍タイトルからはいまいち読み取れませんが、「創業融資」を受けるにあたって、とても参考になる1冊です。
日本政策金融公庫をはじめ、創業融資を受けようとするときには「事業計画書(創業計画書)」が必要になります。
その事業計画書に対する考え方、具体的な書き方。加えて、融資のしくみや審査の基準、面談、その他細かい部分での注意点など、網羅的かつわかりやすくまとめられていておすすめです ↓
- 第1章 発想やアイデアは不要! 起業の事業計画書は最低限でいい
- 第2章 起業前に知っておきたいお金の知識
- 第3章 融資はどこに申し込みすればいいか
- 第4章 融資を受ける際のハードル「審査」について知っておこう
- 第5章 審査でチェックされるポイントを教えます
- 第6章 創業融資の事業計画書は用紙1枚でいい
- 第7章 「創業計画書」左側の記入方法
- 第8章 「創業計画書」右側の記入方法
- 第9章 融資面談は大切なプレゼンの場
- 第10章 創業融資ノウハウ集
ところで、本書の冒頭には次のように書かれています ↓
創業融資を活用する真の目的は、起業を成功させて事業を長く続けることです。
創業当初の厳しい状況(デスバレー)を乗り越え、事業を軌道に乗せられる可能性を高めるために。創業するならば創業融資を受けることを、わたしは強くおすすめしています。
ところが。「とりあえず自己資金でやってみます」ではじめてみたものの、思うようにいかず「やっぱり融資を受けたい」となるケースは少なくありません。
もちろん、思うようにいかない状況(赤字が続き、資金が枯渇)になってからでは、銀行から融資を受けるのは困難です。銀行は危険な相手にはおカネを貸さないからです。
したがって、のちのち困ったことにならないよう、あらかじめきちんと計画を立てる、融資を受ける。ここで言う「きちんと」とは、「実現可能(≒保守的)」を意味します。
売上・利益が急激な右肩上がりでバラ色、楽観的に過ぎる計画をつくらない。そのような計画書では、創業融資を受けることも難しくなります。
創業にあたっては本書などを参考にして、事業計画書の考え方・つくり方を身につけておくようにしましょう。
銀行融資におすすめのメニュー
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銀行融資入門セミナー
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銀行融資の個別相談
まとめ
銀行融資・銀行対応がわかるおすすめ入門書についてお話をしてきました。
関連書籍がたくさんあってどれを読んだら…? というときのご参考になりましたら幸いです。