工事など売上代金入金までの立替資金(つなぎ資金)を銀行から借りるときの3ポイント

工事など売上代金入金までの立替資金(つなぎ資金)を銀行から借りるときのポイント

建設業の工事など。売上代金が入金になるまでのあいだ、先行して仕入代金や経費を支払うおカネが足りない…

そんなときの「立替資金(つなぎ資金)」について。銀行から借りるときのポイントをお話していきます。

目次

売上代金入金までのおカネは借りられる

会社・事業における銀行融資について。

売上代金が入金になるまでのあいだ、先行して仕入代金や経費の支払いが必要になることがあります。

イメージとしては建設業の工事です。工事を受注してから、完成して売上代金が入金するまでには時間がかかります。

いっぽうで。そのあいだも材料費や外注費、賃金などを支払わなければいけません。ゆえに、手元のおカネが不足してしまうことが考えられます。

そこで。銀行から融資を受けて、売上代金が入金されるまでのあいだをしのぐ。これを「立替資金」あるいは「つなぎ資金」の融資、などと呼びます。

せっかく売上があるのに入金まで資金繰りがもたず… たいへんな思いをしないように、「立替資金(つなぎ資金)」を借りることも検討しましょう。

そんな「立替資金(つなぎ資金)」について、銀行から借りるときのポイントをお話していきます。ポイントは次の3つです ↓

立替資金(つなぎ資金)を借りるときのポイント
  1. 資金繰り表・試算表は必須
  2. 契約書の原本を提示する
  3. 入金口座は融資を受ける銀行に

それでは、このあと順番に見ていきましょう。

 

工事など売上代金入金までの立替資金(つなぎ資金)を銀行から借りるときのポイント

《ポイント1》資金繰り表・試算表は必須

立替資金の融資は、短期(おおむね1年未満)、期日一括返済が基本です。

たとえば、期間6ヶ月、受注金額 3,000万円の工事であれば。3,000万円を、工事完了・入金日の6ヶ月後に一括返済、という条件での融資になります。

この点で、銀行の関心事は2つです ↓

  • 入金までのあいだ(6ヶ月)、資金繰りがもつかどうか?
  • 入金したときに、完済できるおカネ(3,000万円)があるかどうか?

6ヶ月後に入金があるといっても、そのあいだ資金繰りがもたなければ会社はつぶれてしまいます。銀行は貸したおカネを回収することができません。

また、6ヶ月後に無事入金されたとしても、3,000万円を完済すると手元のおカネがギリギリ… つぶれてしまいそうだ、というのでは困ります。

そこで銀行は「資金繰り表」を見て、上記2点を確認するのです。

したがって、融資時点から返済時点まで(上記の例では向こう6ヶ月先まで)の予測資金繰り表を作成・提示する必要があります。

また、作成した資金繰り表の「根拠」として「試算表」も必要です。銀行は資金繰り表の「予測の妥当性」を、試算表から判断します。

つまり。足元の実績がめちゃくちゃ悪いのに、予測だけはすごく良い。なんていうのはおかしい、ということです。

立替資金(つなぎ資金)の融資を受けるときには、資金繰り表・試算表は必須だと覚えておきましょう。

【参考】融資金額は受注金額が「最大」

立替資金(つなぎ資金)の融資金額は、売上の受注金額が最大になります。ただし、受注時に前受金がある場合には、「受注金額 − 前受金」が最大です。

なお、中間金などがある場合には、それにあわせて「分割返済」になることもあります。

《ポイント2》契約書の原本を提示する

立替資金(つなぎ資金)の融資を受けるときには、売上について「契約書の原本」の提示を求められます。工事であれば、工事請負契約書の原本。

ここでのポイントは「原本」にあります。銀行は「契約書の改ざん」を警戒しているのです。

原本ではなく、コピーでもOKとしてしまうと。受注金額を水増ししたり、工事期間を長くしたりと書き換えた「契約書のコピー」ということが考えられます。

おカネを借りる側の会社は「できるだけたくさんおカネを借りたい」との思いがありますから、契約書の改ざんはありうる話です。

したがって、原本の提示を拒むようなことをすると、契約書の改ざんを疑われることになりますから気をつけましょう。

なお、契約書には「売上代金の回収条件」をきちんと織り込むことも大切です。ここで言う「回収条件」とは、前受金や中間金の有無、回収期日など。

回収条件は、融資の返済条件(一括返済か分割返済か、返済期日はいつか、など)に関わるところですから、あわせて気をつけましょう。

また、契約書に代えて、見積書や注文書などの提示では不十分です。受注が確かかどうかを確認するには契約書が確実だからです。

《ポイント3》入金口座は融資を受ける銀行に

立替資金(つなぎ資金)の融資を受けるときには、売上代金の入金口座は融資を受ける銀行に指定するのが大原則です。

これがもし、他の銀行の口座を指定された場合には、入金したおカネが返済以外のことに使われてしまうかもしれません。

そう考えると、おカネを貸す側の銀行からしてみれば、入金口座をじぶんのところに指定してもらおうと考えるのは当然でしょう。

また、おカネを借りる側の会社は「できるだけたくさんおカネを借りたい」との思いがありますから、複数の銀行に対して同じ融資を依頼しているかもしれません。

たとえば、1つの工事請負契約書でもって、複数の銀行から立替資金の融資を受けようとするかもしれない、ということです。

もちろん、銀行としてはたまったものではありませんから、これを防ぐために入金口座を指定する、という一面もあります。

したがって、入金口座の指定を拒むようなことをすると、他の銀行にも同じ融資を申し込んでいて、他の銀行に入金口座を指定していることを疑われるばかりです。気をつけましょう。

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まとめ

工事など売上代金入金までの立替資金(つなぎ資金)を銀行から借りるときのポイントについてお話をしてきました。

せっかく売上があるのに入金まで資金繰りがもたず… たいへんな思いをしないように、「立替資金(つなぎ資金)」を借りることも検討しましょう。

立替資金(つなぎ資金)を借りるときのポイント
  1. 資金繰り表・試算表は必須
  2. 契約書の原本を提示する
  3. 入金口座は融資を受ける銀行に
工事など売上代金入金までの立替資金(つなぎ資金)を銀行から借りるときのポイント

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