銀行に聞いてはいけない『いくらまで借りられるの?』の答えをみずから知る方法

銀行に聞いてはいけない「いくらまで借りられるの?」

いくらまで借りられるのか? というのは、気になるところです。けれども、それを銀行に直接聞いてはいけません。

その理由や、銀行に聞かずともみずから答えを知る方法などについてお話をします。

目次

疑問をそのまま口にすると嫌われる

会社・事業における銀行融資について。こんな疑問をよく見聞きします ↓

「ウチの会社はいくらまで借りられるのか?」

そして、この疑問を直接、銀行に聞こうとする会社がありますが。やめましょう。銀行からすると「とても心証が悪い」行為だからです。

そんなことを聞くような会社におカネを貸してもだいじょうぶかな?やめたほうがいいかも… と、銀行に思われてしまうかもしれません。

たしかに、「いくらまで借りられるのか?」は、借り手にとって気になるところではあるでしょう。でも、銀行に直接聞くのはやめたほうがいい。

その理由について、また、銀行に聞かずとも「いくらまで借りられるのか?」をじぶんで計算する方法についてなど。このあとお話をしていきます。こちらの内容です ↓

このあとのお話の内容
  • なぜ「いくらまで借りられるの?」を銀行に聞いてはいけないのか
  • いくらまで借りられるのかの目安は計算できる
  • ただし、資金使途がなければ借りられない

それでは、このあと順番に見ていきましょう。

 

なぜ「いくらまで借りられるの?」を銀行に聞いてはいけないのか

銀行の融資は、会社・事業に「必要なだけのおカネ」を貸すことです。つまり、必要のないおカネまでは貸さない、ということになります。

これを言い換えると。使いみちが決まっているおカネは貸す。使いみちが決まっていないおカネは貸さない。そういうことです。

銀行融資では、「使いみち」のことを「資金使途(しきんしと)」と呼びます。銀行は融資審査の際、「資金使途はなんなのか?」に注目をしているのです。

したがって、会社が「いくらまで借りられるのか?」と銀行にたずねてしまうと、

資金使途も無いのに、あるいは、資金使途もわからずに、ただただ無計画におカネを借りようとしている会社。借りられるだけ借りようとしている会社。銀行はそんなふうに感じることでしょう。

これは当然、融資を受けるにあたってはマイナスです。会社が「いくらまで借りられるのか?」を銀行に聞いてはいけない理由はここにあります。

 

いくらまで借りられるのかの目安は計算できる

それじゃあ「いくらまで借りられるのか?」は、わからないものなのか。さらには、銀行は資金使途さえあればいくらでも貸してくれるのか? と言えば、そんなこともありません。

銀行から見て、いくらまで貸すことができるかの「目安」はあります。また、その目安をじぶん(自社)で計算することもできます。

というわけで。「いくらまで借りられるか?」の目安を求める計算式がこちらです ↓

いくらまで借りられるのか?の目安

(税引後利益+減価償却費)× 10

上記のとおり、銀行は「税引後利益」をベースにして、いくらまで貸すことができそうかを見ています。具体的には、税引後利益の10倍ですね。

これは、税金を支払ったあとの残りのおカネが借入の返済原資であり、その返済原資でもって10年以内に返せる金額までが限度だ、ということをあらわします。

なお、税引後利益に減価償却費を加算しているのは、減価償却費がおカネの支出を伴わない費用だからです(減価償却費の対象となる資産を買ったときにおカネを支出している)。

費用として利益から引かれてはいるけれど、おカネの支出は伴わないので返済原資にはなる。ゆえに、利益に対して足し戻しているのです。

減価償却費については、ちょっと難しい論点ではありますが。だいじなことは、「税引後利益が返済原資のおもなベースだ」ということ。

つまり。利益を出している会社ほど、借りられる金額は大きくなる。利益を出していない会社ほど、借りられる金額は小さくなる。

したがって、税金を減らすために利益を出し惜しむと、その分、銀行からの融資は受けにくくなります。「節税したい」と「融資を受けたい」は相反する関係にある、とも言えます。

これは意外と「わかっていない」ことが多いところですから、しっかりと覚えておきましょう。いざ決算になると、どうしても「節税したい」に走りがちですから。

最終的に、「あといくら借りられるのか?」の目安としては、さきほどの算式から「現在の借入金残高」を控除すれば計算できますね ↓

あといくら借りられるのか?の目安

(税引後利益+減価償却費)× 10 − 現在の借入金残高

ところで。「いくらまで借りられるのか?」の目安として、「利益」ではなく「売上高」をベースに言われることもあります。

おおむね「年間の売上高」の半分、という目安です。言い換えると、半年分の売上高が借入上限の目安だ、と。

けれども、目安としては「売上高」よりも「利益」をベースにした見方のほうが確かだと言えるでしょう。いくら売上高が多くても、赤字であれば返済原資は確保できないからです。

それでも一般に「半年分の売上高」という目安もあるのだなぁ、と知っておくのもよいでしょう。ざっくりと目安をはかるのには一役買います。

 

ただし、資金使途がなければ借りられない

いくらまで借りられるのか? は、「(税引後利益+減価償却費)× 10 」である。目安として、「税引後利益+減価償却費」の10倍までは借りられる、と言いました。

けれども、その前提は「資金使途」があればこそ、です。銀行は融資審査の際、「資金使途はなんなのか?」に注目をしている、という話もしましたよね。

いくら「(税引後利益+減価償却費)× 10 」の金額が大きいとしても、資金使途がないのに融資をするわけにはいかない。というのが、銀行の考え方です。

よって、「資金使途を明確にする」ことが、融資をスムーズに受けるポイントになります。

その資金使途は大きく分けて2つです。

ひとつは会社・事業に必要なモノを購入するためのおカネである「設備資金」という資金使途。もうひとつは仕入・経費などを支払うためのおカネである「運転資金」になります。

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設備資金の融資を受けたいのであれば、なにをいくらで買うつもりなのか?を示すために、パンフレット、見積書や請求書などを提示します。加えて、それを買うことでどのような効果(利益)が得られるのか?を示すために事業計画書の提示が有効です。

運転資金の融資を受けたいのであれば、予測資金繰り表を銀行に提示して、仕入・経費の支払いに借入が必要であること、その借入の返済ができることを説明するのが有効です。

いずれにしても、資金使途を明確にして、その根拠を提示・説明することが大切になります。このあたりが不十分であるがために、ほんとうは借りられるはずなのに借りられない会社もありますから気をつけましょう。

ちなみに、運転資金のなかには「余裕資金」も含まれます。

手元の現金預金がギリギリでは危ないので、現金預金の残高は多少の余裕を持っておきたい。だから、融資を受けておきたい。そのような借入も可能です。

日ごろの資金繰りを安定させるためにも、「余裕資金」を資金使途とする借入も検討してみましょう。

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まとめ

いくらまで借りられるのか? というのは、借り手にとっては気になるところです。けれども、それを銀行に直接聞いてはいけません。

聞けば、銀行からは「(資金使途も無く)無計画におカネを借りようとしている会社だ」と思われてしまいます。当然、融資を受けるのにはマイナスです。

なぜ聞いてはいけないのかという理由、そして、銀行に聞かずともみずから答えを知る方法を押さえておきましょう。

銀行に聞いてはいけない「いくらまで借りられるの?」

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