『無借金経営はダメだ、は間違っている』という考えこそが間違っている(かもしれない)

『無借金経営はダメだ、は間違っている』という考えこそが間違っている(かもしれない)

「無借金経営はダメだ、という考え方は間違っている」との考えを見聞きすることがあります。

ところが。その考えこそが間違っている、というお話をしていきます。

目次

無借金経営はダメだ、がダメだというハナシ。

書籍やネット、会話などを見聞きしていると。ときおりあるのが、「無借金経営はダメだ、という考え方は間違っている」というものです。

つまり、無借金経営のほうがいいんだ! と。

わたしは当ブログやセミナーを通じて、「無借金経営はダメだ」と言っていますので。その考え方を否定されている、というわけです。

とはいえ、なるほどそれも一理ある。と、否定の「理由」を探ってみたところ。挙げられている理由は、大きく次の2つに集約されます ↓

無借金経営はダメだ、は間違っている理由
  1. 借金で会社がつぶれるから
  2. 無借金だと会社がつぶれないから

ところが。これらの理由は、「無借金経営はダメだ」を否定する理由にはならない。理由として成立しない、というのがわたしの考えです。

言い換えると。「無借金経営はダメだ、という考え方は間違っている」という考えこそが間違っている。表現としてはややこしいですが。

要は、無借金経営はダメだ。それが、わたしの考えです。

ではなぜ、さきほどの2つの理由が成立しないのか? このあと順番にお話をしていきます。

【注意】本記事で言う「借金」は、銀行からの借入金を前提とします。いわゆる「高利貸し」からの借入金は含みません。高利貸しからの借入金については無借金が正解です。高利貸しの金利を超える利益率で会社が稼ぐことはこ困難だから、というのが理由になります。

 

「無借金経営はダメだ、は間違っている理由」が成立しないのはなぜか?

借金で会社がつぶれるから、という理由

「無借金経営はダメだ」を否定する理由として、まず挙げられるのが「借金があると会社がつぶれてしまうから」というものです。

言わんとしていることはわかります。借金にまみれてつぶれいく会社… という「イメージ」ならばわかります。

けれども。借金があるから会社がつぶれるわけではありません。おカネが足りなくなってしまった、尽きてしまったから、会社はつぶれるのです。

そして。おカネが足りなくなる・尽きてしまう原因は、借金ではありません。

なぜなら、借金をしても借金だけが増えるわけではないからです。たとえば、1,000万円の借金をしたとして。その瞬間、同時に 1,000万円のおカネも増えています。

その1,000万円のおカネを使わずに持っている限り、1,000万円の借金は無いのといっしょです。いつでも返済をしようと思えば返済できますので。

にもかかわらず。「借金があると会社がつぶれる」などと言うのは、借りた 1,000万円のおカネを失くしてしまっているからです。

売上の減少、経費の増加などにより利益が少なくなってしまったり。設備投資により増えるはずの利益が増えなかったり。売れるはずと仕入れた商品が売れなかったり… おカネを失くす原因はいろいろあります。

いずれにせよ、借金そのもので会社がおカネを失くしているわけではなく、借金そのものが原因で会社がつぶれることはありません。

現実は、つぶれてしまった会社に「たまたま借金があるだけ」です。だから、「借金で会社がつぶれるから」は理由として成立しないのです。

借金をしても借金だけが増えるわけではない以上(おカネも増える)、会社がつぶれる原因はほかにある。そのように理解をしておきましょう。借金にばかり、無実の罪を押しつけてはいけません。

【補足】利息はどうなのか?

そうは言うけど、借金をしたら利息だって払わなければいけないだろう。利息分のおカネが余分にかかるだろう。だから、借金が多いと利息で会社がつぶれれるんだ、との反論もあるでしょう。

たしかに。借金をしたら利息を支払わなければいけません。ただし、銀行融資を前提にする限り、そして、低金利の現状を見る限り、利息支払のインパクトは大きなものではないはずです。

それよりも、本文中で触れた「おカネを失くす原因」によるインパクトのほうがよほど大きいのですから、利息に罪を押しつけるのもいかがなものか? というのがわたしの考えです。

無借金だと会社がつぶれないから、という理由

「無借金経営はダメだ」を否定する理由として、「無借金だと会社がつぶれないから」も挙げられます。

もう少し違った言い方をすると。「経験的に、無借金の会社はつぶれていないんだ。だから、無借金のほうがいいんだ」ということです。

なるほど、そういう会社もあるのでしょう。そういう会社が身の回りに多い、ということもあるのでしょう。

けれども。それは、つぶれない会社に借金が無いだけかもしれず。借金がないから会社はつぶれない、との理由にはなりえません。

理屈のうえでは無借金経営でも、おカネが無くなれば会社はつぶれます。また現実に、無借金経営でもつぶれてしまう会社・つぶれてしまいそうな会社はあるのです。

無借金だと会社がつぶれない、というのは「因果関係を取り違えている」ことを理解しておきましょう。借金があろうとなかろうと、おカネが無くなれば会社はつぶれます。

借金はしないほうがいい、に決まっている。

ここまで、「無借金経営はダメだ」を否定する理由が、理由として成立しない。というお話をしてきました。

それをふまえて。

だからと言って、わたしは「借金をしたほうがいい」などということはこれっぽっちも考えていません。

借金はしないほうがいい、に決まっています。借金をしなくてすむならしないほうがいい。借金をしたら、利息だって払わなければいけないですし。

けれども。しなければいけない、あるいは、したほうがいい借金がある。そういう話をしています。

自己資金(自社・じぶんのおカネ)だけでは不十分な会社は、借金をしてでも手元の資金を確保しておくしかありません。大企業ほどに業績が安定せず、大企業ほどに資金力・信用がない中小零細企業はとくに、です。

大企業のように潤沢な資金はない、豊富な資金調達手段もない。銀行から借りたいときに借りられるわけではないことを覚えておきましょう(赤字のときほど、おカネが無いときほど融資は受けにくくなるものです)。

業績のよいときなど、借りやすいときに借りておくことで有事(業績不振や投資チャンス)に備えるこれが、中小零細企業の財務戦略です。

そのうえで、会社が順調に成長を遂げて、自己資金だけでも十分にやっていけるとの自信がついたとき。そのときこそが、「無借金経営はダメだ」を否定するときです。

否定をすぎるのが早すぎる、ということがないように。無借金を目指すのはよいですが、実行するのが早すぎると「おカネが足りない・おカネが尽きた」で会社はつぶれてしまいかねません。

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まとめ

「無借金経営はダメだ、という考え方は間違っている」との考えを見聞きすることがあります。

ところが。その理由については成立しない、というのがわたしの考えです。

成立しない理由を鵜呑みにして。「無借金経営がいちばん」との勘違いをしないように気をつけましょう。

『無借金経営はダメだ、は間違っている』という考えこそが間違っている(かもしれない)

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