融資を受けたばかりで同じ銀行から融資を受けるのは難しい。
ならば、他の銀行からなら融資を受けられるのか? との質問について、お答えをしていきます。
このあいだお貸ししたばかりでしょ? と言われないために。
会社・事業における銀行融資について。次のようなご質問を受けることがあります ↓
「融資を受けたばかりだけれど、他の銀行からなら融資は受けられるのか?」
良いか悪いかは別にして(はっきり言って「悪い」ですが)、借りたばかりだけれど、また借りたい。そういうハナシです。
ここで「他の銀行なら」と言うのは。「同じ銀行なら」難しいであろう… と察しているから、ということになります。
実際、いちど融資を受けたら、少なくとも2〜3ヶ月ていどはあいていないと、同じ銀行からまた融資を受けるのは難しいでしょう。銀行にしてみれば「このあいだお貸ししたばかりでしょ?」と。
そう考えると。できれば、半年ていどの期間はあけたいところです。
とはいえ、いまは融資が必要だ。同じ銀行がダメなら、他の銀行だったらどうなんだ? というのが冒頭の質問です。
この質問に対する回答として。このあと、次のようなお話をしていきます ↓
- そもそも他の銀行のことはわからない
- 通帳、返済予定表、決算書などからわかることはある
- 信用保証協会付き融資であればわかってしまう
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
ここでの融資は、いわゆる「運転資金」の融資を前提としています。運転資金をたびたび融資することは難しい、ということです。
これに対して「設備資金」の融資については、あらたな設備投資であればそれはそれ、との見方があります。つまり、設備投資の内容しだい、ということです。
融資を受けたばかりでも他の銀行からなら融資は受けられる?
そもそも他の銀行のことはわからない
たとえば、「A銀行からこのあいだ 1,000万円の融資を受けた」ことを、B銀行が知ることはできるか? と言えば。基本的には、知ることはできません。
銀行同士で情報をやりとりしている・やりとりできるわけではないからです。
したがって、こちらから言わない限りは、B銀行は「A銀行から融資を受けた」ことを知ることはできない。というのが、そもそもの話となります。
であるならば。もし、B銀行から「最近、融資は受けましたか?」と聞かれても黙っている、あるいは、「受けていない」とウソをつくこともできるのではないか。と、思われるかもしれません。
ただし、B銀行には、A銀行ほか自社が取引している銀行からの融資を把握する「術(すべ)」があることは理解しておきましょう。
ではいったい、どのような術があるのか? というのが、このあとのお話です。
通帳、返済予定表、決算書などからわかることはある
銀行から融資を受けようとする際に、いろいろと提示を要求されるモノがあります。
たとえば、通帳、返済予定表、決算書など。なお、ここで言う「通帳」「返済予定表」は、他の銀行の分も含みます。
つまり、B銀行から融資を受けるにあたって、「A銀行の通帳や返済予定表を見せて」と言われることがあるわけです。
これにより、B銀行は「A銀行から融資を受けた」と知ることができます。こちらが黙っていたり、ウソをついたとしてもバレてしまう。
ちなみに。B銀行が、A銀行など他の銀行の通帳や返済予定表を要求するのは、融資の有無を確認するためだけではありません。
他の銀行からの融資について、返済が遅れていたり、滞っていたりしないかを確認する。そのような目的もあって、通帳や返済予定表を要求しているのです。
その結果、返済が遅れていたり、滞っていたりすれば、当然に融資は受けにくくなります。たとえ黒字で業績が良い会社などでも、返済に問題があることを理由に融資を断られることは少なくありません。
口座の残高不足でうっかり返済が遅れてしまった、などということがないように気をつけましょう。
また、銀行は決算書からも、他の銀行の融資を確認しています。
具体的には、決算書に付属してる「勘定科目内訳明細書」という書類です。勘定科目内訳明細書のなかには、借入金の内訳明細を記載もありますので、そこから各銀行ごとの融資残高を知ることができます。
毎年の勘定科目内訳明細書を並べてみて、各銀行の融資が増えているか減っているか、おおむねの動きを把握する。銀行はそのようにして、他の銀行の動向に注目していることを覚えておきましょう。
銀行は「他の銀行が貸せばウチも貸す、他の銀行が引けばウチも引く」、良くも悪くも横並びの傾向があります。
信用保証協会付き融資であればわかってしまう
銀行同士で情報をやりとりしている・やりとりできるわけではない、と前述しました。
それでも銀行が、他の銀行からの融資を知る「術」として、「信用保証協会付き融資」が挙げられます。
信用保証協会付き融資の場合には、どの銀行から融資を受けるにしても、結局は同じ信用保証協会の保証を受けることになります。するとなにが起きるか?
たとえば、このあいだA銀行から信用保証協会付き融資を受けたばかりだとします。
そのうえでいま、B銀行に融資を依頼する。その融資が信用保証協会付きであれば、B銀行は信用保証協会に保証の可否を打診します。
すると、信用保証協会から「このあいだ保証したばかり」だと断られてしまう… これにより、B銀行は「A銀行から融資を受けたばかり」だと知ることになります。会社が黙っていても・ウソをついてもバレてしまう。
なお、信用保証協会もまた、前回の融資から半年くらいはあいだをあけないと、次の融資を受けるのは難しいものです。
また、あいだがあいていたとしても。信用保証協会には保証の「枠(上限)」が決まっていますから、枠がいっぱいであれば融資を受けることはできません。
枠はすべての銀行で共通、一社あたりの枠であることも理解しておきましょう。
ところで、A銀行から融資を受けたばかりだとしても、B銀行からプロパー融資であれば、融資を受けられる可能性があります。プロパー融資には、信用保証協会付き融資のような枠もありませんので。
とはいえ。A銀行から借りたばかり、ということがB銀行に知られたすれば、やっぱり「このあいだ借りたばかりですよね」とも思われるでしょう。
このあいだ借りたばかりでまた借りるんですか? ということであり。つまりは、「無計画な借入」をしている相手を警戒している、ということです。
融資を受けたばかりでまた借りる。その借り方自体に問題があることは忘れないようにしましょう。
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まとめ
融資を受けたばかりでも、他の銀行からなら融資は受けられるのか? という質問についてお話をしてきました。
結論として、融資を受けられる可能性はあるかもしれませんが。そもそも、「融資を受けたばかりで、また融資を受けたい」という借り方に問題があることを忘れてはいけません。
そのような借り方は「無計画」と言わざるをえず、資金繰りの破たんに導くものです。「おカネが無くなったから借りる、また無くなったら借りる」ということがないように気をつけましょう。