国が「緊急かつ大規模」に展開するコロナ対応融資といえども、絶対に受けられるわけではありません。
必要な融資が受けられなかった…ということがないように。必要な銀行対応を押さえておきましょう。
コロナ融資は絶対に受けられるわけではない
本記事の投稿日現在(2020年3月24日)、新型コロナウィルスの影響により、多くの会社・個人事業者が厳しい資金繰りに苦しんでいます。
そこで、国も「緊急かつ大規模」な資金繰り支援を展開しているところです。おもなものとしては、
- 日本政策金融公庫の「新型コロナウィルス感染症特別貸付」
- 経済産業省が主導する「セーフティネット保証(4号、5号)」「危機関連保証」
上記の「新規融資」に加えて、既存の融資については、各金融機関に対して「条件変更(いわゆるリスケ)」も要請しています。
これら国の資金繰り支援は、かつてのリーマン・ショックや東日本大震災と並ぶ、あるいはそれ以上の対応だと言ってよいでしょう。それほど、会社・個人事業者の資金繰りが危機的状況にある、ということです。
いっぽう、コロナ対応融資を利用しようとする会社・個人事業者の言動を見聞きしていると。「必要な銀行対応」ができていないケースが散見されます。
結果、融資が受けにくくなる。国の緊急かつ大規模な支援とはいえども、融資が受けられないことはあります。コロナ対応融資は、「絶対に受けられる融資」ではないのです。
必要な融資が受けられなかった…ということがないように。コロナ対応融資をはじめ、資金繰りが厳しい会社に必要な銀行対応を押さえておきましょう。こちらです ↓
- 前向き
- 書類の準備
- 平時のときこそ借入
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
コロナ融資でわかった!資金繰りが厳しい会社に必要な銀行対応
前向き
銀行が融資をする相手は、「貸したおカネを返してもらえる相手」に限られます。返してもらえるなら貸す。コロナ対応融資も例外ではありません。
したがって、いまは自社が危機的状況であっても、「将来には返済できる」という姿勢で銀行対応をすることが必要です。
逆に、「返済できるかどうかはわからない…」「先のことはどうなるかわからない…」などの後ろ向きな発言をしてはいけません。返してもらえないなら貸すことはできない、ということになりかねません。
実際に、日本政策金融公庫の「新型コロナウィルス感染症特別貸付」について、「ご利用いただける方」には以下のように書かれています ↓
・・・(中略)・・・中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれる方
上記のとおり、いずれは回復する、いずれは発展することが前提です。いずれは、借りたおカネもきちんと返せることが前提なのです。
もちろん、現状が厳しいのはわかります。先が見えないこともわかります。けれども、コロナウィルスに関して言えば、いずれはワクチンや治療薬もできることでしょう。
だから、世の中が元に戻ったときのことを前提にして、銀行対応をすることです。だれにも先のことはわかりませんが、「もしも、コロナウィルスが収まったらこうなる」という話でよいのです。
中長期的には回復・発展する、という「前向き」な姿勢で話をするようにしましょう。
コロナ対応融資に限らずですが、資金繰りが厳しい会社の銀行対応を見聞きしていると、「後ろ向き」であることが少なくありません。「返済できるかどうかはわからない…」「先のことはどうなるかわからない…」との姿勢で銀行対応をしている会社です。
これでは受けられるはずの融資も受けられなくなってしまいます。いかなるときも銀行対応は「前向き」に。覚えておきましょう。
ゆえに、状況が厳しい会社は「経営改善計画書」を作成・提示することで、銀行にも納得してもらう。というのがセオリーです。
ただし、コロナ対応融資については、緊急性が高いこともありますので、銀行からそこまでを要求されるものではありません。
書類の準備
銀行融資を受けるうえで、書類の準備が必要になります。緊急性が高いコロナ対応融資では、書類も最小限という感じではありますが、それでもゼロではありません。
にもかかわらず。急いでいるからといって、書類の準備もそこそこに融資を受けようとする会社があります。
やめましょう。融資を受けられるのが遅くなるばかりです。
銀行は「先着順」で融資をしているように見えますが、実際には「優先順位」があります。言うまでもなく、書類の準備が整っている会社が先です。書類がそろっていないような会社は後回し。
したがって、融資を受けに行くのであれば、できる限りの書類をそろえてから、書類を準備してから行くようにしましょう。
コロナ対応融資に関して言うと。前述したとおり、書類は最小限、それほど多くはありません。また、書き方についても、記載例やマニュアルが丁寧に用意されている印象があります。
それらを参考に、できるだけの書類を準備する。それでもわからないことだけを現地(受付窓口)で聞く、という対応がおすすめです。これなら、優先順位も上がるはず。
なお、コロナ対応融資では「売上高の減少」が要件とされています。この点で、売上高の金額の「根拠」として、「試算表」は必須だと言ってよいでしょう。
試算表以外にも、売上台帳や法人事業概況説明書などでもOKとはなっていますが、会社が自身の数字をつかむにあたって「試算表」は欠かすことのできないツールだからです。
その試算表がない、つくっていない、ということになれば… おカネを貸す側の心理としては「心配」ですよね。だから融資は受けられない、ということではないにせよ、「試算表は在るべきもの」と考えておきましょう。
コロナ対応融資は別にして、通常の融資であれば、試算表無しに融資を受けるのは難しいものがあります。
試算表がなければ、銀行は「会社の状況(売上以外にも)」を把握することができません。よくわからない会社には融資がしづらい。
また、銀行からは「自社の状況も把握もできないまま経営してんの?」との見方をされてしまいます。そんな会社に融資をするのは心配だ… という銀行の心理を理解しましょう。試算表は欠かせません。
[ad1]平時のときこそ借入
今回のコロナ対応融資に駆け込んだ会社のようすを見聞きしていると、「そもそも資金繰りに問題があった」というケースは少なくないようです。
新型コロナウィルスによる影響が大きくなりはじめたのが2月。翌月の3月には、多くの会社がコロナ融資に殺到している状況です。これに関連して「中小企業の手元資金は1カ月分程度」との報道もありました。
これらのようすから、「そもそも資金繰りに問題があった」と考えられます。つまり、平時から手元資金が少なすぎたのではないか? ということです。
わたしは、会社の銀行融資・銀行対応のお手伝いをしています。そのときにお伝えしているのは、「売上高半年分の手元資金(預金残高)を持ちましょう」です。
売上高半年分は難しいとしても、少なくとも売上高の3ヶ月分の手元資金を持つ。これであれば、3ヶ月のあいだ売上高がゼロでも、なんとかしのげることになります。
この点で。手元資金を自己資金で用意できないのであれば、銀行から借りることもひとつの方法です。ポイントは、平時のときこそ借入をしておくことです。
今回のように不測の事態ともなれば、国の支援もあるでしょう。けれども、あまりに少ない手元資金では、支援が間に合わないのはありうることです。
そんなことにはならないように。平時から、借りてでも手元資金を積み上げておく。結果として、今回のような不測の事態にも落ち着いて対応できます。
平時のときには、「いまはだいじょうぶ」「余計な借入はしない」と考えがちなところです。ともすれば、手元資金を減らしてまで借入を返済しようとします。
けれども、不測の事態が起きることは、新型コロナウィルスの問題でわかったはずです。平時から手元資金を積み上げる。平時のときこそ、借入をしてでも手元資金を積み上げておく。
ちなみに。借りたおカネは使わずに持っている限り、借入をしていないと同じです。過度に借金を恐れないようにしましょう。
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まとめ
国が「緊急かつ大規模」に展開するコロナ対応融資といえども、絶対に受けられるわけではありません。
必要な融資が受けられなかった…ということがないように。コロナ対応融資をはじめ、資金繰りが厳しい会社に必要な銀行対応を押さえておきましょう。
- 前向き
- 書類の準備
- 平時のときこそ借入