創業融資で失敗をすれば、必要なおカネを準備できずに、創業自体が難しくなってしまいます。
というわけで。創業融資のよくある失敗パターンを押さえておきましょう、というお話です。
失敗すれば、創業ができない。
会社事業を始めるときの資金調達の方法として、創業融資があげられます。公的金融機関である日本政策金融公庫の新創業融資制度は代表格です。
そんな創業融資について、よくある失敗パターンをまとめてみました。
もしも創業融資で失敗してしまえば、つまり、創業融資を受けられなければ。必要なおカネを準備できずに、創業自体が難しくもなるところですから。
よくある失敗パターンは、ぜひとも押さえておきましょう。具体的には、こちらになります ↓
- 創業動機が曖昧
- 自己資金が不十分
- 経歴が不十分
- 総事業費が大きすぎる
- 数値計画が妥当ではない
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
創業融資のよくある失敗パターン
《パターン1》創業動機が曖昧
創業融資を受けるときには、銀行から創業動機を聞かれます。
日本政策金融公庫の創業融資では、申し込みのときに提出する「創業計画書」に、創業動機を記載する欄があります 。
ここでの失敗パターンは、創業動機が曖昧であることです。
銀行は創業動機を通じて、その事業が成功しそうかどうかを見ています。
ですから、良い店舗物件が見つかったとか。じゅうぶんな見込み客が集まったとか。事業が成功する、と言える根拠が欲しいところです。
言い換えると、「いまが創業のベストタイミングかどうか?」ということでもあります。
前述したように「事業が成功する根拠」があれば、ベストタイミングと言えますが。根拠がなければ、ベストタイミングとは言えません。
たとえば、脱サラをしてなんとなく開業…となると。ベストタイミングとはいえない。つまり、創業動機としては曖昧であり、事業が成功する可能性は低いと見られてしまいます。
したがって、創業動機を「曖昧」にしない。事業が成功する、と言える「根拠」を示す。
いまが創業のベストタイミングだ、ということを伝えられるようにしましょう。
《パターン2》自己資金が不十分
創業融資において、「自己資金(じぶんのおカネ)の有無」はとても重要なポイントになります。
端的に言うと。自己資金が多ければ多いほど、創業融資は受けやすくなる。逆に、自己資金が少なければ少ないほど、創業融資は受けにくくなる。
なぜならば。自己資金が多いということは、創業に向けて準備をしていたということでもあり。創業に対する覚悟や熱意がある人だ、というのが銀行の見方だからです。
逆に、自己資金が少ないということは。準備不足であり、創業に対する覚悟や熱意が乏しい、と見られることになります。
この点で。貯金がほとんどない、自己資金がほとんどない。なので、足りない分は親から借りる、銀行から借りる。これは、創業融資の失敗パターンに当たります。
また、金額の多い少ないとは別に、どれだけの時間をかけて自己資金の準備をしているか?も重要なポイントです。
毎月少しの金額だとしても、毎月ずっと貯金を続けてきたというのであれば。堅実さや計画性を感じられるところであり、銀行からはプラスの評価を得られるところでしょう。
したがって、創業にあたってはいかに自己資金を準備するか。そして、自己資金の準備ができた段階で、創業融資の申し込みをすることが大切です。
ちなみに。希望の融資額に対して、自己資金の金額は「半分以上」、少なくとも「1/4以上」を目安に考えておきましょう。
《パターン3》経歴が不十分
日本政策金融公庫の創業融資で、提出を求められる創業計画書には「経歴(経営者の略歴等)」を記載する欄があります。
この経歴については、これから始める事業の経験がどれだけあるか? がポイントです。経験があるほど事業がうまくいく可能性は高く、経験が短いほどうまくいく可能性は低い。それが銀行の見方になります。
したがって、経歴を伝えるときには、「これから始める事業」との関連性がわかるように。ということを注意しましょう。
この点で。経歴の記載欄に、入社年月や会社名・所属部署・役職などをただただ列挙するのは、創業融資の失敗パターンにあたります。
記載するのであれば、それぞれの会社それぞれの部署で、じぶんが何を身につけたのか? を併せて記載すること。
「これから始める事業」に関連すること、必要なことを中心に、これまで身につけたことをアピールするようにしましょう。
そういう意味では、「これから始める事業」と同じ業種の経歴がなかったとしても、アピールできることはあるはずです。
たとえば、どこかの会社で管理職に就いていたのであれば。そこでは「マネジメント業務」に関わっていたことでしょう。
マネジメント業務は、どんな事業の社長にも共通して必要なものですから、経歴面でプラスの要素になるものと考えられます。
いずれにせよ。経歴を列挙するだけ、ということがないように。くれぐれも気をつけましょう。
《パターン4》総事業費が大きすぎる
創業融資の失敗パターンとして。総事業費が大きすぎる、というものがあります。
ここで言う「総事業費」とは。創業にあたって必要なおカネの総額。言い換えると、「自己資金 + 借入金」の金額です。
たとえば、自己資金が 300万円、希望の創業融資が 700万円だとすると。総事業費は、1,000万円ということになります。
この総事業費について、1,000万円はひとつの目安です。1,000万円より大きければ総事業費としては大きすぎる。
初めて事業をするのであれば、まずは小さく始めてほしい。小さく始めて、成功を重ねながら、大きく育ててほしい。それが、銀行の考え方です。
したがって、総事業費はできるだけ小さい方がいい。多くても、総事業費は 1,000万円までがポイントになります。
もし総事業費が 1,000万円を超えるというのであれば、創業計画を見直してみましょう。
たとえば、設備の金額を減らすことができないか。設備の数を減らすという考え方もありますし、中古の設備にすることで金額を抑えるという考え方もあります。
また、家賃や人件費などの経費を減らすことができないか。 店舗であれば、スペースを抑える、あわせて人員を抑えることなどを検討してみましょう。
創業に対する意気込みや創業に対する期待から、総事業費は大きくなりがちなので注意が必要です。
《パターン5》数値計画が妥当ではない
創業融資では、数値計画も審査の対象になります。
日本政策金融公庫の創業融資で言えば、創業計画書のなかにある「事業の見通し」が数値計画に当たるものです。
当然ながら、その数値計画が妥当であるかどうか? は審査のポイントになります。
この点で。売上の金額が大きすぎる、結果として、利益の金額が大きすぎる数値計画は、創業融資の失敗パターンです。
数値計画をつくる際、いくら売れるか? いくら売りたいか? という視点から始めるケースが少なくありません。
すると、創業者の熱意なのか、自信のあらわれなのか。売上は大きくなりがちであり、結果として利益が大きくなります。
これを見た銀行が考えることは、「あまりに楽観的に過ぎるのではないか?」「こんなに儲かるのなら融資は必要ないだろう」ということです。
また、売上の金額が大きければ大きいほど。どうしてそんなに売れるのか? その根拠を提示するよう求められます。
とはいえ。実際には、明確な根拠を提示するのは難しいことでもあるでしょう。
ですから、売上が大きすぎる、利益が大きすぎるという数値計画にならないように。注意が必要です。
具体的には、「必要な利益」から、その利益を出せる売上の金額を逆算する方法がおすすめになります 。
なお、「必要な利益」とは、「創業融資を返済していけるだけの金額」です。
たとえば、創業融資 300万円を、毎月 5万円ずつ・毎年 60万円ずつ、5年で返済していくのであれば。毎月 5万円・毎年 100万円の利益が必要になります。
これを受けて、月5万円・年 60万円の利益が出せるだけの売上高を逆算する。という計画の立て方をしてみましょう。
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まとめ
創業融資で失敗をすれば、必要なおカネを準備できずに、創業自体が難しくなってしまいます。
そのようなことがないように創業融資のよくある失敗パターンを押さえておきましょう。
- 創業動機が曖昧
- 自己資金が不十分
- 経歴が不十分
- 総事業費が大きすぎる
- 数値計画が妥当ではない