銀行が見ている『他行とのお付き合い』5つのポイント【銀行融資】

銀行が見ている『他行とのお付き合い』5つのポイント【銀行融資】

銀行は会社に融資をするにあたって、その会社が他行とどのような付き合いかたをしているかを見ているものです。

そこで。銀行が見ている「他行とのお付き合い」について、5つのポイントをお話していきます。

目次

「他の銀行との付き合いかた」を見られている。

銀行は会社に融資をするにあたって、その会社の「いろいろ」なところを見ているものです。

決算書や試算表、資金繰り表などといった「数字」はもちろん、数字以外の面も銀行は見ています。たとえば、「他行とのお付き合い」。

つまり、その会社が他の銀行とどのような付き合いかたをしているか、他の銀行からどのような融資の受けかたをしているか。

そのあたりを銀行からは見られていることを会社は知っておくとよいでしょう。他行とのお付き合いは、融資の受けやすさに影響するところでもあるからです。

では、銀行が見ている「他行とのお付き合い」とは? おもなポイントは5つ、こちらです↓

銀行が見ている「他行とのお付き合い」5つのポイント
  1. メインバンクはどこか
  2. 担保・保証の状況
  3. 預金と借入のバランス
  4. 預金取引の有無
  5. 付き合いの長さ

それではこのあと、順番に見ていきましょう。

 

銀行が見ている「他行とのお付き合い」5つのポイント

《ポイント1》メインバンクはどこか

銀行が見ている「他行とのお付き合い」、1つめのポイントは「メインバンクはどこか」です。メインバンクの明確な定義はありませんが、ここでは「融資残高がいちばん大きな銀行」と考えます。

たとえば、A銀行、B銀行、C銀行の3つお付き合いをしている会社があったとして。それぞれの融資残高が、A銀行 5,000万円、B銀行 2,500万円、C銀行 1,500万円であれば(融資残高の総額 9,000万円)。融資残高がいちばん大きいA銀行をメインバンクだと考えるわけです。

これに対して、3つの銀行すべてが同じ融資残高 3,000万円だとしたらどうでしょう(融資残高の総額 9,000万円)。銀行からしてみたら、「メインバンクはどこだろう?」ということになります。言うなれば、「メインバンク不在」の状況です。

メインバンクの役割のひとつに、「会社が厳しいときの積極的な支援」が挙げられます。通常は、会社が厳しいときの融資は難しいものですが、みなが厳しくしたら会社はもちません。そこで、メインバンクが「メインバンクの役割」として支援をする、融資を検討する。そんな感じです。

にもかかわらず、メインバンク不在であれば、銀行としては不安になります。会社が厳しいときにも支えていくれる銀行が無い、ということになるからです。

したがって、会社は「メインバンク」を明らかにできるような付き合いかたをしましょう。そのときどきで借りやすい銀行から場当たり的に融資をうけていると、メインバンク不在の状況になってしまいます。

会社が厳しいときなどには、融資が受けにくくなることが考えられますので気をつけましょう。

《ポイント2》担保・保証の状況

銀行が見ている「他行とのお付き合い」、2つめのポイントは「担保・保証の状況」です。銀行は、他の銀行がどのような担保をとっているか、どのような保証をとっているかを見ています。

たとえば、A銀行、B銀行、C銀行の3つお付き合いをしている会社があったとして。それぞれの融資残高が、A銀行 5,000万円、B銀行 2,500万円、C銀行 1,500万円だとします。

このとき、A銀行ばかりが担保をとっていたり、A銀行ばかりが信用保証協会付き融資をしていたりであればどうでしょう?

B銀行やC銀行からしたら、おもしろくありませんよね。じぶんたちは担保も保証もなく、リスクをとって融資をしているのに。A銀行だけズルい。そう考えたくもなるでしょう。

すると、B銀行やC銀行から融資を受けるのは難しくなるものです。

したがって。担保や保証は、お付き合いをしている銀行に「不公平」がないように、と考えましょう。会社が意図して「不公平」にしているケースはともかく、意図せず「不公平」になっているケースはあるものです。

典型的な例は、メガバンクからの融資です。中小企業がメガバンクから融資を受ける場合、そのほとんどは「信用保証協会付き融資」であり、「プロパー融資(信用保証協会の保証が無い融資)」はまずありません。メガバンクは、中小企業に対する融資でリスクを取りたくないからです。

結果として、メガバンクから融資を受けたがるような会社は、メガバンクからの融資だけで信用保証協会付き融資を使い切ってしまいます(信用保証協会付き融資には限度額があります)。

本来、信用保証協会付き融資とあわせてプロパー融資を引き出すのが、銀行融資のセオリーなのに。それができなくなってしまいます。

ですから中小企業は、メガバンクではなく、地方銀行や信用金庫・信用組合から信用保証協会付き融資を受ける。そのうえで、プロパー融資もあわせて引き出すことを覚えておきましょう。

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《ポイント3》預金と借入のバランス

銀行が見ている「他行とのお付き合い」、3つめのポイントは「預金と借入のバランス」です。銀行は、会社がお付き合いしている銀行それぞれの預金と借入がどれくらいあるかを見ています。

そもそも、融資をしている銀行は「預金を欲しがっている」ことを理解しておきましょう。端的に言うと、預金があれば融資をしていても安心だし、儲かるからです。そのあたり、くわしくはこちらの記事をどうぞ↓

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ではたとえば、A銀行、B銀行、C銀行の3つお付き合いをしている会社があったとして。それぞれの融資残高が、A銀行 5,000万円、B銀行 2,500万円、C銀行 1,500万円だとします。

このとき、それぞれの銀行に対する預金残高が、A銀行 500万円、B銀行 2,500万円、C銀行 500万円だったらどうでしょう。A銀行としてはおもしろくありませんよね。

預金残高は、融資残高の大小にあわせるようにするのがベストです。言い換えると、融資残高のシェアと預金残高のシェアをあわせる。

もちろん、完全にあわせるのは難しいことですし、手間もかかるでしょう。融資を受けるのは信用金庫、売上入金口座はメガバンクといったこともあるからです。

それでも、「できるかぎり」の範囲で、融資残高のシェアと預金残高のシェアをあわせることを考えてみましょう。それが、銀行が望んでいることであり、結果として融資が受けやすくもなるからです。

《ポイント4》預金取引の有無

銀行が見ている「他行とのお付き合い」、4つめのポイントは「預金取引の有無」です。さきほど、「預金残高」の話をしましたが、銀行は「預金取引」についても気にしています。

たとえば、A銀行もB銀行も同じ預金残高だとして。A銀行では、その預金口座のなかで、売上入金や仕入・経費の支払いなどの取引がある。かたやB銀行は、預金残高があるだけで取引はまったくない。ただ、預金が置いてあるだけ。

この場合、B銀行としては「取引」が欲しいところです。なぜなら、取引があれば手数料収入も増えるし、取引内容から会社のようすがよくわかるようにもなるからです。

なので銀行は、その会社の預金取引がどの銀行でされているのかを気にしています。そして、その取引を自行に移してもらえないかと考えています。

会社は、銀行のそのような考え方を理解して、「どの銀行で預金取引をするか」を検討するようにしましょう。「預金取引」は、融資を引き出す交渉材料にもなるということです。

《ポイント5》付き合いの長さ

銀行が見ている「他行とのお付き合い」、5つめのポイントは「付き合いの長さ」です。それぞれの銀行と、どれくらいの期間付き合いがあるのかを銀行は見ています。

もしも、いまお付き合いしている銀行が、どこも付き合いが短いものばかりという会社があったとしたらどうでしょう?

その会社は、いろいろな銀行から場当たり的に融資を受けている可能性があります。そのときどきで、いちばん金利が低い銀行から融資を受けている。場合によっては、金利が高い銀行の融資を借り換えてしまうような会社です。

すると。どこの銀行ともお付き合いが浅いので、深い関係を築くことができず、会社の状況が厳しくなった場合などには、支援を受けられない… ということが考えられます。

これは「メインバンク不在」ということでもあり、他の銀行からしても融資をしにくい状況だと言えるでしょう。

また、場当たり的に融資を受けるような会社であれば、銀行としては「いつじぶんが他の銀行に借り換えられるかわからない」という不安もあります。「だったら、そもそも融資をしないほうがいい」ともなりかねません。

銀行は、じっくり腰を据えて、長くお付き合いできる会社を探しているものです。付き合う銀行をあまり頻繁に変えていると、どの銀行とも付き合いの長さが短く、結果として融資を受けにくくなる可能性があります。気をつけましょう。

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まとめ

銀行は会社に融資をするにあたって、その会社が他行とどのような付き合いかたをしているかを見ているものです。

他行とのお付き合いは、融資の受けやすさに影響するところでもありますから。銀行がどのようなところを見ているのか、ポイントを押さえておきましょう。

銀行が見ている「他行とのお付き合い」5つのポイント
  1. メインバンクはどこか
  2. 担保・保証の状況
  3. 預金と借入のバランス
  4. 預金取引の有無
  5. 付き合いの長さ
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