銀行融資について。「できるだけ金利は低く!」が社長の思いでしょう。
けれども、銀行融資で金利交渉をやりすぎるデメリットには気をつけて。というお話をしていきます。
金利引下げが社長の悲願ではあるけれど。
会社が銀行から受ける融資について。できるだけ金利は低く! という思いが、社長にはあるでしょう。そこで、金利を下げるための交渉をする。
とはいえ、金利交渉をやりすぎることによる「デメリット」があることは理解しておきましょう。意外と気づかぬままに、金利交渉をやりすぎている社長もいるものです。
では、そのデメリットとは? 具体的には次の3つになります↓
- コスパが悪い
- 銀行に嫌われる
- 銀行選びを間違える
どれも、大きなデメリットだと言えますので。このあと、順番に確認していきましょう。
銀行融資で金利交渉をやりすぎる社長のデメリット3選
【デメリット1】コスパが悪い
0.1%の金利を引き下げるのに「躍起」になっている社長がいます。もちろん、金利を引き下げること自体に間違いはありません。
けれども、「躍起」になってまでやるほどのものかどうか? は考えるようにしましょう。
たとえば、金利2%で 1,000万円の融資を受けている会社があるとして。社長が「なんとしても、金利を下げたい! たとえ 0.1%でも」と考えているとします。
では、0.1%下がったときの「効果」はいかほどか? 計算をしてみましょう。こちらです↓
1,000万円 × 0.1% = 1万円
というわけで、金利を 0.1%下げることによる効果は、年間1万円。ひと月あたりにすると 833円です(返済が進めば、効果はもっと小さくなります)。
833円を大きいとみるか、小さいとみるか。個人差はあるところでしょうが。社長の時間や体力・気力は「貴重」なのですから、833円のためにどこまで社長が「躍起」になるのか? ということです。
0.1%の金利を下げるのに、社長がなんども銀行と交渉をする。時間を使って、体力も使って、気力も使って… その分、社長がやるべき「経営」が手薄になるのだと考えると。この金利交渉は、「コスパが悪い」とも言えるのではないでしょうか。
交渉に充てた時間を「経営」に使えば、ひと月あたり 833円以上の利益を増やすことだってできたのではないでしょうか。
交渉をすることで、金利が1%、2%下がるのであれば別ですが。いまは、そもそも「低金利」の時代です。交渉によって下げられる金利は限られています。
金利に無頓着ではいけませんが(銀行の「言い値」になりかねないので)、躍起になってまで交渉するかどうか、コスパも考えるようにしてみましょう。
コスパが悪くなるのは、金利交渉をやりすぎるデメリットのひとつです。
【デメリット2】銀行に嫌われる
さきほど、金利2%で 1,000万円の融資を受けている会社の例を挙げました。この融資について、銀行の側から考えてみましょう。
金利2%、1,000万円の融資で、銀行が得られる利息収入は次のとおりです↓
1,000万円 × 2% = 20万円
これは、「借りた当初」の「年間」の利息収入の金額になります(返済が進めば、金額は減っていきます)。ひと月あたりにすると、16,666円です。これが、自社の商売だと考えたらどうでしょう?
1,000万円のおカネを使って、ひと月に得られる収入は 16,666円。そこから、銀行員の人件費やら、支店の家賃やらを引いたら、残りの利益は…? なかなか厳しい商売ですよね。
前述したとおり、いまは「低金利」ですから。金利が高い時代であればともかく、いまは銀行もタイヘンだよなぁ、ということがわかります。
そこへきて、社長が躍起になって金利交渉をしてきたら。銀行としては「勘弁してくれ」といったところでしょう。それでも下げざるを得ないとなれば、銀行の利益はいっそう少なくなってしまいます。割に合わない。
じゃあ、割に合わない会社を好きになれますか? なれませんよね、というお話です。
別に、銀行に好かれなくてもかまわない。社長はそう思うかもですが、ハナシはそうかんたんではありません。銀行から好かれない、つまり、銀行から嫌われるということは、融資が受けにくくなるということだからです。
金利を引下げたことによって、銀行の利幅が減れば。銀行は、その会社に対して担当者を行かせたくもなくなるでしょう。時間や手間をかけても、そのコストを回収できませんので。
銀行が来なくなる、ということは。銀行からの融資提案がなくなる、ということでもあります。
銀行融資は、こちらからお願いをすると受けにくくなるものです(平たく言うと、足元を見られる)。逆に、銀行のほうからお願い(=提案)されるのであれば、当然、融資が受けやすくなりますね。
ですから、金利交渉をやりすぎて銀行に嫌われる。提案が受けられなくなるのはデメリットであることを覚えておきましょう。
【デメリット3】銀行選びを間違える
金利を引き下げるにあたって、銀行同士を競争させるのは常套手段です。むしろ、競争がなければ金利を引き下げることはできません。
ところが。競争をさせたうえで、そのときどきで、いちばん金利が低い銀行とばかりお付き合いをしていると。会社は銀行選びを間違えてしまうことがあります。
たとえば、年商 5,000万円の会社があったとして。A地方銀行からは金利 1.5%で、B信用金庫からは2%の融資を提案されているとします。
金利だけで見れば、圧倒的にA地方銀行です。けれども、この会社の年商規模だと、一般的にはB信用金庫のほうが「規模感」として合っています。
信用金庫のほうが地方銀行よりも小さいことから、年商 5,000万円の会社であれば、A地方銀行よりもB信用金庫のほうが「上客」として見てもらえるはずです(目安として、地方銀行は年商1億円超の会社が合っています)。
上客として見てもらえれば、いざというとき(業績悪化時など)にも「親身」になってもらえる可能性が高いと言えます。いざというときにも、借りやすい、ということです。
逆に、金利が低くても借りられなければ、いざというときには困ってしまいます。
金利は低いに越したことはありませんが、「自社が付き合うべき銀行はどこか?」という中長期的な視点もふまえて考える。これが大切です。
また、そのときどきで、いちばん金利が低い銀行とばかりお付き合いをしている、つまり、銀行をとっかえひっかえしていると。銀行からは「節操がない会社だなぁ」と思われてしまいます。
金利しだいで乗り換えられてしまう、と考えると。銀行としては、中長期的なお付き合いを考えにくくなるでしょう。やはり、いざというときに融資を受けにくくなるところですから、注意しなければいけません。
銀行融資は、中長期的な視点で銀行選びを考えることが大切です。にもかかわらず、金利交渉をやりすぎると、銀行選びを間違える。結果として、融資が受けにくくなる。これは、金利交渉をやりすぎることのデメリットです。
銀行融資におすすめのメニュー
モロトメジョー税理士事務所では、「銀行融資のサポート」をするメニューをそろえています! 当事務所は経営革新等支援機関の認定を受けています。
銀行融資の記事まとめページ
銀行融資入門セミナー
銀行融資・財務のコンサルティング
銀行融資の個別相談
まとめ
銀行融資について。「できるだけ金利は低く!」が社長の思いでしょう。
けれども、銀行融資で金利交渉をやりすぎるデメリットには注意しなければいけません。ぜんぶで3つ、どれも大きなデメリットです。
- コスパが悪い
- 銀行に嫌われる
- 銀行選びを間違える