一見すると、効率も良さげでカッコよくも見える「マルチタスク」ではありますが。マルチタスクには「害」もある。
ということで。脱マルチタスク、シングルタスカーになる5つの方法について、お話をしていきます。
マルチタスクの「害」を知る
マルチタスクとは、文字どおり、複数(マルチ)の作業(タスク)を同時に実行することを言います。マルチにタスクをこなす姿は、一見すると、効率も良さげでカッコよくも見えるものです。
ところが。マルチタスクには「害」があることは知っておいたほうがいいでしょう。おもに、3つの害が挙げられます↓
- できているつもり
- もっとやりたくなる
- アタマが悪くなる
これら3つの害について、カンタンに確認をしていきましょう。
【害1】できているつもり
オレは・ワタシは、マルチタスクができている! という人のほとんどが、実は「できているつもり」にすぎない… というハナシがあります。
複数の作業を「同時に実行」しているように見えて、単に複数の作業を「切り替えている」だけ。切り替えるたびに少なからずロスが生じるため、けして効率的とは言えない。と、そんなハナシです。
たとえば、テレビを見ながら勉強する場合。「テレビを見る」と「勉強」を同時に実行しているのではなく、「テレビを見る」と「勉強」を高速で切り替えているだけ… ということになります。
このとき、脳は切り替え前の作業にしばらく意識が残るため(注意残余、と呼ばれます)、切り替え後の作業はおのずとパフォーマンスが低下するのが問題です。
【害2】もっとやりたくなる
マルチタスクには、中毒性があります。マルチタスクをするほど、もっとマルチタスクをしたくなる。結果として、パフォーマンスが落ちるのですから問題です。ではなぜ、中毒性があるのか?
それは、マルチタスクをすることで、快楽物質であるドーパミンが分泌されるからです。マルチタスク、気持ちいい! となるからです。
大昔、ヒトはさまざまな危険と隣合わせで生きていました。突然、猛獣に襲われる危険。他の部族にじぶんたちの領域を侵される危険などに、絶えずアンテナを張り巡らせる必要がありました。
これはまさにマルチタスク状態であり、生き抜くためにはマルチタスクが欠かせないからこそ、ドーパミンの分泌によって中毒性が与えられようなカラダになった。と、考えられています。
【害3】アタマが悪くなる
マルチタスクによって、「ワーキングメモリ」の働きが悪くなることが研究でわかっています。
ワーキングメモリとは、カンタンに言うと「一時的な保存領域」です。電話番号などの数字の羅列を覚えるとか、ちょっとした暗算をするときなどに、ワーキングメモリが必要になります。
ところが、マルチタスクをすると注意力が散漫になるため、ワーキングメモリの働きが悪くなってしまう。しかも、ふだんからマルチタスクをする人ほど、その傾向が強くなるとのこと。
言うなれば、アタマが悪くなってしまう… ということであり、マルチタスクの「害」だと言えるでしょう。
以上が、マルチタスクの「3つの害」です。これらを知って、「脱マルチタスク」をはかりたいというのであれば。このあと、シングルタスカーになるための方法を模索していくことにしましょう。
シングルタスカーになる5つの方法
脱マルチタスクとして、わたしが実際にやっている「シングルタスカーになる方法」を5つ、ご紹介していきます。こちらです↓
- スマホは片付ける
- ついで見をしない
- 読書 or 運動する
- タスクの開始・終了時刻を記録する
- 思いつきは保留する
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
【方法1】スマホは片付ける
マルチタスクの原因になるものとして、真っ先に挙げられるのが「スマホ」です。いつでもどこでも、じぶんのすぐ近くにあるスマホだけに、じゅうぶん気をつけなければいけません。
仕事をしているときに、メールの新着通知。勉強をしているときに、SNSの新着通知。食事をしているときにネットニュースの新着通知。これらの「通知に反応」していると、マルチタスクを強いられます。
なので、スマホは「できる限り通知オフ」は最低限として。さらに言えば、使うとき以外はしまって置くのがベストです。スマホは視界に入るだけでも、作業効率が落ちるという研究結果があります。
わたし自身、とくに集中したいときには、スマホは視界の外に置くようにしたり、引き出しにしまったりしているところです。
【方法2】ついで見をしない
パソコンやスマホをつかううえで気をつけるべきことに、「ついで見」があります。
はじめはメールをチェックするためにパソコンを開いたのに、気がついたらネットサーフィンをしていた… LINEをするためにスマホを開いたのに、気がついたらSNSを見続けていた…
といった「ついで見」の経験はだれにでもあるはずです。WEBサイトやらアプリやらは、ヒトの時間を奪うようにつくられているので無理からぬことではあります。
とはいえ、無防備でいるとマルチタスクに陥るばかりです。そこで、パソコンやスマホでなにかをはじめる前にはいちど、「なにをはじめるのか?」を確認するのがおすすめです。
これからメールをチェックする(だけ)、これから〇〇をネットで調べる(だけ)、LINEを1件送る(だけ)、と確認をする。用が済んだら、ついで見をしない。このクセをつけておくといいでしょう。
【方法3】読書 or 運動する
スマホを片付けたり、ついで見をしないようになると。マルチタスクが減り、多かれ少なかれ時間ができるようになります。その時間に、スマホを手にとってしまったりすると元も子もありません。
そこでおすすめなのが、読書をする。あるいは、運動をすることです。
読書が勉強になるのはもちろん、読書にはストレスを緩和させる働きがあります。運動には、心身を整える効果があります。どちらも、有意義な時間の使いかただと言えるでしょう。
なお、スマホ(電子書籍)での読書は避けること。読書以外のこと(メール、SNS、動画、ネットニュースなど)に気が散ってしまいます。紙の本か、電子書籍リーダーにしましょう。
運動は、サッとお手軽にできるものがおすすめ。わたしは近所をランニング・ウォーキング、室内で筋トレといったことをしています。
なんににせよ。「なんとなくスマホを開く」という行動をなくすようにすることです。スマホを開きたくなったら、代わりに読書・代わりに運動! みたいなクセづけができるといいですね。
【方法4】タスクの開始・終了時刻を記録する
実行するタスクの開始・終了時刻を記録すると、マルチタスクを防ぐ効果があります。
たとえば、「〇〇のプレゼン資料をつくる」というタスクがあったとして。はじめるときには、その時刻を記録しておきます。ここでふと、「メールチェック」というタスクをはじめようとしたらどうでしょう?
ルールにしたがって、メールチェックの開始時刻を記録するわけですが… はい、ここでマルチタスクです。「プレゼン資料をつくる」というタスクの終了時刻が記録されない限り、メールチェックでもなんでも、ほかのことをするとマルチタスクになってしまいます。
でも、ほかのことをしてしまうんですよね。それは、「いま、マルチタスクになっている」と気づくための「しくみ」がないからです。そのしくみとして、開始・終了時刻の記録が役立ちます。
もちろん、プレゼン資料をつくりおわるまで、ほかのことを絶対にしてはいけないわけではありません。しなければいけなければするだけなんですが、それでも、マルチタスクの自覚をするところに意味があります。
つまり、できる限りシングルタスクを貫く、ということです。
ちなみに。タスクの開始・終了時刻を記録するのに、わたしは「TasukChute Cloud」というクラウドサービスをつかっています。4年半くらいずっと。ご興味あれば、こちらの記事もどうぞ↓
【方法5】思いつきは保留する
なにかをしているときに、別のなにかを思いつく。ということはあるものです。このとき、別のなにかをしはじめてしまうとマルチタスクになってしまいます。
ですから、思いつきは保留をするようにしましょう。思いついたからといって、すぐに手をつけない。そういうルールにしておきます。
とはいえ。思いついたことが気になったままだと、やはりマルチタスクということになってしまうでしょう。そこで、思いついたことは「すぐにメモをとる」のがおすすめです。
アタマのなかで「記憶」しておこうとするのではなく、「記録」としてアタマのなかから吐き出してしまう。すると、不思議なほど、アタマのほうはすっきりします。
実際、メモをとると「ワーキングメモリ」を解放できることが研究でわかっています。メモをとった分だけ、アタマのなかに「余白」ができる。すると、作業効率も上がります。
すぐにメモをとるには、すぐにメモをとれる環境をつくることも重要です。そのあたり、こちらの記事も参考にどうぞ↓
まとめ
一見すると、効率も良さげでカッコよくも見える「マルチタスク」ではありますが。マルチタスクには、3つの「害」があることも理解しておきましょう。
そのうえで、脱マルチタスクを考えるのであれば。本記事でお伝えをした「シングルタスカーになる5つの方法」が、参考になるようでしたら幸いです。
- スマホは片付ける
- ついで見をしない
- 読書 or 運動する
- タスクの開始・終了時刻を記録する
- 思いつきは保留する