1年を超える据置期間でゼロゼロ融資を利用した会社に対して、銀行によるモニタリングがはじまっています。
というわけで、モニタリングへの対応ポイントをまとめてみました。
そもそも、モニタリングが要件だった。
コロナ禍で多くの会社が利用した、実質無担保・無利子融資。いわゆる、「ゼロゼロ融資」について。銀行による「モニタリング」がはじまっています。
モニタリング、つまり、ゼロゼロ融資を受けたあと「どうなっているの?」という確認がはじまっているということです。でもなぜ、モニタリング? と思われるかもしれませんが。
そもそも、ゼロゼロ融資には次のような要件が付いていました↓
取扱金融機関は、据置期間が1年を超える場合、据置期間中モニタリングを行い、半年に一度、信用保証協会に対し、その内容を報告するものとする。
ポイントは、「据置期間が1年を超える場合」というところ。ですから、これに該当する融資先に対して銀行はモニタリングを行い、信用保証協会に報告をしなければならないわけです。
ゆえに、1年を超える据置期間でゼロゼロ融資を利用した会社は、銀行のモニタリングを受けることになります。
そこで。モニタリングでは、会社は銀行からどのようなことを求められるのか? をふまえて、モニタリングへの対応ポイントをまとめてみました。こちらの3点です↓
- 売上実績のとりまとめ
- 資金繰り予定表の提示
- 資金繰り実績の確認
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
ゼロゼロ融資のモニタリングへの対応ポイント
【ポイント1】売上実績のとりまとめ
ゼロゼロ融資のモニタリングについて。具体的には、銀行が「業況報告書」という書類を作成することになります。その業況報告書の記載内容のひとつが、「最近6ヶ月の月別売上高」です。
したがって、会社は売上実績をとりまとめておく必要があります。銀行への回答は、口頭でもOKとされているケースもあることから、試算表の作成が必須ではありません。
ですから、ひとまず売上実績を「手計算」することでも対応は可能です。
とはいえ、ベストは「試算表を作成する」こと。経理処理を通じて作成した試算表を根拠として、売上実績を報告できるに越したことはありません。
口頭で報告するのと、試算表を添えて報告するのと。どちらに信用を感じるか、どちらを評価するかと言えば、当然、試算表を添えるほうでしょう。
この点で。試算表を税理士任せにしていると、「最近6ヶ月」に対応できないことがあります。たとえば、「まだ最近3ヶ月分の試算表はできていない…」みたいなケースです。
モニタリングへの対応以前に、試算表はタイムリーに作成できてこそのツールだと言えます。これを機会に、試算表を迅速に作成する流れをつくるようにしましょう。
どんなに遅くても、月末には前月分の試算表はできていること。望ましいのは、毎月10日までには前月分の試算表ができていることです。
なお、売上実績を報告するときには、今後の「売上見込」についても、あわせて報告するようにしましょう。
最近6ヶ月の売上が増加傾向であれば、「引き続き増加を見込んでいます」とか。逆に減少傾向であれば、「近いうちに増加に転じる見込みです」とか。
いずれにせよ、「根拠」も添えることが大切です。売上が増加・減少している「原因」はなにか? 増加に転じるためにどんな「施策」を打っているのか? など。
銀行からも聞かれるところかと思いますので、聞かれたときに回答に困らないよう準備しておきましょう。
[ad1]【ポイント2】資金繰り予定表の提示
モニタリングにあたって銀行が作成する「業況報告書」には、「資金繰りの見通し」という項目もあります。会社としては、資金繰り予定表を提示したいところです。
必ずしも資金繰り予定表を求められるわけではありませんが、やはり、口頭で回答するよりも、書類があるほうが銀行からの信用と、評価を得ることができます。
今回は、信用保証協会への「モニタリング対応」が目的とはいえ、その対応を通じて、銀行は「融資先の姿勢・体勢」を把握しようともするでしょう。
口頭でしか回答できないような会社には「不安」を感じるところですし、書類で回答できる会社に対しては「安心」を感じるところです。どちらの会社が、今後、銀行の支援を受けやすいかは言うまでもありません。
とくに、コロナの影響を引きずり、いまなお売上が低迷している会社であればなおのこと。それでも、資金繰り予定表をつくっていないというのでは、銀行も支援をしづらくなるばかりです。
そもそも、「資金(おカネ)」は会社の生命線。その資金の状況を把握するのに、資金繰り予定表は欠かせません。銀行に言われずとも、ふだんから作成しておくようにしましょう↓
そのうえで、向こう1年ていど先まで見たときに、このままで資金繰りは回りそうなのか? それとも、なんらかの資金繰り支援(借り換えやリスケなど)が必要なのか? を明らかにすること。
資金繰り支援が必要なのであれば、銀行に相談をするきっかけにしましょう。
なお、資金繰り予定表は、前述した「売上見込」とも関連するものです。資金繰り予定表を提示することが、銀行にとっては、売上見込の「資料」にもなります。積極的に提示していきましょう。
【ポイント3】資金繰り実績の確認
いましがた、資金繰り「予定」についてお話をしましたが。資金繰り「実績」についても確認をしておくようにしましょう。
銀行は、ゼロゼロ融資で貸したおカネが「なににつかわれたのか?」に注目しています。運転資金にどれだけつかわれて、いまどれだけ手元に残っているのか? といった具合です。
これを明らかにするのに、資金繰り予定表に加えて、資金繰り実績表も用意しておくと良いでしょう。
なお、資金繰り実績について銀行に話をするときには、「当初」の話と対比をすることが重要です。ここで言う「当初」とは、ゼロゼロ融資を受けた当初のこと。
ゼロゼロ融資を受けるときには、銀行から「今後の資金繰り見込み」を聞かれたはずです。そのときに回答した内容と比べて、いま実際にはどうなっているのか?
当初の回答どおりになっていればよいですが。そうでない場合には、「そうでない理由・原因」を伝える必要があります。なぜなら銀行は、当初の話を「記録」して、その後の確認をしているものだからです。
銀行のほうから聞かれたときに、回答に窮するようでは、今後の融資にも差し支えることでしょう。よって、会社もまた、銀行に言ったことは記録しておくことが大切です。
この点で。ふだんから資金繰り予定表をつくっていれば、それがそのまま記録になります。当初の資金繰り予定表に対して、実績はどうなったのか? という話ができれば、銀行からの評価も上がるものです。
ちなみに。当初の資金使途以外におカネをつかっている場合には、問題になります。たとえば、運転資金として借りたはずなのに、その後、クルマを買ったり、株を買ったりしているとか。
もともと、それらを買うだけのおカネ・利益があったのならともかく。おカネも利益もなかったのに、それらを買ったとなれば、資金使途違反のそしりを免れません。
会社から社長個人への資金貸し付けも同じです。早々に回収するなどして、モニタリングの際に問題にならないようにしましょう。
まとめ
1年を超える据置期間でゼロゼロ融資を利用した会社に対して、銀行によるモニタリングがはじまっています。
モニタリングの対象になるようであれば、対応ポイントを押さえておくようにしましょう。
- 売上実績のとりまとめ
- 資金繰り予定表の提示
- 資金繰り実績の確認