決算月を変えることで、資金繰りがうまくいくようになるかもしれません。
というわけで。「期首=繁忙期・決算月=閑散期」が資金繰りにはマル!な理由についてお話ししていきます。
決算月は忙しい、と言うのなら。
社長にとって、会社の「資金繰り」は大きな関心ごとのひとつでしょう。もし、資金繰りがうまくいかなければ、最悪、会社はつぶれてしまうからです。
では、その資金繰りについて。「決算月を変えることで、うまくいくようになるかもしれませんよ」と言ったら、どう思われるでしょうか。そんなバカな、と思われるかもしれません。
ところが実は、「期首は繁忙期、決算月を閑散期にする」と、資金繰りがうまくいく理由があります。ずばり、こちらの3つです↓
- おカネがある
- 利益が読みやすい
- 社長に余裕ができる
それではこのあと、順番に確認をしていきましょう。
決算月の変更手続き、わりとカンタンです(登記不要、株主総会の決議のみ)。
ただし、税務署への届出が必要、決算月が変わったことで1年未満での申告が必要、といった注意点があります。そのあたりは、税理士に確認をしたうえで決算月の変更を検討するのがおすすめです。
「期首=繁忙期・決算月=閑散期」が資金繰りにはマル!な理由
【理由1】おカネがある
決算月の2ヶ月後には「納税」があります。たとえば、3月決算の会社であれば、5月末には法人税や消費税といった税金をおさめなければいけません。このときに、おカネがないと困ってしまいます。
この点で、「期首は繁忙期、決算月を閑散期にする」とどうでしょう。繁忙期とはつまり、売上が多く、利益が多い時期。閑散期は逆に、売上が少なく、利益が少ない時期です。
期首は繁忙なのですから、多くの売上入金によって、手元の資金が増えていることが予想されます。これなら、納税時期(期首から2ヶ月後)になって「おカネがない…」と困ることは少なくなるでしょう。
ですから、納税時期に「おカネがある」というのは、資金繰りにマルな理由のひとつです。
逆に、期首が閑散になると。売上入金が少なくなることから、納税時期に「おカネがない…」という状況が起きやすくなります。これは、わりと「あるある」な状況です。
なので、期首が閑散で決算が繁忙な会社には、決算月の変更がひとつの選択肢になるわけですが。どうしても決算月を変えたくない! ということであれば、「納税資金」の融資を受けるという方法もあります。
銀行から税金分の融資を受けることで、税金を分割払い、あるいは先送りする効果があるので、あわせて検討してみましょう。くわしくはこちらの記事もどうぞ↓
ちなみに、「さっそく決算月を閑散期に変更しよう」というのであれば、気をつけましょう。
なぜなら、決算月を繁忙期から閑散期に変えたのに、決算月が繁忙期になってしまう会社もあるからです。具体的には、決算が近づかないと営業活動に火がつかない、決算が近づくと売上アップに奔走する、といった会社です。
したがって、そもそも繁忙が、外部環境(世の中の季節変動や経済活動)によるものなのか、内部環境(自社の風土や文化)によるものなのかは、見極めるようにしましょう。
内部環境による繁忙の場合、決算月を変えたとしても、また繁忙に陥る可能性があります。
【理由2】利益が読みやすい
決算月が繁忙期だと、利益は読みづらくなります。もともと利益が多い時期だけに、ブレが大きくなるからです。すると、決算間際になって、予想以上の利益による納税額の増加に驚くこともあるでしょう。
決算間際ですから、税金対策と言っても、できることは限られています。決算日を過ぎているようであれば、なおさらです。税金対策、いわゆる「節税」には、時間が大切であることを覚えておきましょう。
納税までに時間があるほど、打てる手は多く、効果的な手が打てるようになります。
いっぽう、決算月が閑散期だとどうなるか? 利益が読みやすくなります。もともと利益が少ない時期だけに、ブレは小さくなるからです。決算間際になって、予想以上の利益に驚くようなことはなくなるでしょう。
さらに、繁忙期が期首であれば、早い時期に大きな利益が確定しますから、早めに税金対策に取り組むことができます。
なお、利益が読みやすいというのは、銀行対応の面でもメリットです。銀行からは期の途中で、「社長、今期の見通しはどうですか?」などと聞かれることがあります。
そのときに、決算月が繁忙期だと利益が読みづらいので、回答した見通しと実際とでは、ブレが大きくなりやすいものです。すると銀行からは、「なんか聞いてたのと違うなぁ(見通しが甘い社長だなぁ)」と見られてしまいます。
逆に、決算月が閑散期で期首が繁忙期であれば。さきほど言ったとおり、利益はおおむね期首で確定していますから、回答した見通しと実際とでブレることは少なくなるでしょう。当然、銀行からは「見通しがしっかりしている社長だ」と見られます。
どっちがよいかは、言わずもがなです。
【理由3】社長に余裕ができる
繰り返しになりますが、期首が繁忙期だと、早い時期に大きな利益が確定します。これは、社長にとっては大きな安心材料になるはずです。
社長に対して、「なにがいちばん不安か、なにがいちばん心配か」とたずねると、「おカネが無い・足りないこと」という回答は少なくありません。
おカネがなくなれば会社はつぶれてしまうわけですから、おカネがなければ、社長は資金繰りにとらわれることになります。最終的には、経営そっちのけで、金策に走らなければいけません。
社長のいちばんの仕事は「経営」ですから、それができなくなれば、会社の状況は悪くなり、ますますおカネがなくなってしまう。社長はますます金策に走る… 悪循環です。
また、おカネに関する不安・心配は大きなストレスになりますから、社長が心身を悪くしてしまうこともあるでしょう。これもまた、会社にとっては大きな問題であり、なんとしても避けるべき状況です。
この点で。期首が閑散期、決算が繁忙期だと、期首から長いあいだ、社長は不安・心配を抱えることになってしまいます。繁忙期までは、売上も利益も確定しないからです。また、入金も少なく、おカネもないからです。
そう考えると、期首が繁忙期、決算が閑散期のほうが、社長は不安・心配が小さく、気持ちにも余裕ができるでしょう。社長が余裕をもって、経営に集中できることは会社にとって大きなメリットです。
結果として、経営がもっとうまくいく、資金繰りがもっとうまくいく。好循環です。このあたりもふまえて、決算月をいつにするかを考えてみるのもよいのではないでしょうか。
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まとめ
「期首=繁忙期・決算月=閑散期」が資金繰りにはマル!な理由についてお話ししてきました。
決算月を変えることで、資金繰りがうまくいくようになるかもしれません。自社の状況を見ながら、決算月の変更を検討してみましょう。
- おカネがある
- 利益が読みやすい
- 社長に余裕ができる