できるだけスムーズに融資を受けたい、というのなら。前提として、「銀行選び」が大切です。
というわけで、会社が融資をスムーズに受けるための銀行選び7箇条について、お話をしていきます。
前提を間違えると、なにをやってもうまくいかない。
銀行から融資を受けている会社の社長は、こう考えていることでしょう。「できるだけスムーズに融資を受けたい」と。そのために必要な考え方や、手段はいろいろありますが。
なかでも、とりわけだいじな要素である「銀行選び」について、確認をしておきましょう。
銀行選びは、銀行融資を受けるにあたっての大前提でもありますから。ここを間違えたり、勘違いしたりしていると、ほかになにをやってもうまくいかない… ということはあるものです。
というわけで、融資をスムーズに受けるための銀行選び7箇条がこちらになります↓
- 近くの銀行を選ぶ
- 身の丈に合った銀行を選ぶ
- つながりがある銀行を選ぶ
- 適当な数の銀行とおつきあいをする
- 目先の損得で関係を切らない
- 苦言を呈する銀行をだいじにする
- 場合によっては銀行を変える
これらについて、自社の銀行選びで「抜け落ちている」ところがないか、確認をしておきましょう。それではこのあと、順番にお話をしていきます。
会社が融資をスムーズに受けるための銀行選び7箇条
一、近くの銀行を選ぶ
銀行は、会社の近くにある銀行を選びましょう。まず、取引をはじめるときに「自然」です。逆に、会社から遠い銀行を選ぶと、「なぜ近くの銀行に行かないのか?」と疑われます。
つまり、近くの銀行で融資を断られたから、しかたなく遠くまで来たのではないか? ということです。こうなると、取引をはじめてもらいにくくなってしまいます。
また、近くの銀行であれば、銀行担当者が足を運びやすいのがメリットです。すると、定期的に情報提供してもらえますし、会社の状態を確認してもらうこともできます。
常日頃から会社の状態をつかんでいる銀行は、融資をしやすいものです。銀行のほうから、融資提案をしてもらいやすくもなります。融資を受けるにもスムーズです。
さらに、地方銀行や信用金庫など、いわゆる「地域金融機関」は、地域の会社を支援・地域の成長に貢献することをミッションにしています。ですから、近くの銀行であれば、より支援をしてくれやすいものと考えておきましょう。
一、身の丈に合った銀行を選ぶ
ネームバリューに惹かれて、大きな銀行(都市銀行)を選ぼうとうする社長がいます。ですが、中小企業にとって、大きな銀行は融資を受けるのに適当ではありません。
なぜなら、それぞれの銀行には、取引をするのに合った「規模感」があるからです。端的に言えば、大きな銀行は大きな会社と、小さな銀行は小さな会社と。そういうことです。
では、中小企業に合った銀行とは? 自社の年間売上高を目安に、取引銀行を考えてみるのがよいでしょう。次のとおりです↓
年間売上高 | 取引銀行 |
---|---|
〜1億円 | 信用金庫・信用組合 |
1億円〜10億円 | 地方銀行 |
10億円〜 | 都市銀行 |
都市銀行は、年間売上高10億円〜としていますが、これは取引をはじめるうえでの「最低ライン」です。取引が必要か否かで言えば、年間売上高が数十億円までは、地方銀行でじゅうぶんでしょう。
以上の目安を参考に、自社の「身の丈(規模)」に合った銀行を選ぶことです。身の丈に合わない銀行は、親身になってはもらえませんし、融資も受けにくくなってしまいます。
一、つながりがある銀行を選ぶ
銀行を選ぶときには、自社と銀行とのあいだに、なにかしらの「つながり」がある銀行だとスムーズです。たとえば、銀行のなかに知り合いがいるとか。その銀行を紹介してくれる人がいるとか。
とはいえ、そのような「コネ」がない、というケースもあるでしょう。でも、つながりはほかにもあります。たとえば、得意先の取引銀行であるとか、社長個人が利用していた銀行だとか。
とくに、会社がはじめて取引をするときには、銀行から「なぜ、当行を選んだのか?」と聞かれるものです。そのときに、なにかしらの「つながり」があると銀行も安心することを覚えておきましょう。
ちなみに、コネにしても、そのほかのつながりにしても。ないよりはあったほうがいい、というたぐいのものです。ぜったいになければいけないわけではありません。
一、適当な数の銀行とおつきあいをする
さきほど、年間売上高を目安に、取引する銀行を選びましょう、という話をしました。もうひとつ、年間売上高を目安に考えるべきことがあります。それは、取引銀行の「数」です。
これが少なすぎても問題がありますし、多すぎても問題があります。
まず、少なすぎた場合。極端を言えば、取引銀行が1つだけだとすると、もしその銀行となにかあったらおしまいです。支店長が変われば、融資方針が一変することもあります。急に、融資をしてもらえなくなった… というのは、けしてめずらしいことではありません。
また、1つの銀行が取れるリスクは限られています。つまり、1つの銀行に融資できる金額は限られているということです。だとすると、銀行の数が少なすぎれば、受けられる融資の額が足りないこともあるでしょう。
では、銀行の数が多すぎる場合はどうなのか? 融資の金額が分散することになります。銀行は貸してナンボの商売ですから、融資の金額が少なくなれば旨みがありません。結果として、親身になってもらえない… ということが起きやすくなります。
これらをふまえて、自社の年間売上高を目安に、取引銀行の数を次のように考えてみましょう↓
年間売上高 | 取引銀行の数 |
---|---|
〜3億円 | 民間銀行 2〜3つ+日本政策金融公庫(国民生活事業) |
3億円〜5億円 | 民間銀行 3〜4つ+日本政策金融公庫(国民生活事業) |
5億円〜 | 民間銀行 4つ以上+日本政策金融公庫(中小企業事業)・商工中金 |
一、目先の損得で関係を切らない
銀行にも、「都合」があります。銀行の方針、支店の方針などによって、ときには、融資を受けにくくなることもあるでしょう。さらには、銀行担当者が変わることで融資が受けにくくなることもあります。
だからといって、すぐに、その銀行との関係を切るようなことはおすすめできません。またいずれ、方針が変わることもあれば、銀行担当者は変わるものだからです。
銀行との取引をはじめるのもカンタンではありません。関係性を築くことは、もっとカンタンではありません。せっかく築いた関係(取引実績)をカンタンには切らないようにしましょう。
方針が合わない・担当者が合わない時期は、関係を切らずとも距離を置けばよい話です。そのあいだは、ほかの取引銀行とのおつきあいを深めましょう。そのために、適当な数の銀行とお付き合いをしておく必要があります。
融資が受けにくくなったり、融資条件が悪くなったり、「目先の損得」で関係を切らないこと。中長期の視点でおつきあいを続けることも、銀行選びのひとつです。
一、苦言を呈する銀行をだいじにする
銀行からアドバイスをされるのを嫌がる社長がいます。ある意味、苦言を呈されるということですから、「余計なことは言われたくない」との思いです。たしかに、気持ちはわかります。
けれども、銀行がアドバイスをするのは、その会社に良くなってほしいからです。良くなる見込みがあるからです。できればおつきあいを続けていきたいからこその苦言でもあります。
逆に、アドバイスをしてくれなくなったらおしまいです。そういう銀行の担当者は足が遠のき、なかなか会社には来てくれなくなります。来ても、あまり話をしてくれなくもなるでしょう。
また、銀行担当者だって、苦言を呈するのはツラいものです。それでもあえて言ってくれる銀行担当者を、その銀行をだいじにしましょう。中長期におつきあいすべき銀行であるはずです。
一、場合によっては銀行を変える
さきほど、目先の損得で関係を切らない、といった話もしましたが。場合によっては、関係を切ることが必要なケースもあります。
たとえば、融資の依頼をはじめ、なにか相談をしても、ろくに話を聞いてもらえず門前払い。いつも返事が遅い、催促をしないと返事がもらえない。ほかの銀行に比べて、融資条件が悪すぎるなど。
こういった状況が長く続くようであれば、その銀行とは合わない、あるいは、その銀行からは見限られている可能性があります。
ほかに代わりになる銀行の見当をつけたうえで、合わない銀行・見限られた銀行とは関係を切ることも考えてみましょう。場合によっては銀行を変える、ということです。
まとめ
できるだけスムーズに融資を受けたい、というのなら。前提として、「銀行選び」が大切です。
というわけで、会社が融資をスムーズに受けるための銀行選び7箇条について、お話をしてきました。自社の銀行選びで「抜け落ちている」ところがないか、確認をしておきましょう。
- 近くの銀行を選ぶ
- 身の丈に合った銀行を選ぶ
- つながりがある銀行を選ぶ
- 適当な数の銀行とおつきあいをする
- 目先の損得で関係を切らない
- 苦言を呈する銀行をだいじにする
- 場合によっては銀行を変える