会社の持続・成長のために、おカネを借りることが必要になるケースは少なくありません。そこで、「おカネを借りる」に強くなる名言・格言・ことわざをご紹介していきます。ちなみに、続編です。
待たせたな、待望の続編だ。
会社の持続・成長には、おカネがいります。そのおカネを、会社が、あるいは社長が、みずから用意できればベストです。が、中小企業にあっては、「そこまでのおカネがない、おカネが足りない」というケースは少なくありません。
そんなときの助けとなるのが、「銀行融資」です。当ブログでは、銀行融資・銀行対応に関して、これまで、1,000記事に迫る情報を発信し続けてきました。今回は、それらの情報とは少し「おもむき」を変えまして、「おカネを借りる」に強くなる名言・格言・ことわざをお伝えしていきます。
ちなみに、3年ほど前に書いた、こちらの記事の「続編」という位置づけです↓
おカネを借りることに対する理解を深めることはもちろん、じぶんを戒める、他者を説くのにも役立つ言葉の数々。このあと確認をしていきましょう。
続・「おカネを借りる」に強くなる名言・格言・ことわざ10選
まずは、1つめ。こちらのことわざから↓
明日の百より今日の五十
ことわざ
明日もらえる百両よりも、今日すぐにもらえる五十両を受け取るほうがいいよね。つまり、未来はどうなるかわからないのだから、たとえわずかでも、確実に得られるもののほうがいいだろう。と、そんなことわざです。
ときおり、銀行のほうから会社に対して「おカネを借りませんか?」と、融資を勧められることがありますが。いまはまだおカネがあるし、いずれまた受ければいいや。と、考えている社長はいるものです。
ところが、その「いずれ」に銀行が融資をしてくれるかはわかりません。銀行は「いま」だったら貸せる、と言っているにすぎません。いずれ会社の業績が悪くなったときに「貸して」と言っても、容易には借りられないでしょう。
ゆえに、いま確実に借りられるときに借りておくのは、ひとつの財務戦略になります。
続いて、2つめ。こちらです↓
恒産(こうさん)無くして恒心(こうしん)無し
故事(孟子)
安定した財産なり職業がなければ、正しく落ち着いた心を持つことはできないものだ。という、ハナシです。社長に関して言えば、会社のおカネがなくて、資金繰りに奔走しているようだと、大きなストレスを受けることになります。
結果、冷静な経営判断ができなくなってしまうことはあるわけで。そもそも、資金繰りに時間をとられているために、経営に時間をさくことができません。ストレスでカラダを壊せば、正しい経営判断はますます遠のきます。したがって、社長がじっくり経営に集中するためにも、おカネは必要です。
そのおカネを、銀行から借りて用意するのは、ひとつの有効な手段だと言えます。経営に集中することで、利益を増やすことができれば、借りたおカネだって返済できるのですから。借りてでもおカネを持つことも、考えてみましょう。
続いて、3つめ。こちらの格言です↓
利益は意見、キャッシュは事実
格言
利益(会計)には裁量の余地があるが、キャッシュ(おカネ)にはその余地がない、ということ。
もう少し補足をすると。利益を計算するにあたって、会計や経理のルールは存在しますが、ガチガチに縛られるものではありません。ルールには「いくつかの選択肢」もあり、それぞれの会社が選ぶことができます。結果、計算される利益は、会社が選択したルールによって「差」があるものであり、その「差」が意見だとも言えるわけです。
いっぽうで、おカネ(の存在)には選択肢がありません。目の前にある1万円は、どこからどう見ても1万円です。A社の1万円も、B社の1万円も価値に違いありませんよね。という意味で、キャッシュは事実だ、となります。
この点で、「粉飾決算をしてはいけない。バレるから」を教訓としておきましょう。利益に裁量の余地があるからと、粉飾(利益の水増し)をしても、その「歪み」は必ず、キャッシュ(おカネ)との差にあらわれるものだからです。利益のウソは、おカネによって暴かれます。
続いて、4つめ。こちらのことわざです↓
悪銭身につかず
ことわざ
不当な方法、不正な手段で得た金銭は、つまらないことに使ってしまい残らないものだ。という、意味になります。盗みや賭け事などは不当・不正の典型ではありますが、前述の「粉飾決算」もまた不当・不正だと言えるでしょう。
粉飾をすれば、利益は増えるものの、利益が増えると税金も増えます。会社の税金は、「利益 × 税率」で計算されるものだからです。よって、粉飾をすると、払わなくてもいい税金を払うことになります。その分、おカネを失うわけです。まさに、悪銭身につかず。粉飾は、百害あって一利なし、と考えておきましょう。
続いて、5つめ。こちらの格言です↓
回収なくして販売なし
格言
売上代金を回収してはじめて、ほんとうの販売だということ。「回収なくして売上なし」とも言われ、経営・財務における至言のひとつとなっています。
事実、現場では「とにかく売上を!」と急いた結果、支払能力のない相手に商品を納めてしまい、代金を回収しそびれる… ということはあるものです。また、回収できるはずなのに、管理・催促が甘いばかりに、未払いを許しているケースもあります。
こういったことで資金繰りが悪化すると、銀行からは厳しい目を向けられることになるでしょう。すると、融資も受けにくくなります。貸しても返済してもらえる可能性が低くなるからです。銀行は、会社の一挙手一投足に注目をしていることを覚えておきましょう。
続いて、6つめ。こちらのことわざです↓
親子の仲でも金銭は他人
ことわざ
親と子のあいだであっても、おカネに関しては、他人と同じようにけじめを付けなければならない、ということわざになります。
会社のおカネが足りなくなったときに、銀行から融資を受けるのがメンドーだからと、親兄弟・友人などからおカネを借りようとする社長はいるものです。が、その後に、約束どおりの返済ができずに「仲」を悪くしてしまった例を、税理士としてこれまでになんどか見てきました。
なにを言いたいか、というと。会社のおカネが必要であったとしても、親兄弟・友人などから借りるのはやめておいたほうがいい。おカネを借りるなら、それを仕事にしている銀行にしておいたほうがいい。言い換えると、親兄弟・友人からまで借りなければならないのであれば、その事業には問題があるということです。ご参考まで。
続いて、7つめ。こちらのことわざです↓
大遣いより小遣い
ことわざ
大きくまとまった1回の出費よりも、こまごまとした出費の積み重ねのほうが、大きい金額になりやすいものだ、という意味です。言われてみると、「あぁ、そういえば」と思い当たるフシがあるのではないでしょうか。めったに利用していないけど、サブスクでおカネを払い続けているアレ… みたいな。
会社のことで言えば、いわゆる「固定費」です。たとえば、毎月の家賃。当初契約をしたときよりも、近隣相場が下がっているのに、家賃交渉をせずに同じ金額を払い続けていたりしていませんか? 設備投資の金額について考えるよりも、まずは、いつもあたりまえのように払っている固定費にも目を向けてみましょう。
続いて、8つめ。こちらのことわざです↓
借りる時の地蔵顔、返す時の閻魔顔
ことわざ
おカネを借りるときには優しい顔をしていても、返すときになると不機嫌な顔、渋い顔をすることをあらわしています。借りる人・返す人の気持ちを思えば、「まぁ、そうでしょうね」ということではありますが。
とはいえ、銀行に対してこの態度はいけません。聞けば、「返してやっているんだぞ」といわんばかりに横柄な社長もいるそうです。が、言うまでもなく、借りたものを返すのはあたりまえ。むしろ、貸してもらったことに感謝すべきでもあります。
もちろん、おカネを借りていることに「卑屈」になる必要はなく、約束どおりに返済をしている限り、銀行と会社とのあいだに立場の上下はありません。元金のほかに、利息だって支払っているのですから。そのいっぽうで、銀行に対してはいつだって、真摯な対応を心がけましょう。銀行融資も、突き詰めれば「ヒト(社長)対ヒト(銀行員)」です。
続いて、9つめ。こちらのことわざです↓
人間万事金の世の中
ことわざ
この世はすべて、おカネで解決する。いっさいのことはおカネで片がつくし、だれしもおカネのためにあくせく働くのだ。という、ことわざになります。これだけ聞くと、なんとも「いやらしい」ハナシではあるものの。事実でもあるでしょう。
会社に関して言えばまさに、です。会社は、おカネが尽きればつぶれてしまいます。たとえ1円であっても、払うべきものが払えなければ倒産です。逆に、おカネがありさえすれば、どんなに大赤字であってもつぶれることはありません。
そういう意味では、「万事金だ」と言えます。もちろん、利益をあげることがだいじだし、商品を磨く、人を育てることだってだいじです。でもやっぱり、おカネがなければはじまらないという一面もあります。
そのおカネを、銀行融資で用意するのは1つの方法です。また、前述したとおり、融資を受けられるときに受けておくということも考えておきましょう。
それではさいご。10個めは、こちらの名言です↓
自分の城は自分で守れ
石田退三さん / トヨタ自動車 社長
銀行から融資を断られたことで、倒産の危機に瀕した経験から、みずからの座右の銘としたといわれる石田退三さんの名言です。この精神を引き継ぎ、トヨタ自動車は「無借金経営」を実践していくことになります。
わたしはよく、銀行融資について「借りられるときに借りましょう」というハナシをしているわけですが。借金を無条件に推奨しているのではなく、「いつかは無借金」を目指す過程においての手段として推奨しているにすぎません。
言うまでもなく、借金はないほうがいいのです。借金をしなくていいならしないほうがいい。とはいえ、借金をすればつぶれずに済んだのに、借金をしなかったばかりにつぶれるのでは残念でしかたありません。
中小企業における持続・成長の過程では、自己資金を超えたおカネが必要になることはあります。そのときに、過剰なムリをしてまで、自己資金だけでしのごうとするのは得策ではありません。ましてや、つぶれてしまってはいけません。いつかは無借金にたどりつくために、いまは必要な借金をする。これもまた、城を守ることなのだと考えてみるのはいかがでしょうか。
まとめ
「おカネを借りる」に強くなる名言・格言・ことわざを、ご紹介してきました。中小企業にあっては、「おカネを借りる(=銀行借入)」ことが必要不可欠だと言っていいでしょう。
その「おカネを借りる」の理解を深めるにあたり、本記事で取り上げた言葉の数々は役立つものと考えます。折にふれて、思い出していただけるようであれば幸いです。