融資先について、銀行は決算書以外にもいろいろなものを見ているというけれど。実は、銀行が見ているようで見ていないものについて、お話をしていきます。
あまり知られていないハナシをしよう。
銀行は融資先に関するいろいろなものを見ながら、融資の可否を検討しています。決算書ばかりではなく、ほかにもいろいろなものを見ているのだ、というのは見聞きするハナシでもあるでしょう。
いっぽうで、実は、銀行が見ているようで見ていないものもある。というハナシは、あまり知られていないようです。具体的にはこちらになります↓
- 取引ぶり
- 担保の有無
- 事業の内容
これらは、融資の可否に影響するものであり、会社から見れば、融資の受けやすさにかかわるものでもあります。このあと、それぞれの内容を確認していきましょう。
融資先について銀行が見ているようで見てないもの
取引ぶり
ここでいう「取引ぶり」とは、銀行から見た「融資以外の融資先との取引」のこと。たとえば、預金をしているとか、振込(入金・出金)があるとか。
自行の口座に預金があるのは、銀行にとっての安心材料です。また、振込があれば、銀行は手数料収入を得ることができます。いまは低金利ですから、手数料収入もだいじな収入源です。
それよりなにより、預金内での入出金から、会社の「商売の状況」を把握することもできます。売上好調なら、売上入金が増える、仕入支払が増える、といった具合です。
なので、本来、銀行は融資先の取引ぶりも見て、融資の可否を判断しています。が、その取引ぶりを見ているようで見ていないケースはあるものです。
ひとつ具体例を挙げると、現金商売の会社が、日々の売上を銀行の口座に入金をしているというケースがあります。おもなところでは、飲食業や小売業、理美容業など。
口座には、「現金の預け入れ」として記録されるため、銀行(担当者)が売上だと認識できていないことがあるのです。逆に、売上だと認識できれば、取引ぶりとして考えられますから、融資にはプラス材料になるでしょう。
そこでおすすめは、現金の預け入れに関する明細(何月何日分の売上なのか)や、日々の売上金額をまとめた資料を、銀行に提示・説明することです。これにより、その銀行は継続的に売上入金があることを理解し、入金状況によって会社の業況を把握できることになります。
なお、現金そのものだけではなく、クレジットカード決済による売上も同様です。口座には、クレジットカード会社からの入金として記録されますが、やはり、銀行(担当者)が売上だと認識できていないことがあります。
前述した現金のケースと同じように、資料を提示して説明するのがよいでしょう。会社からすれば、「銀行(担当者)がわかっているだろう」と考えていても、実はわかっていない、実は見えていないこともあります。
そのままにしておくと、せっかくのプラス材料がムダになってしまうので気をつけましょう。
担保の有無
銀行にとって、融資先から提供される「担保」もまた安心材料です。よって、担保になりうるものを会社や社長個人が持っているかどうかについては、銀行が見ているかといえば、そうともいえません。
なぜなら、見たくても見えない、知りたくてもわからないこともあるからですね。たとえば、会社や社長個人が所有している不動産、銀行にあずけている預金などを、銀行は完全には把握できないこともあります。
会社・社長のほうから伝えなければ、わからないこともあるということです。
もちろん、担保に提供すべきかどうかの議論はありますが。担保を提供することで、融資を受けやすくする、融資条件の改善をはかるのはひとつの方法です。その方法を選択したいのであれば、こちらから情報提供をするようにしましょう。
具体的には、会社や社長個人が所有している不動産や預金について、一覧にまとめたリストを銀行へ提示・説明します。
なお、担保にとらないまでも、そういった不動産や預金の「存在を確認する」だけでも、融資を受けやすくする効果はあるものです。いざとなれば返済財源になる、とわかるからですね。
したがって、まずはリストを提示してみるというのも、ひとつの方法になります。そのうえで、もし、銀行から担保提供を求められたら、嫌なら断るという考え方です。
いずれにせよ、担保になりうるものについて、見ているようで見ていない、見えているようで見えていないことがあるのは覚えておきましょう。
事業の内容
銀行融資に関連して、「事業性評価」という言葉があります。いま現在の数字(決算書)ばかりではなく、事業内容の良し悪しや事業の将来性も評価するのが、事業性評価です。
これは、金融庁が銀行に対して求めていることでもあります。誤解を恐れずにいえば、いまは業績がおもわしくない会社でも、事業の内容が良ければ、融資を受けられるということです。
とはいえ、銀行が必ずしも「事業の内容」を見ているかといえば、そうともいえず。そもそも、事業性評価に対する「取り組み姿勢」や「理解度」は、銀行・支店・担当者によって差があります。
また、取り組み姿勢や理解度があっても、事業の内容を見たいのに見れない… ということは少なくありません。なにしろ、事業の内容(だれに・なにを・どのように売っているか)を、決算書や試算表からでは知ることができないからです。
そこで、会社に対するヒアリングや、会社からの情報提供が必要になりますが、「事業性評価」のことがわかっていないと、ヒアリングに応えるのも情報提供もメンドーだとなってしまいます。
結果として、銀行は事業性評価に必要な情報を得ることができず、いま現在の数字(決算書)で評価せざるを得ない、ということが起きているのです。
では、自社の「事業の内容」をどのように銀行へ伝えるのがよいか。おすすめは、「ローカルベンチマーク」というツールを利用する方法です。事業の内容を伝えるのに必要な要素を、コンパクトにまとめられるツールであり、すぐに無料で利用できます。
くわしくは、こちらの記事も参考にどうぞ↓
まとめ
融資先について、銀行は決算書以外にもいろいろなものを見ているというけれど。実は、銀行が見ているようで見ていないものについて、お話をしてきました。
銀行が見たくても見れていないものがあります。そこは、会社のほうから情報提供できると、融資が受けやすくなることを覚えておきましょう。
- 取引ぶり
- 担保の有無
- 事業の内容