銀行融資を受けている会社の社長が、毎年の決算日を過ぎたら「すべきこと」についてお話をしていきます。すべきことってなに? という社長は、ぜひとも押さえておきましょう。
その後の資金繰りの良し悪しにかかわる。
銀行融資を受けている会社の社長には、毎年の決算日を過ぎたら「すべきこと」があります。と言われて、なにをすればよいかを思い浮かべることはできるでしょうか。
この点で、「よくわからない…」という社長や、「すべきことなんてあるの?」という社長もいれば、実際に決算日を過ぎても「特になにもしていない」という社長もいるようです。
ところが、銀行融資を受けている会社にとって、決算日以降の動きは「その後の資金繰りの良し悪し」にかかわります。社長はぜひとも、「すべきこと」を押さえておきましょう。
具体的には次のとおりです↓
- 株主総会を開く
- 税務申告をおわらせる
- 銀行にアポイントをとる
- 決算報告の準備をする
- 決算報告に行く
それではこのあと、順番に確認していきましょう。
銀行融資を受けている会社の社長が決算日を過ぎたらすべきこと
株主総会を開く
決算日を過ぎたら、会社は決算書を作成します。作成しおわったら完成! ではありません。作成した決算書について、株主総会で承認をえなければならないからです。
その期限は、通常、決算日から2ヶ月以内とされています。事情がある場合には、3ヶ月以内にしていることもあるので、自社の定款で確認をしておきましょう。
そのうえで、株主総会の承認がおわったら、いちど銀行に話をしておくことをおすすめします。なにを話すのか? 端的に言えば、黒字なのか赤字なのか。その金額はいかほどか。
銀行の融資審査で大きなウエイトを占めるのが「決算書」ですから、銀行は決算の状況を気にしているものです。なので、正式報告(後述)の前に軽くお知らせしておくとよいでしょう。
また、黒字の場合には「納税」が必要になるわけですが、その場合には、納税資金の融資を受けるのがおすすめです。資金繰りを安定させる効果がありますし、プロパー融資を受けられるチャンスでもあります。
いざ、納税のタイミングで銀行に相談するのでは遅すぎるので、できるだけ早く、概算の納税額を伝えておきましょう。遅くとも、このタイミングでは伝えておきたいところです。
税務申告をおわらせる
銀行の融資審査で大きなウエイトを占めるのが決算書だ、と言いました。では、株主総会の承認がおわったら、銀行に決算書を渡せばよいか? というと、そうではありません。
銀行が決算書(のコピー)を受け取るのは、税務申告がおわったあとです。つまり、税務署の収受印(電子申告の場合には受信通知)が付された税務申告書一式が必要になります。
結局のところ、株主総会の承認は内部的なものであり「なんとでもなる」ので、その決算書が「最終版」かどうかがわかりません。いっぽうで、税務申告後の決算書であれば、税務署に提出したものであることから「最終版」だとわかります。
ゆえに、税務申告がおわらなければ、銀行は決算書を受け取らないということを理解しておきましょう。
ちなみに、申告期限に遅れることは「銀行」に対してもよくありません。遅れたかどうかは、収受印(電子申告なら受信通知)を見ればわかります。遅れていれば、「ルーズな会社」だと見られるわけで、銀行はルーズな会社を嫌うものです。
銀行にアポイントをとる
税務申告がおわる目処がついたら、銀行にアポイントをとりましょう。なんのアポイントかというと、後述する「決算報告」のアポイントです。
できあがった決算書を、銀行担当者に取りに来てもらい、渡しておしまい。という社長も少なくあないようですが、銀行対応としてはおすすめできません。せっかくの融資のチャンスを逃してしまいます。
税務申告がおわったら、できあがった決算書を持って、社長のほうから銀行へ報告に行く。これを、恒例行事にしましょう。
アポイントをとるときのポイントは、「決算報告」という目的を伝えること。銀行員も忙しいので、目的がわからず来店されるのでは迷惑だということもあります。
加えて、「支店長や融資課長がいらっしゃれば、ごあいさつだけでも」と伝えましょう。支店長や融資課長は、融資の決裁権者ですから、面識があるに越したことはありません。
もしかしたら、決算報告に同席してもらえる可能性もありますから、アポイントの段階であらかじめ伝えておくことをおすすめします。ただし、同席の無理強いはいけません。
支店長や融資課長は、銀行担当者よりもさらに忙しいのです。
決算報告の準備をする
アポイントができたら、決算報告の準備をしましょう。できあがった決算書を、ただ持っていって渡すだけでは、せっかくの決算報告が台無しです。
具体的には、次のような書類を準備していきましょう↓
- 税務申告書一式(コピー)
- A4一枚報告書
- 資金繰り予定表
このうち、A4一枚報告書については、別記事でくわしく解説しています。要は、決算の概要や、とくに伝えたいことなどをまとめた書類です。
そんなのクチで言えばいいじゃないか、とおもわれるかもですが。それを銀行担当者が、記憶・記録できるかはわかりませんから、文書にして渡すのが確実というものです。
文書であれば、上司や融資課長、支店長まで、回ることにもなるでしょう。すると、社長が伝えたいことを、より伝えやすくなるのがメリットです。
なお、決算報告は銀行取引において大事なことですから、「取引銀行すべて」におこないましょう。まずはメインバンクから、続いて二番手行、三番手、四番手… といった具合です。
決算報告に行く
決算報告の場では、前述した「A4一枚報告書」の内容に沿って話をします。そのうえで、一番伝えたいこと、つまり、決算報告の目的は「融資のお願い」です。
そのために、資金繰り予定表を持参して、向こう1年の資金繰りを説明しつつ、資金調達(銀行融資)の計画も説明します。いくらのおカネを借りたいか、ということです。
このときのポイントは、「〇〇万円を貸してください」とは言わない、というところにあります。では、なんと言うのか? 「〇〇万円の資金調達を予定しています。良いご提案があればお願いします」と言いましょう。
これにより、「なんとしてでも借りたい」という雰囲気がなくなり、銀行から足元を見られるようなことが減ります。また、取引銀行のすべてに「良いご提案」をお願いするわけであり、銀行にとっては「競争」です。
ほかの取引銀行よりも融資条件が悪ければ、融資をとられてしまう… と考えれば、会社にとって有利な融資条件で提案してもらえる可能性が高まります。
以上をふまえて、向こう1年で必要な資金について融資が受けられれば、社長は向こう1年のあいだ資金繰りの不安から解放されて、経営に集中できるのは大きなメリットです。
まとめ
銀行融資を受けている会社の社長が、毎年の決算日を過ぎたら「すべきこと」についてお話をしていきます。すべきことってなに? という社長は、ぜひとも押さえておきましょう。
その後の資金繰りの良し悪しにかかわる、重要なポイントです。
- 株主総会を開く
- 税務申告をおわらせる
- 銀行にアポイントをとる
- 決算報告の準備をする
- 決算報告に行く