月末は資金繰りがタイヘンだ…まぁ、いつものことだ。しかたない。
いつものこと…?それってフツーのことですか?
そんな資金繰りに悩む日常を変える「財務戦略」について考えてみます。財務戦略なんてウチには関係ない、なんて言わないで。
財務戦略=おカネをたくさん持つ
「財務戦略」という言葉の見た目ほど、難しいことを言うつもりはありません。
資金繰りにいつも苦労している会社や事業があるとして。それを変える「財務戦略」とは、「おカネをたくさん持つ」ことです。
おカネをたくさん持とうとしているか
「おカネをたくさん持つ」だなんて、当たり前じゃないか。と、言われるかもしれません。
ところが、「おカネをたくさん持つ」ために。具体的に何かできているか、何かしているかというとそうでもありません。
ちなみに、「売上を上げよう」とか「コストを下げよう」とかいうのは事業の大前提であって、「財務」とは別のハナシです。
そう考えると。事業には一生懸命でも、「おカネをたくさん持つ」ことにはそうでもない、というケースは少なくないのです。
足りない意識と、足りない手段
では、なぜ「おカネをたくさん持つ」ことに一生懸命になれないのか?そこには2つの問題が隠れています。
ひとつは「意識」の問題。もうひとつは「手段」の問題です。
この2つが無い、あるいは不足するために、多くの会社・事業では「財務戦略」を機能させられずにいます。中小零細企業では特に。
ということで、この2つの問題について話を進めることにします。
おカネの残高は多い、が勝ち
まずは2つの問題のうち、「意識」の問題について。
正解はどれ?
突然ですがクイズです。次のうち、もっとも望ましい財務の状況とはどれでしょう?
- 現金預金 100万円、借入金 ゼロ
- 現金預金 600万円、借入金 500万円
- 現金預金 1,100万円、借入金 1,000万円
いろいろな考え方があることは承知のうえで。「財務戦略」を考えるのであれば、正解は「3」です。
選択肢を並べて見れば、「3」と答える人は多いのかもしれませんが。現実には「1」や「2」を採っていることがほとんどです。
おカネを借りるのはよくない、というアタマがあるからです。これが「意識」の問題。
なぜかアタマにインプットされている「借入=悪」の意識が、財務戦略を妨げているのです。
借入=悪のウソ
借りずに済むのなら、おカネは借りないに限る。ということで、「1」を採用するから資金繰りに苦労します。
毎月毎月、月末の決済日にはおカネを都合して…なんてことを繰り返すことになります。
これが「3」ならどうでしょう?資金繰りの悩み、手間・時間からは解放されます。
借入金 1,000万円が気になりますか?気になったとしても、実は「1」と変わりません。現金預金 1,100万円から返済すれば「1」の状態にはできるのです。
そうかそうか、わかったぞ。これからは「3」にしよう!と「意識」を切り替えたところで2つめの問題が発生です。
おカネを借りるのとうのもカンタンなことではないからです。これが「手段」の問題。「1」から「2」や「3」へは意識だけでは行けません。
借り手の言い分≠貸し手の言い分
続いて2つめの問題のうち、「手段」の問題について。
銀行にはチカラ関係で負けている
おカネを借りようというときに、「借りたいときに借りればイイ」というわけにはいきません。
相手が親族であればそれも許されるかもしれませんが。銀行から借りるとなればそういうわけにはいかないのです。
借りる側には「借り手の言い分」があるように、貸す側には「貸し手の言い分」が存在します。
そのチカラ関係はもちろん、「貸し手の言い分>借り手の言い分」です。
だから「貸し手の言い分」を理解していなければ、「おカネを借りる」こと、「おカネをたくさん持つ」ことはかなわないのです。
手段には勉強と準備が要る
それでは「貸し手の言い分」とは何なのか?その「貸し手の言い分」を理解し、それに応えることが「手段」です。
前述した「意識」の問題をクリアしても、「手段」の問題がクリアできないというケースもまた少なくありません。
残念ながら、この「手段」の問題を乗り越えるのはカンタンではありません。
勉強や準備が必要なことでもあり、一朝一夕にはいかないところに問題たるゆえんがあります。
勉強や準備って、たとえば何なんだ?
「勉強や準備」とは、たとえば。
- 月次決算がただしく、タイムリーにできている
- 将来の損益、資金繰りを数字で示すことができる
- 節税に執着せず、利益に執着できる
- 銀行が会社を見る「視点」を知っている などなど
超えるべき壁がいくつもあります。
数字なんてだいたいアタマでわかってるんだから、月次決算なんていいのいいの。そんなことを言っていると、十分な融資を受けることはできません。
月次決算ができない、将来の資金繰りも見えていない。そういう会社を銀行は好みません。
また。税金は少しでも安く!なんて言っていると、必要以上に「利益」が縮みます。利益に対して銀行はおカネを貸すことがわかっていないと、過度な節税が裏目に出ます。
利益が無ければ、借りたおカネはいったいどこから返すと説明するのでしょう?
ことほど左様に「勉強や準備」は必要であり。「手段」の問題をクリアできず、おカネが借りられずにいる会社は少なくないのです。
まとめ 意識を変え、手段を得る
資金繰りに悩む日常を変える「財務戦略」についてお話ししてきました。
財務戦略とは、おカネをたくさん持つこと。
言い換えると「キャッシュポジションはできるだけ高く取る」。
おカネが無い、いつも資金繰りに奔走しているというのはフツーではないのです。
それを変えるために意識を変えることは自分でもできること。手段を得るのはちょっと難しいかもしれません。
そこは、専門家のチカラを借りるというのもひとつでしょう。
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きょうの執筆後記
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