リスケしたら、もう2度と借入ができないの?
それは銀行融資における「リスケ」について、よくある質問のひとつですね。
あらためて、リスケとは何か? そして、リスケに関するよくある質問についてお話しします。
やりたくはないけれど知っておく、ということ
「リスケ」なんて言うと。絶対にやりたくない、ウチには関係ない。そんなことを考えがちですが。
事業をやっていれば、いつ何が起きるかは誰にもわかりません。
ゆえに、最悪の事態を想定して。そこを乗り切るための「選択肢としてのリスケ」を理解しておく必要があります。
あらためて、リスケとは何か? そして、リスケに関するよくある質問についてお話しをしていきます。話の全体像は次のとおりです ↓
- リスケとは?
- リスケをしたら2度と借入はできないのか?
- リスケをするなら「いくら」返済すればよいのか?
- 特定の銀行だけリスケをすることはできるか?
リスケとは?
「リスケ」とは、「リ・スケジュール(Re-Schedule )」の略称です。
リスケ=返済条件の変更
ひとことで言うならば、銀行からの融資に関する返済条件の変更。それがリスケです。
たとえば。毎月100万円(の元金)を返済する約束であったが、自社の業況が厳しく、返済が難しくなってしまった。
そこで、「毎月の返済額を減らしてもらえないだろうか?」と考え、銀行と交渉する。
結果は交渉しだいではありますが、返済額を減額してもらうことができれば、それは「リスケした」ということになります。
では、リスケをするとどうなるか? といったようなことについては、後述する「よくある質問」の中でお話をします。
「借り換え」はリスケとは違う
ところで。ある会社がA銀行から、次のような借入状況にあるとします。
- 毎月返済額 50万円、借入金残高 2,000万円
- 毎月返済額 50万円、借入金残高 1,000万円
A銀行から2つの融資を受けており、併せて毎月100万円を返済している、というケースです。
業況の悪化等により、返済が非常に厳しいとA銀行に相談したところ。「2つの融資を1つにまとめて、毎月返済額を50万円にする」と提案された場合はどうでしょう?
つまり、あらたに 3,000万円の融資を受け、既存の2つの借入をいちど返済する。結果、毎月返済額は100万円から50万円に減る。借入金残高は変わらず 3,000万円。
これは、リスケではありません。もともとの融資の条件を変更したのではなく、条件の異なる新規の融資を受けた。「借り換え」あるいは「一本化」と呼びます。
《FAQ①》リスケをしたら2度と借入はできないのか?
答.リスケが解消すれば、融資は受けられる
リスケをすると、2度と借入ができなくなる。という「誤解」をされている場合があります。
リスケをしたからといって、2度と借入ができないというようなことはありません。
正しくは、リスケをしている間は、原則、新規の融資が受けられなくなる。
この違いはしっかりと理解をしておきましょう。
業績が回復して、リスケの状況を脱し、正常な返済をすることができるようになれば。ふたたび新規融資を申し込むことはできるのです。
ここぞの場面では「リスケ」は重要な選択肢になります。誤解により、必要以上にリスケを恐れるようなことは避けましょう。
《FAQ②》リスケをするなら「いくら」返済すればよいのか?
答.ゼロ円が基本、中途半端はしない
「ゼロ円」とは極端な物言いをしましたが。その真意は、中途半端なリスケをしないということです。
前述した通り、リスケ中は新規融資を受けることができません。リスケが抱える最大のデメリットです。これを忘れてはいけません。
つまり、これ以上の資金調達ができなくなる以上、「最後の手段」がリスケになります。
ですから、会社が危機を脱する可能性をもっとも高めようと考えるのであれば。リスケによる返済額は「ゼロ円がベストだ」と考えなければいけません。
「(リスケとはいえ)少しでも多く返済して欲しい」と言う銀行に対して、うしろめたさを感じるあまり、カンタンに返済額を増やさないように。
中途半端なリスケをすることで結局立ち行かないというのでは、会社も銀行も困ることになってしまいます。
もちろん、経営改善計画や資金繰り計画を策定したうえで、それを根拠に「いくら返済できるか」を考え、銀行と交渉をすることにはなりますが。
会社の存続可能性をもっとも高めるのは「ゼロ円リスケ」であることは心しておきましょう。
《FAQ③》特定の銀行だけリスケをすることはできるか?
答.原則、すべての銀行一斉に
複数の銀行から融資を受けている場合、特定の銀行に対してのみリスケ、というわけにはいきません。
原則、融資を受けているすべての銀行に対して、一斉にリスケを行います。
なぜなら、リスケを受け入れる銀行からすると、リスケを受け入れない・リスケをしない銀行があるのは不公平だからです。
「どうしてウチの銀行だけが、悪条件(返済期間が長くなる)を飲まなければいけないんだ」と気を悪くするわけです。
だいいち、特定の銀行だけリスケをすれば済む、というハナシであれば。新規融資や借り換えなど、リスケ以外の手段を模索すべきでしょう。
さきほども触れたとおり、リスケは最終手段です。業況の回復がそう簡単には見込めない、新規融資も断られているなど、どうしようもない状況の中、最後の最後で繰り出す手段です。
やるとなったら、すべての借入に対して徹底的に(ゼロ円リスケも視野に)やらなければいけません。
ちなみに、リスケによる各銀行への返済額は、リスケ時点における各銀行の借入金残高や返済額などに応じて、不公平にならないように検討します。
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まとめ
リスケとは何か? そして、リスケに関するよくある質問についてお話しをしてきました。
リスケというのは穏やかな話ではありませんが、だからこそ、いざという時に備えて理解が必要です。
いざという時には、少しでも早く「出血(おカネの流出)」を止めなければならず。そこで、のんびりと理解している時間はありません。