経理書類はどうやって、いつまで取っておけばイイんだ!?
好むと好まざるとにかかわらず。事業を続けていると、たくさんの経理書類が溜まっていきますよね。
そんな経理書類のファイリング方法と保存期間について、まとめてお話しします。
ファイリングも保存も『シンプル』に
キレイに丁寧なファイリングも。異なる保存期間ごとの厳密な分類も。やり過ぎれば、複雑で時間がかかるばかり。シンプルにいきましょう。
このあとの話のポイントを整理すると、
ファイリング方法のポイント
- レシート・領収書は紙に貼れ
- 迷ったら「時間軸」で整理しろ
- 書類は「1年分」をひとまとめ
保存期間のポイント
- 個人は7年、法人は10年
- 決算書、元帳はずっと取っておけ
- 手元には「3年分」
経理書類のファイリング方法
はじめに、書類のファイリングについてお話しします。巷ではいろいろなコトが言われていますが、「コレがおすすめ」という方法です。
レシート・領収書は紙に貼れ
経費などを支払った際のレシートや領収書。ビニール袋や封筒などに突っ込んでおく、というのがダメなわけではありません。ただ結局のところ、
いちばんカサばらないのは紙に貼ることです。できるだけコンパクトに保存したいのであれば。
わたしは、100均製の「ルーズリーフ型用紙」に貼って、これまた100均製の「ルーズリーフ用ファイル」に綴じこんでいます。こんな感じです ↓
迷ったら「時間軸」で整理しろ
その他の支払関連の書類、請求書などのファイリングについて。人や会社によって方法はさまざま。正解があるわけではありませんが、「細かく分け過ぎない」はひとつのポイントです。
”なんとなく”業者ごとや内容ごとにファイルを分けているケース。でも、ファイルの中身のボリュームはそうでもない。むしろスカスカ。これでは、保存する書類がカサばります。そこで、
1つのファイルにまとめて支払日順で綴じこむのがおすすめです。
まず、納品書や振込票などがあれば、対応する請求書と一緒にしておく。そのうえで、支払日順にファイリングしていくと「探したい」ときに探しやすくなります。
業者ごと、内容ごとにファイルを分ける明確なワケがないのであれば、「時間軸」でファイリングしてみましょう。
書類は「1年分」をひとまとめ
ファイリングした書類は最終的に、1年分をできるだけ「ひとまとめ」にしましょう。保存をするときには、1年分を単位に管理する方がラクだからです。あちこち分かれていると管理しづらくなります。
書類はできるだけ、ひとつのファイルにまとめていきましょう。出来上がった複数のファイルや、ファイリングできないレジロールなどは、ひとつの段ボール箱などにまとめます。とにかく、
書類は1年分を「ひとまとめ」にすること。
取引量が少ない場合、キングジムなど大きめのファイルであれば、1年分の書類を相当量おさめることもできるでしょう。たとえばこんな感じです。
- ファイル表紙 (「平成××年×月×日 ~ 平成××年×月×日 決算期」と記載)
- 《支払日順》支払レシート・領収書つづり
- 《支払日順》支払請求書(納品書・振込票があればセットで)
- 《支払日順》公共料金明細通知書
- 《請求日順》クレジットカード請求書(レジでもらった利用明細も添付しておくとよい)
- 《支払日順》税金・社会保険料納付書
- 《入金日順》売上請求書(納品書があればセットで)
契約書など日常的に必要なものは、別にファイリングしましょう。上述してきたファイリングは、しまい込んで保存する書類を対象にしています。
『書類は整理しない』という考え方について
ところで、「書類をあえて整理しない」という意見・考え方があります。書類は袋や段ボール箱にでも放り込んでおけばいいんだ、と。その理由として、
- 時間をかけて整理してもトクにならないから(おカネにならない)
- 税務調査時、調査官の手を煩わせるため(時間稼ぎ)
といったことが挙げられます。意見・考え方は人それぞれとしても。上記の理由には、「う~ん」と唸らずにいられないところがあります。ので、少々コメントすると、
「整理しない」のではなく、「整理できない」の?
一事が万事。「書類を整理しない」人は、他のコト・モノを整理できない人が多い(経験則)。上述したファイリング程度は、万事の整理として最低限すべきことだと考えます。
税務調査を長引かせたいの、それとも敵対したいの?
調査官は時間がかかってもやることはやります。であれば、調査官の手を煩わせれば調査はムダに長引きます。申告・帳簿の内容に対する信用にも悪影響。整理できているヒトの方に、調査官は良いイメージを持つものです。
経理書類の保存期間
続いて、経理書類の保存期間についてお話しします。「こんなものをいったい何年とっておけばいいんだ?」という声をよく聞きます。
なにを保存すればよいのか?
一般に経理書類として、次のようなものが挙げられます。
- 領収書、預金通帳、借用証など現金預金の異動にかかる書類
- 請求書、注文請書、契約書、見積書、仕入伝票など取引にかかる書類
- 有価証券受渡計算書など有価証券取引にかかる書類
- 源泉徴収簿(賃金台帳)
- 税務申告書、決算書
- 棚卸表など決算時に作成された書類
- 総勘定元帳、各種補助簿 など
仕事に関係がありそうなものかつ数字が書いてあるものは保存すると覚えておきましょう。相当ざっくりですが、そういうものは「だいたい」経理書類です。不用意に捨てないように!
個人事業は7年、法人は10年保存する
個人事業か法人か、白色申告か青色申告かなど。状況によって、さらには書類の種類ごとに、保存期間はそれぞれに異なります。
これを厳密に運用して、書類ごとに管理しようとするのはタイヘンなことです。前述したように「1年分をひとまとめ」にしておき、年単位で書類管理をするほうがラクだしわかりやすい。
ということでいくと、
個人事業は7年間、法人は10年間保存しておくと覚えておきましょう。
ちなみに、保存期間の根拠は、税法だけではありません。法人であれば会社法、業種によってはその他の法令が関わることもでてきます。そういうことも含めて、個人7年、法人10年です。
手元に3年分、あとは倉庫にでも
「個人7年、法人10年」ということですが。手元に3年分の書類を残して、残りは「倉庫」など、多少深いところにしまっておいても大きな害はありません。手元とは「割とすぐ出せる場所」という意味です。
なぜ3年分は手元かと言うと、税務調査が入ると「直近3年分」がまず調査対象になるからです。調査でよほどのことがあると、それ以前の書類に及びます。が、ケースとしてはレアです。ですから、
直前決算期の書類から以前3年分の書類は手元に残しておきましょう。
永久保存の文書もあります
個人7年、法人10年といいながらも。永久保存した方がよいとされる文書もあります。たとえば、法人の定款、株主名簿、株主総会議事録など。
法律の定めはないものの、書類の性格上、永久保存が望ましいと考えられているものです。処分を考える場合には、気を付けましょう。
また、私見ですが、「税務申告書一式」と「総勘定元帳」は永久保存したほうがよいと考えます。遠い将来に、過去のことでわからないことを調べるのに役立ちます。
そういうことが、意外と無いようであります。特に税務申告書一式には決算書も含まれ、「事業の歴史」として保存しておく意義もあります。
法定保存期間(個人7年、法人10年)は紙で保管し、その後はスキャナーでPDFデータに変換して保存するなどしておくとよいでしょう。
どうやって年数を数えるのか
さいごに。7年とか10年とか、「いつから」の話をしているのかということについて。
確定申告期限から数えます。
個人事業であれば、毎年3月15日が確定申告期限ですから、そこから数えます。たとえば、2016年分の確定申告期限は2017年3月15日。そこから7年ですから、2024年3月15日まで、2016年の書類を保存することになります。
法人もいっしょです。3月決算の法人であれば、申告期限は5月31日。2016年3月決算期の書類は、2016年5月31日から10年後の2026年5月31日まで保存します。
先ほど触れたとおり、書類は「1年分をひとまとめ」に管理するのがわかりやすい。そこで、
申告期限を迎えるたびに、保存期間を終えた書類を1年分処分していく。というのが、運用としてはわかりやすいでしょう。
まとめ
経理書類のファイリング方法と保存期間について、お話をしてきました。繰り返しになりますが、
- 書類は「1年分をひとまとめ」に管理
- 個人事業は7年、法人は10年保存
がポイントです。書類管理があいまいにならないよう、いちど運用についてきちんと決めてしまいましょう。
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きょうの執筆後記
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電子帳簿保存法の要件を満たせば、「紙」を処分する方法もあります。が、まだ運用には難しい面が残されています。
それでも、道は徐々に開けていますので、将来的には「ペーパーレス」を目指していくのも一法です。